ナメクジ
庭でイチゴを楽しみしていたら、ナメクジに食べられてしまった経験をした人は多いかもしれません。
ナメクジは、捕食者の目にとまりにくいよう、夜行性。イチゴを夜の間に食べに行きます。
イチゴだけでなく、ピーマン、ナス サルビア、シソ、ハクサイ、キャベツ、マリーゴールド、ペチュニア、レタスカンキツ類、腐りかけた有機物などなんでも食べてしまうので、「防除対策」のホームページがたくさんあります。
当会で「生きている猪名川改訂版」(下生きている猪名川改訂版)でカタツムリのなかまの紹介で唯一ナメクジを掲載しています。
多くの川を調査してまとめた「生きている」シリーズの本で載せているのはこの本だけです。
今イチゴをたべにくるのがチャコウラナメクジ。活発に動くのが5月〜7月、特に梅雨時期がいちばん。
イチゴの収穫と重なるのでよくわかります。
このナメクジは背中に小さな殻が付いているので、「コウラナメクジ」の名前がついています。これは、カタツムリとナメクジが同じ祖先から進化した証拠です。
このナメクジは第二次世界大戦後、ヨーロッパからやってきました。瞬く間に人家の周りや畑、草地などに出現、農作物の被害は絶大になりました。年1回の発生で、寿命は約1年で、秋に成体になります。乾燥に強く、集団生活を好むので、植木鉢の下によく集まっています。
ほかに、ナメクジ(フタスジナメクジ)がいます。体長は約8cm、体色は淡褐色~灰色で変化があります。背面に2~3本の黒い筋があり、黒褐色の小斑があるものもいます。甲羅はありません。
実は、明治にやってきたナメクジです。生態を見ると、3~6月に40~120個の卵が入ったゼラチン質の卵のうを石や落ち葉の下、小枝や雑草に産み付けます。年に一回発生します。
山野にはヤマナメクジという大型種がおり、体長は10cm以上。体は分厚く、触角は短いナメクジです。
ナメクジはカタツムリと同じように雌雄同体で、1個体の体の中に♂と♀の生殖器を持ってるので、交尾する時は互いに、頭部にある陰茎を相手の生殖孔へ挿入し、精子を相手に渡します。生殖孔が頭部にあるので、産卵は頭の近くからすることになります。すべての個体で卵をうむので増えるわけです。
ナメクジは、化学物質のメタアルデヒドという物質に誘引されます。これは、ビールの中にはいっている物質で、これで誘引捕獲することがでます。ネオン街、ビールで捕獲できるのはナメクジだけではありませんが、
これ以外にもキイロナメクジというのがいます。(澤畠拓夫ら(2018)奈良公園で発見された外来種キイロナメクジについて;近畿大学農学部紀要 第51号 70-74 (2018))
明治時代以降ナメクジの種類が入れ替わっている研究があります。
「フタスジナメクジからキイロナメクジ、キイロナメクジからチャコウラナメクジへの種の置換が起こっている」(黒住耐二 (2002) チャコウラナメクジ〜ナメクジ類の置き替わり. 日本生態学会編, 外来種
ハンドブック. P164. 地人書館. 東京)と報告があります。
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