ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「親し気なメール」

2022-09-15 | エッセイ
2022年9月15日(木)

今日は、先日のエッセイサークルに提出したエッセイを・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「親し気なメール」
                               
「携帯かえたよ。登録お願いします。明日って時間あるかな?」
夜、スマホに誰からか、親し気なメールが来た。怪しい馴れ馴れしさに、神経がピンと張る。
私の友人たちは言葉遣いがもっと丁寧だし、何より名前を名乗らないなんてことは無い。
こちらの胸にするりと入り込もうとするこのメールは、何かの罠だ。私をどこに
連れ去ろうというのか。
電話番号の数字だけで通じるショートメールのほうには、ときどき怪しいメールがくるけれど、
こっちの、数字やアルファベットをあれこれ組み合わせたアドレスのメールのほうには、
珍しい。
私のアドレスをどこで手に入れたのだろう。あるいは、コンピュータで、ランダムにアドレスを
作り、送り込んできたのだろうか。
私は、このメールを、すぐスマホの「ゴミ箱」へ捨て、「ゴミ箱」に入っているのもいやで、
スマホから 削除した。
もう来ないで欲しいと思っているのに、次の日の夜、又、同じような迷惑メールが来た。
「ちょっと急用で電話したいんだけど、今かけていい?」
はっきり覚えていないけれど、送信元は、昨日のアドレスのようだ。
昨日、ただ削除しただけだったのが悪かったか……。
それで、今度は、迷惑メールとしてスマホの会社に報告してから、削除した。
これでもう来ないと良いけれど、ちょっとずつアドレスを変えて来たらいやだなあ。
親し気な言葉で油断させて、返信したら、お友達になってというコース。
その先に待ち構えているのは、怪しげな投資の話か、国際結婚詐欺か……。
絶対、絶対、ひっかかるものか!
次の朝、メールチェックをしたら、又、迷惑メールが来ていた。
「なんで急用って言ってるのに、無視するわけ?すぐ返事して?」
なんか、上から目線になっている。
「急用って、何?はっきり言って」
「宛先、まちがっていません?」
とか、返信したくなったけれど、いかん、いかん、そこが、相手の思う壺だ。
昨日、迷惑メール手続きしたのに、ちょっとアドレスを変えて来て、朝から鬱陶しい。
これも迷惑メール手続きをし、削除したけれど、いつまで来るんだろう?
 次の日には、
「おはようございます。木曜か金曜日、どっちか空いていません?ご飯でもいきませんか?」
 と、コロナ以来、ランチ会が出来なくなった私の弱い所をついたメールが来る。
これには、
優しい言葉で包まれた悪意を一番感じた。
削除だ!
さらに翌日は、迷惑メールは来ていなかった。
その代わり、スマホの会社から、
「最近、スマホの会社を騙った迷惑メールのURLに個人情報を入力することで、
第三者にパスワードを盗取され、決済サービスを不正に利用される被害が起きています」
というお知らせが届いていた。
このメールは、口調がビジネス用語っぽく、迷惑メールじゃないよね、でも……と、
昨今のメールで疑い深くなり、「さらに詳しく聞きたいときは」という所をクリックするのは、
止めておいた。
その後、二、三日、来ず、諦めたかと思っていたのだが、又、
「体調崩されてたりしないですよね。ニュースを眺めててちょっと心配になりました。
もしお元気なら、お返事、お願いします」
と、来た。この暑さの中、こちらに心を配ってくれる友達のような口調で、このメールは、
心にじわっと来る。いやいや、このメールの向こうの友達は、幻想なんだと、自分に
ストップをかけるが、私は、なんだか、誰かに電話したくなった。
電話をすると、
「もしもし」と、スマホからいつもの友人の声が聞こえた。ネットの外の私の現実、
私の居場所に戻してくれる穏やかな声に、私も、
「おはよう。ウィステです。あのね、聞いて……」
と、この度の癪に障るメール事件を話し始めた。
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気を付けましょう・・。

夕方、エッセイの先生から電話があった。
昨日、先生にお送りしたお見舞いのお礼だった。
声は、まだ、辛そうだったけれど、サークルをどうするのか?気にかけてくださっていた。
「欠席者がいたので、サークルをどうするかは、来月、話し合います」
と、言って、サークルのみなさんの近況もお話したわ。
Aさんがとても良いエッセイを書いたとか、
B氏が、コロナに罹って、でも無事に回復したとか・・。
先生も、酸素吸入をしていらっしゃるけれど、小康状態だそうで、ウィステは、
「ゆっくり良くなってください」と、言いました・・。
本当に・・。

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「網戸代を払う」

2022-07-14 | エッセイ
2022年7月14日(木)

午前中、心臓を悪くしてエッセイサークルを止めた友人に電話した。
元気な声で出てくれて良かった。
一人暮らしの彼女に、買い物のことを聞くと、スーパーの宅配をやっていて、
たまに来てくれる娘さんが、足りない物を買いに出てくれるそう。
関西にいる息子さんが、そちらの施設に入らないかと言ってくれたそうだけれど、
なにしろ、そこまで移動出来ないと。先生も、家から出ないでとおっしゃっているそうだし。
それで、セコムに入って、何か異変があったら、すぐ分かるようにして、安心したそう。
それと、先生が書類を書いてくれて、ケアマネージャーさんが付き、これから、
ヘルパーさんに来てもらえるよう手配してもらうのだそう。
「ケアマネージャーさんが決まって、良かったわ、安心ね」と言うと、彼女もほっとしたと。
ウィステも喜ばしく思ったけれど、自分の時も、こうやって自宅で一人暮らしを続ける方法も
あるんだと、聞いていました。
ウィステが、コロナワクチンの副反応の話をしたら、彼女も、コロナワクチンを打つと、
おなじように、だるくなるんだそう。彼女は、2日くらい続くそうで、
「1日で済むなら、ウィステさん、若いわ」と・・・。(^^)
エッセイのお仲間の様子も話して、また、電話するわと、約束しましたよ。


さて、そこで、今日は、先日のエッセイの例会で合評した作品を・・・。
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「網戸代を払う」
 スーパーからの帰りに乗ったマンションのエレベーターに、網戸交換についての掲示が
張ってあった。
うちのマンションでは、昨年の夏から一年がかりで大規模修繕工事が行われており、
その最中に、網戸が路上まで落下する事故が二件も起きたのだ。
幸い人に当ることはなかったが、今後の安全対策として
網戸を窓の外側から内側に設置変更する方針が出され、では、費用はどうするかとなり、
臨時総会が開かれたのだった。私は、委任状を出して欠席したので知らなかったが、結果、
「新網戸費用は個人持ち。撤去費用、取り付け費用は管理組合持ち」と、決まったそうだ。
一万六千五百円か……。
臨時出費は痛いが、事故が起きた時の責任問題は、怖いからしかたないかと、
そこまで読んだところで、もう、私の部屋の階に到着してしまった。
 こんなに大事なお知らせ、エレベーターに張り出すだけの筈は無いと、食料品を冷蔵庫に
しまうと、下へ向かうエレベーターに乗り込んだ。
だが、管理人室で管理人さんに聞くと、
「案内の紙、配布はしなくて良いそうです。でも、ロビーの掲示板にも張っていますよ。
皆さん、見ないけれど」
と、案内してくれ、さらに、その案内を見ながら、代金の確認と、
「代金の振り込み先は、ここに書いてありますよ」
と、駅前の銀行の口座名、口座番号を示し、窓口に用紙があると教えてくれた。
支払は五月十一日までとなっていたが、連休前にさっぱりしたいと、私は、部屋に戻り、
通帳とカードとお金を出してきて、歩いて五分の駅前の銀行に振り込みに行ったのだが、
あいにく、十二時半までは、昼休みですと、シャッターが閉まっていた。
しかたなく、一旦戻ると、エレベーターの中で女性が、掲示板を見て、
「良く分からないわ……」。
そこで、私は、彼女にあれこれ説明し、振り込み銀行名、口座名も示してあげた。すると、
なんということ、駅前の銀行は銀行でも、私が行って来たのは、もう一軒の別の銀行の
ほうだったではないか!
正しい方の銀行は、お昼休みをやっているか分からなかったから、念のため、
十二時半まで待って、今度こそ正しい銀行に行ったのだが、また、問題が発生した。
先ほど、管理人さんが、
「振り込み用の書類は、銀行の窓口にありますよ」
と、言ってくれたのを、私は、
「多数の人が振り込むから、窓口に、ここにあるのと同じ案内書が置かれているんだな。
そこに、振込先の口座番号も書かれているし」
と、受け取ってしまい、口座番号を控えていなかったのだ。
当然、窓口にあるのは、普通の振込用紙。口座番号が分からなければ、手も足も出ない。
すごすごとまたマンションに戻り、ロビーで口座番号を書き写していると、管理人さんが、
「大丈夫ですか?」と声をかけてくれ、 私は、完全に、「危なっかしい人」扱いだ。
銀行を勘違いしたことは、恥ずかしすぎて言えなくて、
「口座番号を書き写すのを忘れていて……。私、もう本当に大丈夫かしら?」
と、言うと、心配そうに、
「気を付けて行ってきてください」
と、歩いて五分の道のりを心配してくれた。
 かくして、やっとこ料金を振り込んできたのだが、振り込みひとつ、さっさと出来なく
なっている。
ど~んと落ち込むが、ドタバタ、なんとかクリアしていくしかない。
今日は、出来た自分を褒めよう。
 しかし、まだ落とし穴があったのだ。振り込んだ後で、「振り込みのお願い」という用紙が
ポストに入っていて、古い網戸は三千円で管理組合が下取りするとのことで、示された値段は、
ロビーのものより三千円安く書かれていた。
私は、三千円、多く振り込んだのか!
あちゃ~!私の三千円はどうなる?
慌てて管理組合に電話すると、
「古い網戸代は、新しい網戸の設置の際に清算してお渡しします」
とのことで、振り込んだ金額は間違いではなかったようだ。なんと分かりにくいこと。
 それに、ほっとしたけれど、きちんとお金を返してもらえるまで油断は出来ないと、
つくづく分かり、私は、担当者の名前をしっかり控えておいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エレベーターで、外した網戸を運んでいる職人さんとすれ違ったから、網戸交換作業も
進んでいるようです。
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「ハト避け対策」

2022-04-30 | エッセイ
2022年4月30日(土)

ゴールデンウィークだけれど、ウィステのマンションでは、工事を続けている。
時々、エレベーター式の通路がベランダの外を上下するので、部屋が急に暗くなったりしている。
おかげで、ハトはベランダに来ていないようだ。
しばらく前は、ハト、来るな!と、ハト避け対策をしていたのだけれど・・。
そこで、その頃書いた、エッセイを・・。
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「ハト避け対策」
                              
 マンションに越してきて七年ほどになるが、朝の陽ざしを浴びながら南向きのベランダに出ると、
いつも清々しい気分になる。右手の隅には、エアコンの室外機が置いてあり使い辛いので、
普段はあまり近寄らないのだが、洗濯物を干しながらそちらをちらっと見ると、奥のコンクリートの縁に
ハトの糞が付いているのが見えた。いや、しばらく前から、糞が少し見えることがあったが、
まあいいやと放置していたのだ。
だが、今朝は、糞の量が増えている。
 頭の中でアラームが鳴り、マンションの外壁とベランダ周りの鉄板、さらに室外機で囲われた隙間を
上から覗き込んでみると、ハトがいた!
私もびっくりしたが、ハトもびっくりしたようで、狭い隙間をうろうろしている。
 ハトに居つかれては、大変!
 もしかしたら、狭すぎて翼が広がらなくて飛び立てないのかも、救出しなくちゃ!
 混乱しながら、ベランダ掃除用の箒と塵取りを持ってきて、逃げ回るハトを上から抑え込もうと追い、
やっと挟み込んで外に引き上げ、空に放り投げたら、飛んで行ってくれた。
やれやれと一安心したが、その隅には、ハトの糞がびっしり付いていた。
 いつの間に……。
 とても一羽の仕業とは思えない。となると、ここは、強風からも守られ、屋根はあるしで、
この前の台風の時などハトの避難場所になっていたのだろうか。
 いや、春になって巣でも作られ、ひな鳥でも生まれたら大変なことになる。
 慌てて、室外機の横からへっぴり腰で腕を伸ばし掃除を始めたが、こびりついた糞の取れにくいこと。
ベランダなので水をじゃばっとかける訳にもいかず、ビニール手袋をして濡らしたボロ布で擦らなければ
ならなかった。
 ベランダでこんなことが起きていたなんてとぼやきながらなんとか掃除をして、そこにハトが嫌がればと
ハイターを撒いておいた。痛くなってきた右腰をかばいながら、夜になるまでベランダの隅を確認した
けれど、ハトは戻って来ていなかったのに、翌朝、見たら、いました、ハト!
 朝っぱらから、また、箒と塵取りでハトを掴もうとしたのだけれど、敵も逃げる逃げる。
ベランダの中を低く反対側まで飛び、とうとうベランダの桟の間から逃げようと飛び込んで、
逆につっかえてしまった。ばたばたもがくハトに手を出しかねている間に、ハトはなんとか桟から外に
抜け出て逃げ去った。
 ここは怖い所だと学習して、もう来なくなれば良いのだけれど……。
 しかも、巣として狙われているらしい隙間には、糞がどっさり残されていた。
一羽でこんなにするのかと驚く程だ。
私は、また、腰をかばいつつ腕を伸ばして糞を掃除しなければならなかった。
 もうやっていられません。
 やつは、きっとまた来る。
 このベランダは私のテリトリーで、譲る気は無いから、ハト避け対策をしなくてはならない。
 私は、すぐパソコンを開いて、「ハト避け対策」で検索した。すると、アマゾンの通販サイトに、
様々なハト避けグッズが出品されているではないか。苦労している仲間も多そうだ。
あれこれ見て、私は、薬品や餌系のものは止め、三センチ半ほどのトゲがびっしり生えているシートを
買うことにした。ハトの足場を無くす作戦だ。
ありがたいことに、二日後にはもう、薄い段ボール箱が届いた。開けてみると、トゲトゲが付いた
プラスチックの細い板が十四枚あり、それには折れ線が付いていて長さの調節も出来る。
ハトが来ていない今日、早速、取り付け開始だ。板は、結束バンドで繋いだり、固定したりする
そうだけれど、それは別売りのようで、取り敢えずガムテープで繋ぎ、それを紐で柱に縛り付けて
ベランダに固定した。雨が降ったらこれでは弱いかと心配だったが、様子を見て、ちゃんと結束バンドを
買ってこよう。早く早くとベランダの隅の辺りに、腕を伸ばし腰を曲げて、そのトゲトゲを敷き詰めておいた。
 その後は、ハトは来ていないようだ。ハト避けグッズは、成功だったが、中腰が悪かったのか、
その後三週間以上、腰の痛みが引かなかった。
だから、ハトとの闘いは、私の完勝とはいかなかった。
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とにかく、工事が終わったら、また、ハト避けのトゲトゲシートの再登場。
油断はできませんから。

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「お帽子を買う」

2021-12-28 | エッセイ
2021年12月28日(火)

テレビでは、豪雪のニュースをやっているけれど、関東地方は、有難いことに、晴れ。
朝、カーテンを開けて、東の空の朝焼けを見るのが好きで、さあ一日が始まるという気分になる。
といっても、今日は、一年の疲れが出たようで、一日、部屋でまったりした。
そこで、今日は、先月提出したエッセイを・・・。
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「お帽子を買う」

 東京のコロナの新規陽性者数が二桁になった。ようやくコロナの第五波を乗り越えたという気分が
世の中に広まり、人々が活動的になってきた。
旅行に行くという話も、私の身の周りでも聞く。私も気持ちがのびやかになり、そうなると、
一年半の押さえつけられたような生活の反動で、物欲が湧いてきた。
ただ、私の物欲は旅行では無く、ウィッグ方面に出た。
 もともと、ラウンドダンスのお仲間には、ウィッグをしている人が何名もいて、
「お帽子を被る」と、言っている。お帽子を被って髪の毛の量が増えると、やはり若く見えるので
私も興味がある。以前、「生協で安くお帽子を買った」という友人のウィッグを被らせてもらった
ことがあったが、あいにく似合わなくて、そのままになった。
しかし、この夏、久しぶりに弟に会ったら、
「えっ、お姉、その髪……短くない?」
と、言われてしまった。短いという表現が、彼のせめてもの遠慮だったのでしょうが、
驚いたようなその目が、本心を物語っています。
はい、確かに、私の髪の毛の分け目、かなり薄くなってきてます。気にしてはいたが、
正直にそう言えなくて、
「短い方が、若々しいから……」
と、濁したけれど、内心、拘っていたのだ。
やはり、物欲第一号は、ウィッグにしよう。
 それでも、いざとなると、こっそりと買いたい。それならアマゾンと、ネットを検索したら、
なんと、うちのマンションの近くのスーパーにウィッグ屋さんがある。それも、バーゲン中だそうだ。
五十%オフもあるそうで、私は、開店の十時に合わせ、いそいそと行って来た。
そして、店員さんに、
「部分ウィッグを見せて欲しいんです」
と言うと、まあまあの値段のものを三つ選んでくれた。
高いのを勧められても困るので、よれよれした普段着で行ったのは正解だったと思いながら、
試着室について行った。
そこで店員さんの説明があって、彼女が、その中で一番高いのをまず被ってみせてくれた。
説明を聞いて自分でも被ってみたら、やはり若く見えるではないか。店員さんもそう言ってくれる。
「お友達もやっていて、……お友達のは、こうで……、明日、お友達と会うので……」
と、私は、お友達もやっていると連発してしまった。多分、「お友達」というワードで、
「普通の事なのよ」と、自分で自分の背中をもう一歩押していたのだろう。
 私は、その被って見せてくれたウィッグが、自分の髪の色にあった落ち着いた感じだったので、
それに決めた。予算は、はっきり言ってオーバーだけれど、二十%オフになったし、
だいたいのお仲間は、もっともっと高額の物をしているから良しとした。
 部屋に戻って、恐る恐る自分一人で付けてみる。留め具の部分、もうちょっと慣れないと。
でも、被った姿をみたら、もうコレ無しにはいられない。
それにしても、ウィッグって、専用のシャンプーとかリンスとかが要るそうで、これが、
私が普段使っているシャンプーやリンスよりぐっと高い。こういうところでウィッグ屋さんは
商売しているんだなあと気付いたけれど、もう、その路線に乗ってしまったから、仕方なし。
ただ、被った具合、人が見たらどうだろう?これで大丈夫か?変ではないのか?と、気になったが、
一人暮らしで、一言言ってくれる人がいない。そこで、私は、ウィッグを被って、
また、お店に出掛けて見てもらうことにした。私を見た店員さんは、
「お友達に会いに行かれるんですか?」ですって。
さっき、お友達を連呼したからね……。
でも、「大丈夫ですよ」と言われて、慣れない恥ずかしさも少し収まった。
 夜、テレビで、「最近、高価な時計や外車が品薄になるほど売れている」と、紹介されていた。
コロナの自粛で、旅行にも、食事にも飲み会も行けずに、お金を使わなかった、
つまり強制貯蓄された金額が、日本中で、二十兆円にもなるという。
国民一人当たりで、十六万円!
こういう消費をリベンジ消費というのだそうだ。
ああ、そうか、腕時計とか外車の足元にも及ばないけれど、私がウィッグに走ったのは、
日本を覆うリベンジ消費の一環だったのだ。
私は、コロナ籠りで過ぎて行った一年半の自粛の時間を購ったんだと理屈が通ったら、
「なら、仕方ない」と、ウィッグの衝動買いも納得できてしまった。
そうは言っても、お帽子を被った私は、変身したのか、コロナ前と変わらないのか。
明日は、ラウンドダンス仲間と会うし、気持ちを一つ引き上げて、いざ足を踏み出そう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ウィッグは、色も自然で、今では、ダンスの日の必需品です。(^^)
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「黒地のナンバープレート」

2021-09-15 | エッセイ
2021年9月15日(水)

今日は、昨日のエッセイサークルに出したエッセイを・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「黒地のナンバープレート」
                               
外出から戻り、マンションの駐車場に車を停めて歩き出した。すると、近くの車の
ナンバープレートに目を引かれた。
何か、変だ。
その軽自動車のナンバープレートには、黒地に黄色い数字が書かれていた。
軽自動車は、普通は、黄色の地に黒い数字のナンバープレートの筈だと、辺りを見回すと、
確かに、他の軽自動車は、そうだ。
それなのに、なんなんだろう?
それで、部屋に戻ってきてから、パソコンで調べてみた。
すると、あった、あった。
その黒地のナンバープレートは、
「軽自動車を対象とした、貨物軽自動車運送事業用のナンバー」だそう。
私は、そういうナンバープレートがあったのかと、びっくりした。
その駐車スペースには、以前から別の軽自動車が止まっていたけれど、普通のナンバープレート
だった。車も変わり、ナンバープレートの種類も変わったということは、何か、
お仕事でも始めたのだろうか?
 二、三日後、その話をダンス仲間にして、
「ああいうナンバープレートって、初めて見たわ」
 と、言うと、彼女は、
「あら、そんな車、しょっちゅう見るわよ。そこらじゅうを走っているわ」
 と、言い出し、私は、え~っと半信半疑だった。
 しかし、それからというもの、車で外出するたびに、黒地のナンバープレートを見かける。
宅配便の車が多く、それなら、軽自動車で、細い路地でもきびきびと荷物を配っているのだろうと、
納得した。
 だが、見かける度に、もやもやも起きる。それは、
「こんなに走っているのに、なんで、これまで、私の目に入らなかったんだろう?」
 自分のぼんやり度を差し示されたようだ。
 これまでも、そして、今も、周りの人たちの目には見えているのに、私の目が滑って、
見ていても見逃してきた世の中の大事な物、あるいは、面白い物が、まだまだいっぱい
あるのだろう。見つけていきたい。
 それからも、通りすがりのパチンコ屋さんの駐車場に、黒地のナンバープレートの
軽自動車を見かけた時は、「発見!」とばかり、件の友人に、
「遊んでいるのかしら?目立つのに……」
 と、ご注進したが、
「景品の納入に来ているのかもよ」
 と、窘められた。
確かに、そうかも……。
 今日も、昼過ぎにちょっと車で外出しただけで、なんと、行き帰りの途中、合計五台もの、
「黒地に黄色の数字のナンバープレート」をした軽自動車と、すれ違った。
 黒地のナンバープレートが、ばんばん目に飛び込んで来るようになったのだ。
私は、最近になって私の意識と繋がったその軽自動車たちに、
「お仕事ご苦労様です」と、心の中で挨拶した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日も、車の運転中、黒地のナンバープレートを見つけ、発見♪と、
親しみを覚えていますよ。(^^)
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