2018年2月20日(火)
わんちゃんが死んでしまったなあ・・・と、思って、そういえばと、
オトウトのところの愛犬、ふ~ちゃんも一年ほど前に死んだんだったと、
思い出した。それで、今日は、ふ~ちゃんのエッセイを・・。(文中仮名・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ~ちゃんのご挨拶」
オトウトのオクサンから電話がきた。先日、チチとハハの眠るウィステの実家の
墓参りをしてきた話で、墓の垣根としている槙の木がはみ出してきたと、裏のお墓の
持ち主から苦情が来たそうだ。実際に見て、これは、きりが無いと、木を抜くことに
したとの報告だった。もう、オトウト夫婦が管理しているのだから、
「あなたたちの思うようにすれば、良いよ」と、返事をし、オクサンは、
「お墓の維持って、草取りとかも、いろいろ大変で、業者さんに、地面を
コンクリートで固めるお客さんもいるって言われても、それもどうかと思うしねえ」
と、話しを続けた。その彼女の話し声が、どうも聞き取り難い。
というのは、彼女の声の後ろのほうで、ワウワウという声と駆け回る犬の気配がするからだった。
ウィステは、彼女の話を遮り、
「あの、新しいワンちゃんを飼ったの?」
と、聞いた。オトウトの家の犬、ふ~ちゃんが老衰で死んだのが、今年の三月だった。だが、
「は……?飼ってませんよ」
「あの、今、そ~ちゃんか、あ~ちゃんの家から携帯で電話している?そこのワンちゃん?」
「いえ、今、家からですけれど」
と、噛み合わない。そこで、はっきり、ワンワン!という声が聞こえた。
「ワンちゃんの声が聞こえるけれど……」
「いいえ、何の音もしませんよ」
子犬ではない。成犬で、かなり大きな犬の声だった。
これは、ふ~ちゃん?ふ~ちゃんなの?
ふ~ちゃんは、ポーランド系の牧羊犬だそうで、灰色っぽい長毛に覆われ、
中型犬と言われても、丸っこい体つきは、もっと大きく見えた。
たまにオトウトの家を訪れると、玄関に出て来て、顔に垂れ下がる毛の奥にある眼で、
ウィステを見上げては、ひとしきり吠えてご挨拶、その後は、和室の扇風機の前に
ドンと寝転んで、こっちをのんびり眺めていた。
そんな態度だが、オクサンは、
「ふ~ちゃん、ウィステ姉さんのこと、好きなんですね」
と、言ってくれた。もちろん、いつも一緒にいて、ご飯をくれ、遊んだり散歩をしてくれる
ママが一番好きで、出張の多いオトウトの留守を、オクサンに寄り添ってくれたそうだ。
だから、もし声を聞かせるとしたら、オクサンにでしょうに……。
「なんか、わりと機嫌よく吠えているような声だけれど……」
と、言い足すと、オクサンも、
「ふ~ちゃんかもねえ。お骨もまだ家にあるし、その辺を元気に跳び回っているのかしら?
ウィステ姉さんに、ご挨拶しているのかしら……」
「そうね、若かったころのように、元気にね、大好きなママの周りを、構って、構ってって、
今でも走り回っているのかなあ」
と、笑い合ったけれど、電話を切ってから、だんだん、胸がどきどきしてきた。
いくら、害を感じないとはいえ、なにか、触れてはいけない非日常のモノに、
触れてしまったような、不安が心を占める。
気持ちがざわざわするので、午後から行った洋裁教室で、みなさんに顛末を聞いてもらった。
みんなからは、なんと言っていいのか分からなかったのか、
「え~、なんなんだろう」と、言葉少ない反応だったが、Kさんが、
「不思議な事って、あるのよ。私、田舎で育ったから、いろいろ不思議な事にあったわ」
と、言ってくれて、「不思議」という言葉に、そうなのかと、とりあえず、
不安の置きどころが出来たような気がした。
家に戻って、「不思議な事なら、ダンナのテリトリーよね」と、
ダンナの仏壇に手を合わせたりした。
そして、夕ご飯を食べ終わる頃には、ほっと落ち着いた。
ーーーあっ、これが、空耳か……?
ワンワンと吠える野太い声は、確かに、聞こえた。
でも、それは、オクサンと話していたウィステの脳が、記憶から引っ張りだしてきたのかも。
そう思いつくと、気分が一転、明るく、広がった。
それとも、やはり、ふ~ちゃんが、ウィステの頭を、あの太い前足で、ポンと叩いたので、
ふ~ちゃんの声が零れ出てきたのか?とにかく、
「あんまり、びっくりさせないでよ、寿命が縮むから」
と、ウィステは、ウィステの脳にお願いしておいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昔、昔、ウィステが子供だった頃くらい昔、家で飼っていたワンコが
死んだんだ。その後で、ハハが、
「暗くなって、外に出たら、向こうから光の玉が、喜んで駆け寄って来るって、
頭に浮かんだんだわ。きっと、あの仔ね」
と、言っていたっけ・・。
そのへんを漂っているわんちゃんも、また、声を聞かせて欲しいなあ・・。(^^)
わんちゃんが死んでしまったなあ・・・と、思って、そういえばと、
オトウトのところの愛犬、ふ~ちゃんも一年ほど前に死んだんだったと、
思い出した。それで、今日は、ふ~ちゃんのエッセイを・・。(文中仮名・・)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふ~ちゃんのご挨拶」
オトウトのオクサンから電話がきた。先日、チチとハハの眠るウィステの実家の
墓参りをしてきた話で、墓の垣根としている槙の木がはみ出してきたと、裏のお墓の
持ち主から苦情が来たそうだ。実際に見て、これは、きりが無いと、木を抜くことに
したとの報告だった。もう、オトウト夫婦が管理しているのだから、
「あなたたちの思うようにすれば、良いよ」と、返事をし、オクサンは、
「お墓の維持って、草取りとかも、いろいろ大変で、業者さんに、地面を
コンクリートで固めるお客さんもいるって言われても、それもどうかと思うしねえ」
と、話しを続けた。その彼女の話し声が、どうも聞き取り難い。
というのは、彼女の声の後ろのほうで、ワウワウという声と駆け回る犬の気配がするからだった。
ウィステは、彼女の話を遮り、
「あの、新しいワンちゃんを飼ったの?」
と、聞いた。オトウトの家の犬、ふ~ちゃんが老衰で死んだのが、今年の三月だった。だが、
「は……?飼ってませんよ」
「あの、今、そ~ちゃんか、あ~ちゃんの家から携帯で電話している?そこのワンちゃん?」
「いえ、今、家からですけれど」
と、噛み合わない。そこで、はっきり、ワンワン!という声が聞こえた。
「ワンちゃんの声が聞こえるけれど……」
「いいえ、何の音もしませんよ」
子犬ではない。成犬で、かなり大きな犬の声だった。
これは、ふ~ちゃん?ふ~ちゃんなの?
ふ~ちゃんは、ポーランド系の牧羊犬だそうで、灰色っぽい長毛に覆われ、
中型犬と言われても、丸っこい体つきは、もっと大きく見えた。
たまにオトウトの家を訪れると、玄関に出て来て、顔に垂れ下がる毛の奥にある眼で、
ウィステを見上げては、ひとしきり吠えてご挨拶、その後は、和室の扇風機の前に
ドンと寝転んで、こっちをのんびり眺めていた。
そんな態度だが、オクサンは、
「ふ~ちゃん、ウィステ姉さんのこと、好きなんですね」
と、言ってくれた。もちろん、いつも一緒にいて、ご飯をくれ、遊んだり散歩をしてくれる
ママが一番好きで、出張の多いオトウトの留守を、オクサンに寄り添ってくれたそうだ。
だから、もし声を聞かせるとしたら、オクサンにでしょうに……。
「なんか、わりと機嫌よく吠えているような声だけれど……」
と、言い足すと、オクサンも、
「ふ~ちゃんかもねえ。お骨もまだ家にあるし、その辺を元気に跳び回っているのかしら?
ウィステ姉さんに、ご挨拶しているのかしら……」
「そうね、若かったころのように、元気にね、大好きなママの周りを、構って、構ってって、
今でも走り回っているのかなあ」
と、笑い合ったけれど、電話を切ってから、だんだん、胸がどきどきしてきた。
いくら、害を感じないとはいえ、なにか、触れてはいけない非日常のモノに、
触れてしまったような、不安が心を占める。
気持ちがざわざわするので、午後から行った洋裁教室で、みなさんに顛末を聞いてもらった。
みんなからは、なんと言っていいのか分からなかったのか、
「え~、なんなんだろう」と、言葉少ない反応だったが、Kさんが、
「不思議な事って、あるのよ。私、田舎で育ったから、いろいろ不思議な事にあったわ」
と、言ってくれて、「不思議」という言葉に、そうなのかと、とりあえず、
不安の置きどころが出来たような気がした。
家に戻って、「不思議な事なら、ダンナのテリトリーよね」と、
ダンナの仏壇に手を合わせたりした。
そして、夕ご飯を食べ終わる頃には、ほっと落ち着いた。
ーーーあっ、これが、空耳か……?
ワンワンと吠える野太い声は、確かに、聞こえた。
でも、それは、オクサンと話していたウィステの脳が、記憶から引っ張りだしてきたのかも。
そう思いつくと、気分が一転、明るく、広がった。
それとも、やはり、ふ~ちゃんが、ウィステの頭を、あの太い前足で、ポンと叩いたので、
ふ~ちゃんの声が零れ出てきたのか?とにかく、
「あんまり、びっくりさせないでよ、寿命が縮むから」
と、ウィステは、ウィステの脳にお願いしておいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
昔、昔、ウィステが子供だった頃くらい昔、家で飼っていたワンコが
死んだんだ。その後で、ハハが、
「暗くなって、外に出たら、向こうから光の玉が、喜んで駆け寄って来るって、
頭に浮かんだんだわ。きっと、あの仔ね」
と、言っていたっけ・・。
そのへんを漂っているわんちゃんも、また、声を聞かせて欲しいなあ・・。(^^)