元ライターの小説家への道

僕もまだ本気を出していません。

喉の奥が詰まるんだ

2005年08月11日 02時39分20秒 | 日々雑感
 最初に「オヤ?」と思ったのは彼の日記だった。何かが書いてあったわけではない。毎日のように書かれていた日記が空いたのだ。しかしそういうことは前にもあった。だから…というわけではないが、特別気にはしていなかった。

 次の異変はマイミクさんの日記だ。彼についてのことが書かれていたが、わけがわからない。それに対するカキコミも理解できない。ただ何かが起こったのだというのは分かった。その時、僕の脳裏をかすめたのが降板の二文字。後ろ向きか前向きかは分からないけど、番組を辞めてしまうのだ。そう思った。しかし違った。

 彼は一部の人たちの間で人気がある人だ。そのためmixiにも彼のコミュニティがある。そこを覗けば何か情報があるかもしれないと思い覗いてみたら、良からぬ雰囲気の言葉か書かれていた。彼の身に起こったこと…、事実関係を確認中…、一時的にコミュニティを閉鎖します…。何か悪いことが起きていると感じた。その時の僕が思ったのは「ドラッグ」という言葉だ。僕は彼と2度ほどオフ会でご一緒させてもらっている。話をした感じそういうことをする印象は、まったく受けなかった。しかし彼からは生粋のテレビマンという印象を受けていたので、テレビ業界ではノーマルのことなのかな…などと思った。しかし違った。

 彼は死んでいた。

 ネットを調べても真相が分からなかった。会社で2ちゃんを見るわけにいかないので、Yahoo!掲示板などを調べたが載っていなかった。仕方がないので彼を通じて知り合ったマイミクさんに「どうしたの?」というメールを送った。返信には「くも膜下出血で亡くなった」と書かれていた。最初は自分の目を疑ったが、話の辻褄が合う。仕事に手をつけられないままmixi内を彷徨う。少しずつリアリティある書き込みが増える。ゆるぎない事実を受け止めつつある頭と拒否する心。

 そのうち彼を中心にした知り合いで呑もうということになり、大和の彼馴染みのバーで酒を呑んだ。僕が遅い時間に駆けつけたときは湿っぽい空気はなくなっていた。僕は終電までぼんやりと時間を潰してから家に帰った。

 最近彼はFMやまとでラジオ番組を始めた。僕の家ではその放送を聴けないので、マイミクさんからMP3に変換したファイルを2本頂いていた。ノイズが多く聞き取りづらいMP3。正直面白くないな~と思いつつも、気がつくと放送時間の60分が終わっていた。2本目は聞かなくてもイイヤと思っていた彼のラジオ。

 しかし今僕の部屋には彼が歌う舘ひろしの「泣かないで」が流れている。喉の奥がひくひくと動くんだ。


『泣かないで』
作詞:今野雄二/宮原芽映
作曲:舘ひろし
編曲:神林早人

消し忘れた煙草 回り続けるレコード
途切れたままの言葉
そっと置いた指輪 言いかけてやめた嘘
冷めてしまった中国茶
お前の好きだった中国茶
覚えのあるピアノ 小刻みに動く指
塗り潰された写真
ひびの入ったグラス こわれそうな微笑み
色をなくした口紅 久しぶりにみた口紅

泣かないで 泣かないで 抱き寄せてしまうから
泣かないで 泣かないで

今よりもましな 優しさに会えるよ
俺の為に泣かないで

"このまま友達で さよならは言えないわ
弱くなったの 私 今も愛してるわ"
うつむきながらつぶやく
気の強い女だったろ 涙は嫌いのはずだろ

泣かないで 泣かないで 抱き寄せてしまうから
泣かないで 泣かないで
今よりもましな 優しさに会えるよ
俺の為に 泣かないで


ゴイゴイ!フォーエバー!
コメント
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