空港ターミナルの平面形態(1) からの続きです。
2-5 旅客の動線方式
空港に行くと、出発や到着のエリアで階段を上ったり下りたりする場合があります。ランドサイドからエアサイドまでの間を利用者がどのような動きをとるか、次のように定義されています。
1層方式/旅客の乗降をワンレベルで行なう。
1.5層方式/ランドサイド、エアサイドをそれぞれ1層、2層とし、旅客の流れを立体的にする方式。
2層方式/ランドサイド・エアサイドともに2層とし、出発・到着の流れを立体的にする方式。
多層方式/2層方式をさらに機能分離した方式。上記以外はすべてこれにあてはまる。
2-6 航空機の駐機方式
旅客の歩行距離を可能な限り短縮することがターミナルビル設計の一番大きなテーマですが、一方で駐機数をいかに最大限確保できるかも工夫されています。現在のところ、世界の大半の空港は下記のいずれかに分類されるといいます。
【集中方式】フロンタル/フィンガー/サテライト/ピア・サテライト/変形フロンタル/分離ピア/オープンエプロン
【分離方式】リニア
下図はエアポートハンドブックを参考に修正したもので、ピンク色はパッセンジャーエリアを示しています。
2-7 空港名の表記
羽田空港=東京国際空港のように、空港にはさまざまな呼び方がありますよね。世界には1万以上の空港があり、もちろん同じ名前の空港もあるのです。そこで、全世界共通の表記が用いられ、確実に区別されています。それをIATAコードと言います。IATAコードとは、国際航空運送協会(International Air Transport Association)が定めたもので、アルファベット3文字で表されます。ちなみに、羽田空港は「HND」、成田空港は「NRT」です。
第3章
前置きは2章までで、ここからが研究っぽくなってきます。
まずは世界の空港がどのような動線方式で作られているのか、また、どのような駐機方式で作られているのか分析します。ですが、1万個以上の空港を調べるのはさすがに不可能です。そこで、世界の主要な空港を統計などで選出し、それらを分析することにしました。
3-1 各種統計
さて、我々が使用した統計を下記に列挙します。
・利用者数、発着便数、貨物取扱各ベスト30
Airports Council International(ACI)のデータから
・世界の主要空港の面積
エアポートハンドブック2007(関西空港調査会 ※休刊)から
・空港へのアクセス時間【鉄道/タクシー/バス】
JALの機内誌であるSKYWARD 2008年3月号に掲載されたデータから
・WORLD AIRPORT AWARDS
スカイトラックス(SKYTRAX)社の統計データから
・世界の空港の効率/非効率性ランキング
アメリカ経済誌『フォーブス』が調査し発表したものから
統計情報はURL先の情報でご確認ください。
3-2 調査空港の選出
以上の統計から下記の条件で選出します。
・利用者数・発着便数ベスト30の空港
・空港の面積が2000ha以上
・都市部からのアクセス時間が30分以内
・WORLD AIRPORT AWARDSからベスト10、ベスト3
・世界の空港の非効率な空港
以上で選出すると37空港が該当しました。それらを地域別に分けてみると、北アメリカが15個を超える一方で、発展途上な地域は1~3個になってしまいます。また、現状だと日本は東京(HND)と福岡(FUK)だけになります(福岡空港が選出された理由は、都市部から空港へのアクセスが早いから)。やはり成田や関西が入ってくれないと調査する意味もないので、日本は営業時間やホテルの有無などを考慮して、新千歳(CTS)、成田(NRT)、中部(NGO)、関西(KIX)を追加。選出数が少ない地域は、その地域内での利用者数などを見込んで追加し、あわせて75空港を選出しました。
下図が選出した75個の空港一覧です。気になるコードはぜひ検索を!笑
次章はこれら75個の空港を「Google Earth」でそれぞれ検索し、データシートを作成していく作業になります。その際、それぞれどんな動線方式か、駐機方式かなどを検証します。
次回は、そのうちの一部と、75個の空港を調査した結果を発表したいと思います。
私も仕事上国内外の航空券を手配するので、ハブ空港や第三種空港など、国内についてはほぼ網羅してます
が、詳しい経緯などは存じなく、管理人さまのブログで気付きました
飛行機、空港も奥が深いですね
日本には無駄な空港がありすぎですね。
沖縄の島々も異様に多いですし…。
鉄道ばかりな私は、飛行機は滅多に乗りません。
なので、乗って世界各国を周った気分で取り組んできました(笑)