(山田長政も見たであろうタイの寺院)
(旅の終わりに)
今回の旅の最後はタイで、
メインはアユタヤ遺跡とトムヤンクンであった。
タイに飛行機で着陸したのが、夜の8:00頃であった。
その日の内に、計画ではトムヤンクンを食べるというか、
スープであるから飲むというか、戴く予定であった。
航空で荷物がなかなか出てこなかった関係で、
時間が遅れガイドさんがすこぶるあせっていたが、
観光客は、機内で夕食をたらふく食べた後であったので、
もうこれ以上お腹に入らない状態であった。
しかし、旅行社としては、観光予定にある以上、
どうしてもトムヤンクンを食べさせなければならない。
やっとの思いで、時間に間に合うレストランへ案内したが、
世界でも有数のこの美味しいトムヤンクンも、
この時ばかりは、お世辞にも美味しいと思えなかった。
人間の舌なんていい加減なものである。
おなかが空いていれば、どんな嫌いなものを頂いても美味しく感じるのに、
おなかが満ち足りているときに、世界三大スープのご馳走を頂いても、
決して美味しいとは思えないものだ。
(寺院の壁に刻まれたレリーフ)
(タイの民族衣装を身につけた女性)
日本を夜遅く出発するハワイ行きの飛行機と同じで、
夜9:00過ぎの出発では、
夕方6:00頃夕食をとり飛行機に搭乗するが、
飛行機が軌道に乗るや、夜食が出てくる。
出たものは食べなければ行儀が悪いと教わっている日本人は、
めでたく全部食べてしまう。
しばらくして、日付変更線を抜けるや、
朝食が出てきて、先ほど食べたにもかかわらず、無理やりお腹へいれる。
飛行機が着陸してホテルへ案内されると、
お昼ご飯。
ハワイでは歓迎をこめて、
アメリカンビーフのこってりした料理を出してくるに及んでは、
もはやギブアップせざるを得ない。
何と言っても12時間の間に四回も食事を取ることになり、
しかも睡眠はごく僅かしかしていない。
如何に大食漢といえども、すべてを食べこなしては、
お腹を壊す。
そんな感じで、トムヤンクンが出てきたから、
決して美味しくは感じなかった。
それでも出されたものを、食べ残しては行儀が悪い。
無理やり押し込んでしまった。
翌朝、約70キロも自動車を走らせて、アユタヤ遺跡についた。
この遺跡は、お釈迦様のお墓であるという。
エジプトのピラミッドには及ばないが、
それでも二百人は埋葬できるのではないかと思われる、
小山ほどの大きさのお墓であった。
(タイのアユタヤ遺跡の美しい夜景)
夕陽が沈むアユタヤの遺跡は、黄金に輝き荘厳な美しさであった。
ガイドさんは見るからに若々しい女性であった。
聞くところによれば、昨年(2001年)観光に来た日本人青年に見初められ、
昨年10月に結婚したという。
その結婚式の写真を見せてくれた。
日本人の青年は富山県の出身で28歳ということであったが、
彼女いわく「私は41歳」という。
どう見ても40歳には見えない若さだ。
年齢のことは、日本人の青年も、そのご両親も御存知というから問題はなさそう。
その時思い出した歌がある。
♪お月様いくつ?十三、七つ。まだ歳 若い♪
そこで考えた、替え歌。
♪お嬢さんいくつ?三十三、七つ。まだ歳 若い♪
しかし、彼女は今までタイ以外の外国には、
カンボジアにしか行ったことはない。
いつも暑いタイの気候には慣れているが、
日本の冬を知らないし、
第一、雪なんて映画でしか見たことがない。
日本人の青年の実家には8月に訪ねて、両親にも会ってきた。
この12月12日に富山へ移り住むことになっているが、
富山の気候はどうでしょうか? と訊かれた。
その時、次の歌が思い浮かんだ。
♪金襴緞子の帯締めながら、
花嫁御陵は何故泣くのだろ♪
そこで考えた替え歌。
♪セーター、コートにババシャツつけて、
タイ女(じょ)はお嫁に何故行くのだろう♪
私たちは11月末にタイを訪ねているが、
半袖姿で、汗を拭き拭き観光している。
東京は暖冬とはいえ、半袖では歩けない。
セーターに、コートが必要です。まして富山は東京より寒い。
雪もたくさん降る。
タイのように暑い季節は、一年で3ヶ月しかありません。と話した。
彼女は寒さを考え、先月セーターを一枚購入したらしい。
衣服といえば他に持っているのは、夏服ばかり。
しかもノースリーブのような衣服しか持っていないと、言っていた。
寒くて我慢できないような時は、
タイに逃げ帰るんだと語っていたが、
日本人の青年の愛情につつまれて、
暖かい新婚生活を楽しんでいるのだろうか?
別れ際に、日本へのお出でを心よりお待ちしています。
そしてお幸せに!と話した。
その後、もう10年も経過したが、彼女の消息をボクは知らない。
きっと、可愛い子供に恵まれて、
元気で幸せに暮らしていらっしゃるだろう。
そう願わずにいられない、素敵なガイドさんであった。
こうして、東南アジア三カ国の旅は終わりました。
東京の池袋で、タイを旅したとき食べたものとは違ったトムヤンクンを味わいながら、
6回にも亘り、過ぎ去った外国旅行を思い出していました。
(埼玉県にある古墳の一つ、やはり日本の風景のほうが美しい)