問 次の短歌の[ ]に入る語を、後の中から選べ。
働けど働けど なおわが暮らし楽にならざり [ ]手を見る
1 じっと 2 はっと 3 そっと 4 やっと 5 さっと
石川啄木の有名な短歌(歌集『一握の砂』より。表記はわかりやすく改めています)。
どれを入れても意味は通じるが、啄木は「1 じっと」としている。生活苦からくる嘆き、悲しみ、怒り、あきらめなどを考えると「じっと手を見る」がしっくりとくる。
最近、じっと手を見ることがよくある。かつて、何かの雑誌で、死期が近づいた人が自分の手をじっと見る「手鏡現象」という記事を読んだことがある。手のひらに過去の出来事が走馬灯のように映るとか・・・。それを思い出してドキリとしたが、私が見ているのは手のひらではなく、手の甲だとはっと気付いてほっとした。
年齢を重ねるごとに脂肪は減少する。手の甲は脂肪が少ないため、脂肪が減少するにつれてシワや血管が目立つようになる。しわくちゃになった手の甲をじっと見て、加齢を感じるのはさることながら、よくぞ24500日も動いてくれたものよと感心しているのである。
生後間もない赤ちゃんが自分の手を顔の前にかざして、じっと見つめる行動のことをハンドリガードという。リガード(regard)は英語で「~をじっと見る」という意味。自分に手というものがあって自分の意思で動かせることを発見しているのだという。私が手の甲をじっと見るのも、どうやらこれにちかい。
こんなにもしわくちゃになりながらも、まだ血が通う手の甲と指の動きを見て、自分の意思が健在であることを再確認しているのだろう。
ナス・トマト・オクラなどの夏野菜にはトゲがある。微妙に傷ついてシミになりやすいのでオロナインとメンタームを塗り分けている。まだまだハンドリガードができるように。
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