この歳になると町内外の年相応の役がまわってくる。
岡山から帰って一週間は、会費や組合費の徴収準備でてんてこまい。
一年目にしっかりと準備しておけば二年目からは楽になると腹に決めて、畑は休職状態。
たまに菜っ葉を収穫に行くと、冬至用に作っておいたカボチャが寒さで枯れかかっている。
完全に枯れてから収穫してニ、三週間寝かせれば(追熟)美味しい冬至南瓜になる。
さて、今日は野沢菜を収穫。
意外なことに野沢菜は蕪(かぶ)で、本場の野沢温泉では「蕪菜」とよんでいる。
江戸時代に野沢温泉村のお寺の住職が大阪から持ち帰った種子を畑にまいたことで野沢菜が誕生した。
その種子というのが大阪の伝統野菜「天王寺かぶ」。
野沢菜は大阪と縁が深い野菜だ。
本場の長野県では温泉水で洗って水をきって三週間ほど漬け込むが、大阪でそんな悠長なことはしてられない。
水道の水で洗って細かく切って、塩でもんで30分ほど水分を出す。
それを水で洗って、ザルでしばらく水分をきり、ジッパー袋に入れてパラリと塩をふって冷蔵庫へ。
早い話が野沢菜の浅漬け。
生の野沢菜は繊維が柔らかいので噛み切りやすく、年寄りには良い。
こいつをご飯の上に山盛り乗せて、お茶漬けの素をふって野沢菜茶漬けに。
ぴりりとした辛さがなんとも癖になる美味しさだ。
辛いといえば岡山で山わさび(西洋わさび)の根(地下茎)と、台湾山芋(大薯、だいじょ)をもらってきた。
岡山では、台湾山芋を短冊に切って、山わさびで食べた。
ねっちょりとした山芋に普通のわさび(本わさび)の二倍ほど辛い山わさびが、これまた善く合う。
冬至南瓜にしろ、野沢菜漬けにしろ、台湾山芋の山わさび短冊にしろ、原価0円の安っぽい料理だが、年寄りにとっては絶品グルメなのである。
山わさびは北海道の山中で自生しているほど寒さに強いので、植木鉢に早速植えた。
台湾山芋は寒さに弱いので、孫たちが食べたケンタッキーの入れ物に土を入れて、今年、畑で育てた新生姜と一緒に春まで保存。
まだ冬になっていないのに来年の春が待ち遠しい。
これもまた、料金0円の年寄りのエンターテーメントなのである。
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