大阪のおばちゃんは、いつも飴を持っているというのは有名だが、おっちゃんだって持っている。
最近、飴ちゃんにはまっている。
お気に入りはK社の珈琲飴。
少し甘いが、下手なコーヒーを飲んでいるより美味い。
最初はウォーキングの喉潤しにと買ったが、最近は、寝る前にも一粒口に含む。
昔だったら以ての外だったが、砂糖・糖類ゼロのノンシュガーだから罪悪感はない。
布団の中で湯たんぽ抱いて、甘ほろ苦さを堪能する至福のひと時である。
砂糖に水を入れて煮詰める。
100度くらいになるとシロップができる。
さらに煮詰めて120度くらいにするとキャラメル。
150度まで煮詰めるとドロップができる。
160度まで煮詰めて、ようやく金色のべっこう飴になる。
砂糖の固まりだから、代表的なべっこう飴の黄金糖は一粒19kcalもある。
グリコのキャラメル1粒は16.5kcalで、300m走るのに必要なカロリーがある。
一箱8粒食べると132kcalで、食パン(6枚切り)1枚150kcalにほぼ匹敵する。
「一粒300m」だから、8粒食べたら2400m走らなければカロリーは消費できない。
昭和50年ころまで、代表的な調味料の味噌、醤油、砂糖の中で、砂糖が最も高価だった。
だから、みんな、甘いものに飢えていた。
チョコレートやキャラメルもあったが、ぜいたくな存在だった。
その点、飴は一個1円でバラ売りしてくれていたので、気軽なおやつだった。
「飴ちゃんあげよか」と言われて断る者はいなかった。
大阪のおばちゃんの「飴ちゃんあげよか?」は、そんな子どもの頃の経験を引きずっているのに違いない。
昔は、どこの畑にもサトウキビが植えられていた。
畦道を歩いていると、おっちゃんが「サトウキビしがむか?」と言って、鎌で切って、くれた。
硬い皮を歯でむいて、中の芯をむしゃむしゃとしがむ。
牛が口の中で牧草をもぐもぐするように咀嚼(そしゃく)する。
すると、甘い汁が口の中いっぱいににひろがる。
砂糖の原料だが、砂糖とは違った上品な、程よい甘さ。
それが忘れられずに、畑に植えてみたが育たない。
そんな話を仲間にしたら、「俺も植えたけどアカンかった」。
「わしもや!」、「ワイもやががな!」
みんな、あの甘さが忘れられないのだ。
飴ちゃんはサトウキビの代用なのかもしれない。
大阪のおばちゃんもおっちゃんも、子どもの頃の、あの甘いノスタルジアにひたりたいのだ。
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