「杉本博司 本歌取り 東下り」展
『杉本は、近年、和歌の伝統技法「本歌取り」を日本文化の本質的営みと捉え、自身の作品制作に援用する試みを行っています。 そして、 このコンセプトのもとに、2022年には姫路市立美術館で「本歌取り」展として作品を集結させました。
本歌取りとは、 本来、 和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌 (本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、 そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌を作る手法のことです。 そこでは、作者は本歌と向き合い、理解を深めたうえで、 本歌取りの決まりごとの中で本歌と比肩する、あるいはそれを超え る歌を作ることが求められます。』松濤美術館ご挨拶より
姫路市立美術館での「本歌取り」展から渋谷へ『本歌取り 東下り』展になったわけですね
写真公式サイトより
杉本博司(1948〜)
東京都台東区出身、写真家、建築家、演出家、現代美術家、古美術コレクター、ニューヨークと東京を拠点に活躍
1990年代より、日本の伝統様式の引用・再解釈(本歌取り)による作品を発表
展示の最初は、新作の写真屏風
写真が見事な屏風になることに驚く
北斎の「富嶽三十六景凱風快晴」を本歌にして制作した「富士山図屏風」
杉本博司 春日大社藤棚図屏風 2022年
法師物語絵巻(部分) 室町時代15世紀 小田原文化財団蔵
なかなか面白い絵巻です!!
法師物語は、有名な狂言の「附子」のプロットと同じで、甘い蜜を「死に薬」と称して和尚は小法師に舐める事を禁じる。小法師は和尚のたくらみに気付き、大切な茶碗を割り、死んで詫びようと「死に薬」を舐めたが死ねないと和尚に泣きつく。
杉本博司は、「杉本狂言 本歌取り」を企画・構成し、人間国宝の野村万作と孫の野村裕基により2023年11月9日に上演される。
杉本博司 歴史の歴史東西習合図
2008年
五髻文殊菩薩像をモチーフに、スターリン、ド・ゴール、マッカーサー、カール・マルクスなどの写真を諸仏のように配置する
叫ぶ女 土偶 縄文時代中期
杉本博司 歪曲的宇宙観 2010年
眼科医の証言01 02 2014年
三鈷剣 鎌倉時代
杉本博司 カルフォルニア・コンドル 1994年
ブロークン・ミリメーター 2005年
杉本博司 相模湾、江之浦 2021年
ジャック=ファビアン・ゴーティェ・ダゴディ 「Myologie完全版」より
18世紀
日本美術史に連なる現代美術家
杉本博司の遊び心が愉しめる
★★★★☆
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