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古今東西のアートのお話をしよう

小説 “黄色い写真” 川上未映子




宣伝のため黄色の服を着た川上未映子、“あのちゃん”かと思った…


あらすじは、(ネット記事より)
『2020年春、伊藤花はニュース記事に吉川黄美子の名前を見つけ、20年前のあの日々を思い出す。中学生だった花は、スナックで働く母親と古く小さな文化住宅で暮らしていた。15歳の夏、母の友人である黄美子と出会う。高校卒業を前に、貯めたバイト代を母の元恋人に盗られた花は家を飛び出し、「黄色い家」で黄美子、加藤蘭、玉森桃子と暮らしはじめた。少女たちは生きるため、いつしか犯罪に手を染めていくが、歪んだ共同生活はある事件をきっかけに瓦解へ向かい……』

“黄色い家”は、川上未映子初めての「読売新聞」連載小説です
2021年7月から2022年10月まで掲載されています
話のテーマは“夏物語”で予告された(主人公は小説家)「犯罪」で、1992年3月に施行された「暴対法」の数年後、偽造キャシュカード、偽造クレジットカードによる「カード詐欺」の“出し子”になった少女たちの物語です

“ヘヴン”が、イジメを題材にした哲学的小説 “すべて真夜中の恋人たち”は、アラフォー女性の仕事と恋愛に関する詩的表現 “夏物語”は、人間の生殖、生命の意味を問う壮大なテーマという前3作に比べると、「カード詐欺」に加担する少女と取り巻く大人という設定はなんとも卑近で浅薄で、そこからジャン・ジュネの“泥棒日記”にように、自己を客体化し人間存在の闇を深掘りしようというも意志も感じられない

それに、キャシュカード、クレジットカードを取り巻く環境は、90年代半ばからインターネット、Eコマース、スマートフォンの出現で様変わりしており、デジタルテクノロジーの陳腐化は小説のモチーフとなるには致命的である


★★★☆☆

残念ながら “夏物語” “すべて真夜中の恋人たち” “ヘヴン”とは比較出来ません

伊藤花の一人称で語られる物語は、読者に共感されない違和感をギャグとして表現したかったのあろうが、成功しなかったようだ


【参考】ネット画像

金持ちの家出娘“玉森桃子”が実家から持ち出した“クリスチャン・ラッセン”の絵は、この時代、フェイクを描く「黄色い家」の象徴なのだろう



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