万葉短歌-悠山人編

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万葉短歌1140 しなが鳥1035

2013年10月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌1140 しなが鳥1035

しなが鳥 猪名野を来れば 有馬山
夕霧立ちぬ 宿りはなくて  

1035     万葉短歌1140 ShuD102 2013-1015-man1140

しながどり ゐなのをくれば ありまやま
  ゆふぎりたちぬ やどりはなくて
=未詳。作者名・脚注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「摂津作」(つのくにさく)。全3首の第1首。左注読下しに<一本には「猪名の浦みを 漕ぎ来れば」といふ>。
【訓注】しなが鳥(しながどり=志長鳥)[鸊鷉(へきてい、かいつぶり)、鳰鳥(にほどり)]。猪名野(ゐなの=居名野)[伊丹市猪名川流域]。


万葉短歌1139 ちはや人1034

2013年10月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌1139 ちはや人1034

ちはや人 宇治川波を 清みかも
旅行く人の 立ちかてにする  

1034     万葉短歌1139 ShuD099 2013-1014-man1139

ちはやひと うぢかはなみを きよみかも
  たびゆくひとの たちかてにする
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「山背作」(やましろさく)。全5首の第5首。
【訓注】ちはや人(ちはやひと=千早人)。宇治川波を(うぢかはなみを=氏川浪乎)。旅行く人(たびゆくひと=旅去人)。


万葉短歌1138 宇治川を1033

2013年10月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌1138 宇治川を1033

宇治川を 舟渡せをと 呼ばへども
聞こえずあらし 楫の音もせず  

1033     万葉短歌1138 ShuD098 2013-1013-man1138

うぢがはを ふねわたせをと よばへども
  きこえずあらし かぢのおともせず
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「山背作」(やましろさく)。全5首の第4首。
【訓注】宇治川を(うぢがはを=氏河乎)。舟(ふね=船)。呼ばへども(よばへども=雖喚)。楫(かぢ=檝)。


万葉短歌1137 宇治人の1032

2013年10月12日 | 万葉短歌

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万葉短歌1137 宇治人の1032

宇治人の 譬への網代 我れならば
今は寄らまし 木屑来ずとも  

1032     万葉短歌1137 ShuD098 2013-1012-man1137

うぢひとの たとへのあじろ われならば
  いまはよらまし こつみこずとも
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「山背作」(やましろさく)。全5首の第3首。
【訓注】宇治人の(うぢひとの=氏人之)。譬へ(たとへ=譬)。網代(あじろ=足白)。我れ(われ=吾)。木屑(こつみ=木積)。


万葉短歌1136 宇治川に1031

2013年10月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌1136 宇治川に1031

宇治川に 生ふる菅藻を 川早み
採らず来にけり つとにせましを  

1031     万葉短歌1136 ShuD098 2013-1011-man1136

うぢがはに おふるすがもを かははやみ
  とらずきにけり つとにせましを
=作者未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「山背作」(やましろさく)。全5首の第2首。
【訓注】宇治川に(うぢがはは=氏河尓)。川(かは=河)。採らず(とらず=不取)。つと(褁)[包]


万葉短歌1135 宇治川は1030

2013年10月10日 | 万葉短歌

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万葉短歌1135 宇治川は1030

宇治川は 淀瀬なからし 網代人
舟呼ばふ声 をちこち聞こゆ  

1030     万葉短歌1135 ShuD098 2013-1010-man1135

うぢがはは よどせなからし あじろひと
  ふねよばふこゑ をちこちきこゆ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「山背作」(やましろさく)。全5首の第1首。
【訓注】宇治川は(うぢがはは=氏河歯)。淀瀬(よどせ=与杼湍)。網代人(あじろひと=阿自呂人)。声(こゑ=音)。をちこち(越乞)。


万葉短歌1134 吉野川1029

2013年10月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌1134 吉野川1029

吉野川 巌と柏と 常磐なす
我れは通はむ 万代までに  

1029     万葉短歌1134 ShuD095 2013-1009-man1134

よしのがは いはほとかへと ときはなす
  われはかよはむ よろづよまでに
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「吉野作」。全5首の第5首。
【訓注】吉野川(よしのがは=能野川)。巌と柏と(いはほとかへと=石迹柏等)。常磐なす(ときはなす=時歯成)。万代までに(よろづよまでに=万世左右二)。


万葉短歌1133 すめろきの1028

2013年10月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌1133 すめろきの1028

すめろきの 神の宮人 ところづら
いやとこしくに 我れかへり見む  

1028     万葉短歌1133 ShuD095 2013-1008-man1133

すめろきの かみのみやひと ところづら
  いやとこしくに われかへりみむ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「吉野作」。全5首の第4首。
【訓注】すめろき(皇祖神)。ところづら(冬薯蕷葛)。いやとこしくに(弥常敷尓)。我れ(われ=吾)。


万葉短歌1132 夢のわだ1027

2013年10月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌1132 夢のわだ1027

夢のわだ 言にしありけり うつつにも
見て来るものを 思ひし思へば  

1027     万葉短歌1132 ShuD095 2013-1007-man1132

いめのわだ ことにしありけり うつつにも
  みてけるものを おもひしおもへば
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「吉野作」。全5首の第3首。
【訓注】夢(いめ)。わだ(和太)。言(こと=事)。うつつに(窹)。見て来る(みてける=見而来)。思ひし思へば(念四念者)。


万葉短歌1131 皆人の1026

2013年10月06日 | 万葉短歌

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万葉短歌1131 皆人の1026

皆人の 恋ふるみ吉野 今日見れば
うべも恋ひけり 山川清み  

1026     万葉短歌1131 ShuD095 2013-1006-man1131

みなひとの こふるみよしの けふみれば
  うべもこひけり やまかわきよみ
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「吉野作」。全5首の第2首。
【訓注】恋ふる(=こふる恋)。み吉野(みよしの=三吉野)。うべ(諾)。恋ひけり(こひけり=恋来)。


万葉短歌1130 神さぶる1025

2013年10月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌1130 神さぶる1025

神さぶる 岩根こごしき み吉野の
水分山を 見れば悲しも  

1025     万葉短歌1130 ShuD094 2013-1005-man1130

かむさぶる いはねこごしき みよしのの
  みくまりやまを みればかなしも
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「吉野作」。全5首の第1首。
【訓注】神さぶる(かむさぶる=神左振)。岩根(いはね=磐根)。こごしき(己凝敷)。み吉野(みよしの=三吉野)。水分山(みくまりやま)[青根我峯、奈良県吉野町]。


万葉短歌1129 琴取れば1024

2013年10月04日 | 万葉短歌

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万葉短歌1129 琴取れば1024

琴取れば 嘆き先立つ けだしくも
琴の下樋に 妻や隠れる  

1024     万葉短歌1129 ShuD092 2013-1004-man1129

こととれば なげきさきだつ けだしくも
  ことのしたびに つまやこもれる
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠倭琴」(やまとことをよむ)。
【訓注】琴(こと)[六弦琴]。下樋(したび)[地下導水管、空洞]。妻(つま=嬬)。隠れる(こもれる=匿有)。


万葉短歌1128 馬酔木なす1023

2013年10月03日 | 万葉短歌

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万葉短歌1128 馬酔木なす1023

馬酔木なす 栄えし君が 掘りし井の
石井の水は 飲めど飽かぬかも  

1023     万葉短歌1128 ShuD090 2013-1003-man1128

あしびなす さかえしきみが ほりしゐの
  いしゐのみづは のめどあかぬかも
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠井」(ゐをよむ)。全2首の第2首。
【訓注】馬酔木(あしび=安志妣)。掘りし井(ほりしゐ=穿之井)。


万葉短歌1127 落ちたぎつ1022

2013年10月02日 | 万葉短歌

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万葉短歌1127 落ちたぎつ1022

落ちたぎつ 走井水の 清くあれば
置きては我れは 行きかてぬかも  

1022     万葉短歌1127 ShuD090 2013-1002-man1127

おちたぎつ はしりゐみづの きよくあれば
  おきてはわれは ゆきかてぬかも
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠井」(ゐをよむ)。全2首の第1首。
【訓注】落ちたぎつ(おちたぎつ=隕田寸津)。走井水(はしりゐみづ)。我れ(われ=吾)。行きかてぬ(ゆきかてぬ=去不勝)。


万葉短歌1126 年月も1021

2013年10月01日 | 万葉短歌

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万葉短歌1126 年月も1021

年月も いまだ経なくに 明日香川
瀬々ゆ渡しし 石橋もなし  

1021     万葉短歌1126 ShuD088 2013-1001-man1126

としつきも いまだへなくに あすかがは
  せぜゆわたしし いしばしもなし
=未詳。作者名・脚注・左注のいずれもない。
【編者注】題詞原文は、「詠故郷」。全2首の第2首。
【訓注】年月(としつき)。瀬々(せぜ=湍瀬)。石橋も(いしばしも=石走)。