万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌2149 山辺には1980

2016年06月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌2149 山辺には1980

山辺には さつ男のねらひ 畏けど
を鹿鳴くなり 妻が目を欲り  

1980     万葉短歌2149 ShuE557 2016-0630-man2149

やまへには さつをのねらひ かしこけど
 をしかなくなり つまがめをほり
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第9首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第154首。
【訓注】山辺(やまへ)。さつ男(さつを=薩雄)。ねらひ(祢良比)。畏けど(かしこけど=恐跡)。を鹿(をしか=小壮鹿)。


万葉短歌2148 あしひきの1979

2016年06月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌2148 あしひきの1979

あしひきの 山より来せば さを鹿の
妻呼ぶ声を 聞かましものを  

1979     万葉短歌2148 ShuE557 2016-0629-man2148

あしひきの やまよりきせば さをしかの
 つまよぶこゑを きかましものを
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第8首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第153首。
【訓注】あしひきの(足日木笶)。さを鹿(さをしか=左小鹿)。妻呼ぶ声を(つまよぶこゑを=妻呼音)。


万葉短歌2147 山の辺に1978

2016年06月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌2147 山の辺に1978

山の辺に い行くさつ男は 多かれど
山にも野にも さを鹿鳴くも  

1978     万葉短歌2147 ShuE557 2016-0628-man2147

やまのへに いゆくさつをは おほかれど
 やまにものにも さをしかなくも
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第7首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第152首。
【訓注】山の辺(やまのへ=山辺)。い行くさつ男(いゆくさつを=射去薩雄)[猟師。03-0267山能佐都雄(やまのさつを)、09-1678昔弓雄(むかしさつを)、10-2148薩雄(さつを)]。山にも野にも(やまにものにも=山尓文野尓文)。さを鹿(さをしか=沙小壮鹿)。


万葉短歌2146 山近く1977

2016年06月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌2146 山近く1977

山近く 家や居るべき さを鹿の
声を聞きつつ 寐寝かてぬかも  

1977     万葉短歌2146 ShuE557 2016-0627-man2146

やまちかく いへやをるべき さをしかの
 こゑをききつつ いねかてぬかも
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第6首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第151首。
【訓注】さを鹿(さをしか=左小壮鹿)。声(こゑ=音)。寐寝(いね=宿)。


万葉短歌2145 秋萩の1976

2016年06月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌2145 秋萩の1976

秋萩の 恋も尽きねば さを鹿の
声い継ぎい継ぎ 恋こそまされ  

1976     万葉短歌2145 ShuE554 2016-0626-man2145

あきはぎの こひもつきねば さをしかの
 こゑいつぎいつぎ こひこそまされ
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第5首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第150首。
【訓注】秋萩(あきはぎ=秋芽子)。さを鹿(さをしか=左壮鹿)。い継ぎい継ぎ(いつぎいつぎ=伊続伊継)。恋こそまされ(こひこそまされ=恋許増益焉)。


万葉短歌2144 雁は来ぬ1975

2016年06月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌2144 雁は来ぬ1975

雁は来ぬ 萩は散りぬと さを鹿の
鳴くなる声も うらぶれにけり  

1975     万葉短歌2144 ShuE554 2016-0625-man2144

かりはきぬ はぎはちりぬと さをしかの
 なくなるこゑもうらぶれにけり
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第4首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第149首。
【訓注】雁は(かりは=鴈)。萩(はぎ=芽子)。さを鹿(さをしか=左小壮鹿)。鳴くなる声(なくなるこゑ=鳴成音)。うらぶれにけり(裏触丹来)。


万葉短歌2143 君に恋ひ1974

2016年06月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌2143 君に恋ひ1974

君に恋ひ うらぶれ居れば 敷の野の
秋萩しのぎ さを鹿鳴くも  

1974     万葉短歌2143 ShuE554 2016-0624-man2143

きみにこひ うらぶれをれば しきののの
 あきはぎしのぎ さをしかなくも
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第3首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第148首。
【訓注】君に恋ひ(きみにこひ=於君恋)。うらぶれ(裏触)。敷の野(しきのの=敷野)[所在未詳。大和国磯城(しき)郡説は疑問、と依拠本]。さを鹿(さをしか=左小壮鹿)。


万葉短歌2142 さを鹿の1973

2016年06月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌2142 さを鹿の1973

さを鹿の 妻ととのふと 鳴く声の
至らぬ極み 靡け萩原  

1973     万葉短歌2142 ShuE554 2016-0623-man2142

さをしかの つまととのふと なくこゑの
 いたらぬきはみ なびけはぎはら
=未詳。
【編者注】「詠鹿鳴」(2141~2156、16首)の第2首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第147首。
【訓注】さを鹿(さをしか=左男壮鹿)。妻ととのふ(つまととのふ=妻整)[02-0199(長歌)齊流(ととのふる)、03-0238調流(ととのふる)]。鳴く声(なくこゑ=鳴音)。萩原(はぎはら=芽子原)。


万葉短歌2141 このころの1972

2016年06月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌2141 このころの1972

このころの 秋の朝明に 霧隠り
妻呼ぶ鹿の 声のさやけさ  

1972     万葉短歌2141 ShuE553 2016-0622-man2141

このころの あきのあさけに きりごもり
 つまよぶしかの こゑのさやけさ
=未詳。
【編者注】題詞は「詠鹿鳴(ろくめい)」(2141~2156、16首)、その第1首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第146首。
【訓注】このころ(此日)。朝明(あさけ=朝開)。霧隠り(きりごもり=霧隠)。妻呼ぶ鹿(つまよぶしか=妻呼雄鹿)。声のさやけさ(こゑのさやけさ=音之亮左)。


万葉短歌2140 あらたまの1971

2016年06月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌2140 あらたまの1971

あらたまの 年の経ゆけば 率ふと
夜渡る我れを 問ふ人や誰れ  

1971     万葉短歌2140 ShuE551 2016-0621-man2140

あらたまの としのへゆけば あどもふと
 よわたるわれを とふひとやたれ
=未詳。
【編者注】「詠鴈」(2128~2140、13首)の第13首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第145首。
【訓注】あらたまの(璞)[下記注]。率ふ(あどもふ=阿跡念)。
【編者注-あらたまの】対応用字「璞(音訓は「ぼく」)」の出現個所は、10-2092(長歌)璞、-2140璞、11-2410璞之、-2530璞之、-2534璞之、12-2935璞之、17-3978(長歌)荒璞能。ほかは「荒玉」で、「新玉」はない。


万葉短歌2139 ぬばたまの1970

2016年06月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌2139 ぬばたまの1970

ぬばたまの 夜渡る雁は おほほしく
幾夜を経てか  おのが名を告る  

1970     万葉短歌2139 ShuE551 2016-0620-man2139

ぬばたまの よわたるかりは おほほしく
 いくよをへてか おのがなをのる
=未詳。
【編者注】「詠鴈」(2128~2140、13首)の第12首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第144首。
【訓注】ぬばたまの(野干玉之)。雁(かり=鴈)。おほほしく(欝)[下記注]。
【編者注-おほほしく】ぼんやり、かすか。対応原文の出現は、02-0175欝悒、-0189欝悒、-0220(長歌)欝悒久、04-0677欝、05-0884意保々斯久、-0887意保々斯久、06-0982不清、07-1225欝之苦、10-1909欝、-1921不明、-2139欝、-2241凡々、11-2449於保々思久、-2450於保々思久、12-3003不明、14-3571於保々思久。


万葉短歌2138 鶴がねの1969

2016年06月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌2138 鶴がねの1969

鶴がねの 今朝鳴くなへに 雁がねは
いづくさしてか 雲隠るらむ  

1969     万葉短歌2138 ShuE549 2016-0619-man2138

たづがねの けさなくなへに かりがねは
 いづくさしてか くもがくるらむ
=未詳。
【編者注】「詠鴈」(2128~2140、13首)の第11首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第143首。
【訓注】鶴がね(たづがね=多頭我鳴)。なへに(奈倍尓)[下記注]。雁がね(かりがね=鴈鳴)。さしてか(指香)。雲隠る(くもがくる=雲隠)。
【依拠本注-なへ】二つの動作が並行して行なわれることを表わす。この語によって、一方で雲隠れして飛ぶ雁の声を知ることができる。


万葉短歌2137 つとに行く1968

2016年06月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌2137 つとに行く1968

つとに行く 雁の鳴く音は 我がごとく
物思へれかも 声の悲しき  

1968     万葉短歌2137 ShuE549 2016-0618-man2137

つとにゆく かりのなくねは あがごとく
 ものもへれかも こゑのかなしき
=未詳。
【編者注】「詠鴈」(2128~2140、13首)の第10首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第142首。
【訓注】つとに(朝尓)[下記注]。雁(かり=鴈)。鳴く音(なくね=鳴音)。我がごとく(あがごとく=如吾)。物想へれ(ものもへれ=物念)。声の悲しき(こゑのかなしき=声之悲)。
【依拠本注-つとに】朝早くに、の意。ほかに例がないのでアサニユクの訓もある(…)。しかし、「あさ」「けさ」「昨日」「今日」など、時を表わす名詞は、「に」を伴わずに副詞的に用いるのを習いとする。


万葉短歌2136 秋風に1967

2016年06月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌2136 秋風に1967

秋風に 山飛び越ゆる 雁がねの
声遠ざかる 雲隠るらし  

1967     万葉短歌2136 ShuE549 2016-0617-man2136

あきかぜに やまとびこゆる かりがねの
 こゑとほざかる くもがくるらし
=未詳。
【編者注】「詠鴈」(2128~2140、13首)の第9首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第141首。
【訓注】雁がね(かりがね=鴈鳴)。声(こゑ)。雲隠る(くもがくる=雲隠)。


万葉短歌2135 おしてる1966

2016年06月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌2135 おしてる1966

おしてる 難波堀江の 葦辺には
雁寝たるかも 霜の降らくに  

1966     万葉短歌2135 ShuE547 2016-0616-man2135

おしてる なにはほりえの あしへには
 かりねたるかも しものふらくに
=未詳。
【編者注】「詠鴈」(2128~2140、13首)の第8首。秋雑歌(10-1996~2238、二百四十三首)の第140首。
【訓注】おしてる(押照)[下記注]。難波堀江(なにはほりえ=難波穿江)[大阪市中央区天満橋辺]。葦辺(あしへ)。雁寝たる(かりねたる=鴈宿有)。
【編者注-おしてる】「難波」の枕詞。対応原文は、03-0443(長歌)押光、04-0619(長歌)押照、06-0928(長歌)忍照、-0933(長歌)臨照、-0977押照、08-1428(長歌)臨照、10-2135押照、11-2819臨照、13-3300(長歌)忍照、16-3886(長歌)忍照、忍光、19-4245(長歌)忍照、20-4360(長歌)於之弖流、-4361於之弖流、-4365於之弖流。