2017-0930-man2608
万葉短歌2608 妹が袖2420
妹が袖 別れし日より 白栲の
衣片敷き 恋ひつつぞ寝る ○
2420 万葉短歌2608 ShuF252 2017-0930-man2608
□いもがそで わかれしひより しろたへの
ころもかたしき こひつつぞぬる
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第92首。男。
【訓注】白栲(しろたへ=白細)。恋ひつつぞ寝る(こひつつぞぬる=恋管曽寐留)。
2017-0930-man2608
万葉短歌2608 妹が袖2420
妹が袖 別れし日より 白栲の
衣片敷き 恋ひつつぞ寝る ○
2420 万葉短歌2608 ShuF252 2017-0930-man2608
□いもがそで わかれしひより しろたへの
ころもかたしき こひつつぞぬる
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第92首。男。
【訓注】白栲(しろたへ=白細)。恋ひつつぞ寝る(こひつつぞぬる=恋管曽寐留)。
2017-0929-man2607
万葉短歌2607 敷栲の2419
敷栲の 衣手離れて 我を待つと
あるらむ子らは 面影に見ゆ ○
2419 万葉短歌2607 ShuF252 2017-0929-man2607
□しきたへの ころもでかれて あをまつと
あるらむこらは おもかげにみゆ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第91首。男。
【訓注】敷栲(しきたへ=敷細)。離れて(かれて=可礼天)。我(あ=吾)。面影(おもかげ)。
2017-0928-man2606
万葉短歌2606 人目多み2418
人目多み 常かくのみし さもらはば
いづれの時か 我が恋ひずあらむ ○
2418 万葉短歌2606 ShuF252 2017-0928-man2606
□ひとめおほみ つねかくのみし さもらはば
いづれのときか あがこひずあらむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第90首。男。
【訓注】人目(ひとめ)。さもらはば(候者)。いづれの時か(いづれのときか=何時)。我が(あが=吾)。
2017-0927-man2605
万葉短歌2605 玉桙の2417
玉桙の 道行きぶりに 思はぬに
妹を相見て 恋ふるころかも ○
2417 万葉短歌2605 ShuF252 2017-0927-man2605
□たまほこの みちゆきぶりに おもはぬに
いもをあひみて こふるころかも
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第89首。男。
【訓注】玉桙(たまほこ)。恋ふるころ(こふるころ=恋比)。
2017-0926-man2604
万葉短歌2604 思ひ出でて2416
思ひ出でて 音には泣くとも いちしろく
人の知るべく 嘆かすなゆめ ○
2416 万葉短歌2604 ShuF252 2017-0926-man2604
□おもひいでて ねにはなくとも いちしろく
ひとのしるべく なげかすなゆめ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第88首。女。
【訓注】思ひ出で(おもひいで=念出)。音には泣くとも(ねにはなくとも=哭者雖泣)。いちしろく(灼然)。ゆめ(謹)。
2017-0925-man2603
万葉短歌2603 心をし2415
心をし 君に奉ると 思へれば
よしこのころは 恋ひつつをあらむ ○
2415 万葉短歌2603 ShuF252 2017-0925-man2603
□こころをし きみにまつると おもへれば
よしこのころは こひつつをあらむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第87首。女。
【訓注】奉る(まつる=奉)。よしこのころは(縦比来者)。恋ひつつ(こひつつ=恋乍)。
2017-0924-man2602
万葉短歌2602 黒髪の2414
黒髪の 白髪までと 結びてし
心ひとつを 今解かめやも ○
2414 万葉短歌2602 ShuF252 2017-0924-man2602
□くろかみの しろかみまでと むすびてし
こころひとつを いまとかめやも
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第86首。女。
【原文】11-2602 黒髪 白髪左右跡 結大王 心一乎 今解目八方 作者未詳
【編者注-結びてし】「てし」の原文は「大王」。この対応は、ほかに10-2092天験常 定大王(あまつしるしと さだめてし)、11-2834本繁 言大王物乎(もとしげく いひてしものを)の2例だけ。その他の「大王」はすべて「おほきみ」訓。
2017-0923-man2601
万葉短歌2601 うつつにも2413
うつつにも 夢にも我れは 思はずき
古りたる君に ここに逢はむとは ○
2413 万葉短歌2601 ShuF252 2017-0923-man2601
□うつつにも いめにもわれは おもはずき
ふりたるきみに ここにあはむとは
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第85首。女。
【訓注】我れは(われは=吾者)。思はずき(おもはずき=不思寸)[下記注。04-0601吾者不念寸(われはおもはずき)、-609我者不念寸(われはおもはずき)、11-2601不思寸]。
【依拠本注-思はずき】回想の助動詞「き」「けり」「けむ」は、上代では、打消の助動詞「ず」にじかに接続する。
2017-0922-man2600
万葉短歌2600 百代しも2412
百代しも 千代しも生きて あらめやも
我が思ふ妹を 置きて嘆かむ ○
2412 万葉短歌2600 ShuF249 2017-0922-man2600
□ももよしも ちよしもいきて あらめやも
あがおもふいもを おきてなげかむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第84首。男。
【訓注】百代…千代(ももよ…ちよ=百世…千代)。我が思ふ(あがおもふ=吾念)。
2017-0921-man2599
万葉短歌2599 験なき2411
験なき 恋をもするか 夕されば
人の手まきて 寝らむ子ゆゑに ○
2411 万葉短歌2599 ShuF249 2017-0921-man2599
□ためしなき こひをもするか ゆふされば
ひとのてまきて ぬらむこゆゑに
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第83首。男。
【訓注】恋をもするか(こひをもするか=恋毛為鹿)。夕されば(ゆふされば=暮去者)。
2017-0920-man2598
万葉短歌2598 遠くあれど2410
遠くあれど 君にぞ恋ふる 玉桙の
里人皆に 我れ恋ひめやも ○
2410 万葉短歌2598 ShuF249 2017-0920-man2598
□とほくあれど きみにぞこふる たまほこの
さとびとみなに あれこひめやも
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第82首。女。
【訓注】君にぞ(きみにぞ=公衣)。里人(さとびと)。我れ恋いめやも(あれこひめやも=吾恋八方)。
2017-0919-man2597
万葉短歌2597 いかにして2409
いかにして 忘れむものぞ 我妹子に
恋はまされど 忘らえなくに ○
2409 万葉短歌2597 ShuF243 2017-0919-man2597
□いかにして わすれむものぞ わぎもこに
こひはまされど わすらえなくに
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第81首。男。
【訓注】いかにして(何為而)。忘れむものぞ(忘物)。恋はまされど(こひはまされど=恋益跡)。
2017-0918-man2596
万葉短歌2596 慰もる2408
慰もる 心はなしに かくのみし
恋ひやわたらむ 月に日に異に ○
2408 万葉短歌2596 ShuF243 2017-0918-man2596
□なぐさもる こころはなしに かくのみし
こひやわたらむ つきにひにけに
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第80首。男。左注に、「或本歌曰 奥津浪 敷而耳八方 恋度奈牟」(沖つ波 しきてのみやも 恋ひわたりなむ)。
【訓注】慰もる(なぐさもる=名草漏)。月に日に異に(つきにひにけに=月日殊)。
2017-0917-man2595
万葉短歌2595 夢にだに2407
夢にだに 何かも見えぬ 見ゆれども
我れかも惑ふ 恋の繁きに ○
2407 万葉短歌2595 ShuF243 2017-0917-man2595
□いめにだに なにかもみえぬ みゆれども
われかもまどふ こひのしげきに
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第79首。男。
【訓注】夢に(いめに=夢)。我れかも惑ふ(われかもまどふ=吾鴨迷)。
2017-0916-man2594
万葉短歌2594 行かぬ我を2406
行かぬ我を 来むとか夜も 門閉さず
あはれ我妹子 待ちつつあるらむ ○
2406 万葉短歌2594 ShuF243 2017-0916-man2594
□ゆかぬわを こむとかよるも かどささず
あはれわぎもこ まちつつあるらむ
○=出典未詳。
【編者注】「正述心緒」(2517~2618、102首)の第78首。男。
【原文】11-2594 不徃吾 来跡可夜 門不閇 憾怜吾妹子 待筒在 作者未詳
【編者注-閇】「閉」と互換。「さす」訓の出現は、この歌のほか、12-2912屋戸閇勿勤(やどさすなゆめ)、12-3211戸毛閇而有乎(ともさしたるを)、計3か所。