万葉短歌0000 開肇献詠
訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森 悠山人
0000 万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
=万葉短歌 開肇献詠=
2017-0130-man2378
万葉短歌2378 よしゑやし2190
よしゑやし 来まさぬ君を 何せむに
いとはず我れは 恋ひつつ居らむ ○
2190 万葉短歌2378 ShuF064 2017-0130-man2378
□よしゑやし きまさぬきみを なにせむに
いとはずあれは こひつつをらむ
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第11首。女歌。
【原文】11-2378 吉恵哉 不来座公 何為 不猒吾 恋乍居 作者未詳
2017-0129-man2377
万葉短歌2377 何せむに2189
何せむに 命継ぎけむ 我妹子に
恋ひぬ前にも 死なましものを ○
2189 万葉短歌2377 ShuF061 2017-0129-man2377
□なにせむに いのちつぎけむ わぎもこに
こひぬさにも しなましものを
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第10首。男歌。
【原文】11-2377 何為 命継 吾妹 不恋前 死物 作者未詳
2017-0128-man2376
万葉短歌2376 ますらをの2188
ますらをの 現し心も 我れはなし
夜昼といはず 恋ひしわたれば ○
2188 万葉短歌2376 ShuF061 2017-0128-man2376
□ますらをの うつしごころも われはなし
よるひるといはず こひしわたれば
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第9首。男歌。
【原文】11-2376 健男 現心 吾無 夜昼不云 恋度 作者未詳
2017-0127-man2375
万葉短歌2375 我れゆ後2187
我れゆ後 生まれむ人は 我がごとく
恋する道に あひこすなゆめ ○
2187 万葉短歌2375 ShuF061 2017-0127-man2375
□われゆのち うまれむひとは あがごとく
こひするみちに あひこすなゆめ
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第8首。女歌。
【原文】11-2375 吾以後 所生人 如我 恋為道 相与勿湯目 作者未詳
2017-0126-man2374
万葉短歌2374 かくのみし2186
かくのみし 恋ひやわたらむ たまきはる
命も知らず 年は経につつ ○
2186 万葉短歌2374 ShuF061 2017-0126-man2374
□かくのみし こひやわたらむ たまきはる
いのちもしらず としはへにつつ
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第7首。女歌。
【原文】11-2374 是耳 恋度 玉切 不知命 歳経管 作者未詳
2017-0125-man2373
万葉短歌2373 いつはしも2185
いつはしも 恋ひぬ時とは あらねども
夕かたまけて 恋はすべなし ○
2185 万葉短歌2373 ShuF061 2017-0125-man2373
□いつはしも こひぬときとは あらねども
ゆふかたまけて こひはすべなし
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第6首。女歌。
【原文】11-2373 何時 不恋時 雖不有 夕方任 恋無乏 作者未詳
2017-0124-man2372
万葉短歌2372 かくばかり2184
かくばかり 恋ひむものぞと 知らませば
遠くも見べく ありけるものを ○
2184 万葉短歌2372 ShuF055 2017-0124-man2372
□かくばかり こひむものぞと しらませば
とほくもみべく ありけるものを
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第5首。男歌。
【原文】11-2372 是量 恋物 知者 遠可見 有物 作者未詳
2017-0123-man2371
万葉短歌2371 心には2183
心には 千重に思へど 人に言はぬ
我が恋妻を 見むよしもがも ○
2183 万葉短歌2371 ShuF055 2017-0123-man2371
□こころには ちへにおもへど ひとにいはぬ
あがこひづまを みむよしもがも
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第4首。男歌。
【原文】11-2371 心 千遍雖念 人不云 吾恋孋 見依鴨 作者未詳
2017-0122-man2370
万葉短歌2370 恋ひ死なば2182
恋ひ死なば 恋ひも死ねとや 玉桙の
道行く人の 言も告らなく ○
2182 万葉短歌2370 ShuF055 2017-0122-man2370
□こひしなば こひもしねとや たまほこの
みちゆくひとの ことものらなく
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第3首。女歌。
【訓注】玉桙の(たまほこの=玉桙)[下記注。01-0079、02-0207、-0220、-0230、-04-0534(各長歌)、など]。言も告らなく(ことものらなく=事告無)[下記注].
【依拠本注-玉桙】悪霊の侵入を払うために、村落の道の境に立てられた桙状の柱という。
【依拠本注-言も告らなく】通行人の言葉を聞いて吉凶を判断する夕占に、相手の来る見込みのないのを判断したもの。
2017-0121-man2369
万葉短歌2369 人の寝る2181
人の寝る 味寐は寝ずて はしきやし
君が目すらを 欲りし嘆かむ ○
2181 万葉短歌2369 ShuF055 2017-0121-man2369
□ひとのぬる うまいはねずて はしきやし
きみがめすらを ほりしなげかむ
○=柿本人麻呂歌集。
【編者注】「正述心緒(2368-2414、47首)」の第2首。左注読下しに、「或本の歌には<君を思ふに 明けにけるかも>といふ」と。女歌。
【訓注】寝る(ぬる=寐)。味寐は寝ずて(うまいはねずて=味宿不寐)[下記注。12-2963味宿者不寐哉(うまいはねずや)、13-3329(長歌)味寐者不宿尓(うまいはねずに)]。はしきやし(早敷八四)。
【依拠本注-味寐】味のよい眠りの意で、男女の眠りに限っていう。その点、独り寝の熟睡をいう「安寐(やすい)」の語と質を異にする。
―― 巻十一 (八百七十首) ――
旋頭歌(2351-67)
正述心緒(2368-2414)
寄物陳思(2415-2507)
問答(2508-16)
正述心緒(2517-2618)
寄物陳思(2619-2807)
問答(2808-27)
譬喩(2828-40)
正述心緒(2841-50)
寄物陳思(2851-63)
正述心緒(2864-2963)
寄物陳思(2964-3100)
問答歌(3101-26)
羇旅発思(3127-79)
悲別歌(3180-3210)
問答歌(3211-20)
2017-0120-man2368
万葉短歌2368 たらちねの2180
たらちねの 母が手離れ かくばかり
すべなきことは いまだせなくに ○
2180 万葉短歌2368 ShuF055 2017-0120-man2368
□たらちねの ははがてはなれ かくばかり
すべなきことは いまだせなくに
○=柿本人麻呂歌集(以下2414歌まで47首)。
【編者注】題詞は「正述心緒(せいじゅつしんしょ、2368-2414、47首)」、その第1首。女歌。
【原文】11-2368 垂乳根乃 母之手放 如是許 無為便事者 未為国 作者未詳
2017-0119-man2350
万葉短歌2350 あしひきの2179
あしひきの 山のあらしは 吹かねども
君なき宵は かねて寒しも ○
2179 万葉短歌2350 ShuE736 2017-0119-man2350
□あしひきの やまのあらしは ふかねども
きみなきよひは かねてさむしも
○=作者未詳。
【編者注】題詞は「寄夜」。冬相聞(10-2333~2350、十八首)の第18首。女歌。
【原文】10-2350 足桧木乃 山下風波 雖不吹 君無夕者 予寒毛 作者未詳
***** 冬相聞(10-2333~2350、十八首) 終 *****
春雑歌(1812-89)
春相聞(1890-1936)
夏雑歌(1937-78)
夏相聞(1979-95)
秋雑歌(1996-2238)
秋相聞(2239-2311)
冬雑歌(2312-32)
冬相聞(2333-50)
―― 巻十 (五百三十九首) 終 ――
2017-0118-man2349
万葉短歌2349 我がやどに2178
我がやどに 咲きたる梅を 月夜よみ
宵々見せむ 君をこそ待て ○
2178 万葉短歌2349 ShuE734 2017-0118-man2349
□わがやどに さきたるゆめを つくよよみ
よひよひみせむ きみをこそまて
○=作者未詳。
【編者注】題詞は「寄花」。冬相聞(10-2333~2350、十八首)の第17首。女歌。
【訓注】我がやど(吾屋戸)。咲きたる(さきたる=開有)。月夜(つくよ)。宵々(よひよひ=夕々)。
2017-0117-man2348
万葉短歌2348 和射見の2177
和射見の 嶺行き過ぎて 降る雪の
いとひもなしと 申せその子に ○
2177 万葉短歌2348 ShuE732 2017-0117-man2348
□わざみの みねゆきすぎて ふるゆきの
いとひもなしと まをせそのこに
○=作者未詳。
【編者注】「寄雪」(10-2337~48、十二首)の第12首。冬相聞(10-2333~2350、十八首)の第16首。男歌。
【訓注】和射見(わざみ=和射美)[岐阜県不破郡関ケ原町辺、02-0199(長歌)和射見我原乃(わざみがはらの)]。降る雪の(ふるゆきの=零雪乃)。申せ(まをせ=白)。