万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌0364 ますらをの0320

2011年09月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌0364 ますらをの0320

ますらをの 弓末振り起し 射つる矢を
後見む人は 語り継ぐがね  笠金村

0320     万葉短歌0364 ShuB201 2011-0930-man0364

□ますらをの ゆずゑふりおこし いつるやを
 のちみむひとは かたりつぐがね
○笠金村(かさの かなむら)=原文題詞に「笠朝臣金村」(かさの あそみ かなむら)。未詳。「聖朝の宮廷歌人。山部赤人より先輩であったらしい。笠氏は孝霊天皇の皇子稚武彦命(わかたけひこの みこと)の子孫という(…)。先の沙弥満誓(336)は笠氏。山部氏と違い、笠氏には当時の中央官界に人が多い。」


万葉短歌0363 みさご居る0319

2011年09月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌0363 みさご居る0319

みさご居る 荒磯に生ふる なのりその
よし名は告らせ 親は知るとも  山部赤人

0319     万葉短歌0363 ShuB196 2011-0929-man0363

□みさごゐる ありそにおふる なのりその
 よしなはのらせ おやはしるとも
○山部赤人(やまべの あかひと)=第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第六首或本歌。


万葉短歌0362 みさご居る0318

2011年09月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌0362 みさご居る0318

みさご居る 磯みに生ふる なのりその
名は告らしてよ 親は知るとも  山部赤人

0318     万葉短歌0362 ShuB196 2011-0928-man0362

□みさごゐる いそみにおふる なのりその
 なはのらしてよ おやはしるとも
○山部赤人(やまべの あかひと)=第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第六首。


万葉短歌0361 秋風の0317

2011年09月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌0361 秋風の0317

秋風の 寒き朝明を 佐農の岡
越ゆらむ君に 衣貸さましを  山部赤人

0317     万葉短歌0361 ShuB196 2011-0927-man0361

□あきかぜの さむきあさけを さぬのをか
 こゆらむきみに きぬかさましを
○山部赤人(やまべの あかひと)=第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第五首。


万葉短歌0360 潮干なば0316

2011年09月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌0360 潮干なば0316

潮干なば 玉藻刈りつめ 家の妹が
浜づと乞はば 何を示さむ  山部赤人

0316     万葉短歌0360 ShuB196 2011-0926-man0360

□しほひなば たまもかりつめ いへのいもが
 はまづとこはば なにをしめさむ
○山部赤人(やまべの あかひと)=第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第四首。


万葉短歌0359 阿倍の島0315

2011年09月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌0359 阿倍の島0315

阿倍の島 鵜の住む磯に 寄する波
間なくこのころ 大和し思ほゆ  山部赤人

0315     万葉短歌0359 ShuB196 2011-0925-man0359

□あへのしま うのすむいそに よするなみ
 まなくこのころ やまとしおもほゆ
○山部赤人(やまべの あかひと)=第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第三首。


万葉短歌0358 武庫の浦を0314

2011年09月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌0358 武庫の浦を0314

武庫の浦を 漕ぎ回る小舟 粟島を
そがひに見つつ 羨しき小舟  山部赤人

0314     万葉短歌0358 ShuB196 2011-0924-man0358

□むこのうらを こぎみるをぶね あはしまを
 そがひにみつつ ともしきをぶね
○山部赤人(やまべの あかひと)=第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第二首。


万葉短歌0357 縄の浦ゆ0313

2011年09月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌0357 縄の浦ゆ0313

縄の浦ゆ そがひに見ゆる 沖つ島
漕ぎ回る舟は 釣りしすらしも  山部赤人

0313     万葉短歌0357 ShuB196 2011-0923-man0357

□なはのうらゆ そがひにみゆる おきつしま
 こぎみるふねは つりしすらしも
○山部赤人(やまべの あかひと)=原文は「山部宿祢赤人」(やまべの すくね あかひと)。第318歌参照。
【編者注】山部赤人瀬戸内旅歌六首の第一首。


万葉短歌0356 今日もかも0312

2011年09月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌0356 今日もかも0312

今日もかも 明日香の川の 夕さらず
かはづ鳴く瀬の さやけくあるらむ  上古麻呂

0312     万葉短歌0356 ShuB194 2011-0922-man0356

□けふもかも あすかのかはの ゆふさらず
 かはづなくせの さやけくあるらむ
○上古麻呂(かみつ ふるまろ)=未詳、「上氏は渡来系の氏族らしい。フルマロは、…コマロとも訓める。」
【編者注】作者について、講談社版『万葉集事典』の記事。「上古麿(かみの こまろ) 姓は村主。広階連と同祖で陳思王植あるいは通剛王の子孫。百済系渡来人か。」


万葉短歌0355 大汝0311

2011年09月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌0355 大汝0311

大汝 少彦名の いましけむ
志都の石室は 幾代経ぬらむ  生石村主真人

0311     万葉短歌0355 ShuB193 2011-0921-man0355

□おほなむち すくなひこなの いましけむ
 しつのいはやは いくよへぬらむ
○生石村主真人(おひしの すぐり まひと)=<「生石」は「大石」とも書く。天平十年(七三八)頃、美濃少目(しょうさかん)、天平勝宝二年(七五〇)正月、正六位上より外従五位下となる。」>


万葉短歌0354 縄の浦に0310

2011年09月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌0354 縄の浦に0310

縄の浦に 塩焼く煙 夕されば
行き過ぎかねて 山にたなびく  日置少老

0310     万葉短歌0354 ShuB192 2011-0920-man0354

□なはのうらに しほやくけぶり ゆふされば
 ゆきすぎかねて やまにたなびく
○日置少老(へきの をおゆ)=未詳。「日置氏は応神天皇の皇子、大山守王(おほやまもりの おほきみ)の後という。日祭りに関係のあった氏族か。」


万葉短歌0353 み吉野の0309

2011年09月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌0353 み吉野の0309

み吉野の 高城の山に 白雲は
行きはばかりて たなびけり見ゆ  通観

0309     万葉短歌0353 ShuB191 2011-0919-man0353

□みよしのの たかきのやまに しらくもは
 ゆきはばかりて たなびけりみゆ
○通観(つうくゎん)=未詳。原文題詞に「釈通観」(しゃく つうくゎん)。第327歌参照。
【訂正】第327歌の作者を、「門部王」から「通観」へ訂正します。


万葉短歌0352 葦辺には0308

2011年09月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌0352 葦辺には0308

葦辺には 鶴がね鳴きて 港風
寒く吹くらむ 津乎の崎はも  若湯座王

0308     万葉短歌0352 ShuB190 2011-0918-man0352

□あしへには たづがねなきて みなとかぜ
 さむくふくらむ つをのさきはも
○若湯座王(わかゆゑの おほきみ)=未詳。<「湯座(ゆゑ)」は「湯据(ゆす)ゑ」が原義らしく、「湯人」「湯坐」とも書き、子に湯を使わせる人の意で、のちに氏族の名となった。若湯座氏を乳母方とする王か。>


万葉短歌0351 世間を0307

2011年09月17日 | 万葉短歌

2011-0917-man0351
万葉短歌0351 世間を0307

世間を 何に譬へむ 朝開き
漕ぎ去にし船の 跡なきごとし  満誓

0307     万葉短歌0351 ShuB188 2011-0917-man0351

□よのなかを なににたとへむ あさひらき
 こぎいにしふねの あとなきごとし
○満誓(まんせい)=原文題詞には「沙弥満誓」。第336歌参照。


万葉短歌0350 黙居りて0306

2011年09月16日 | 万葉短歌

2011-0916-man0350
万葉短歌0350 黙居りて0306

黙居りて 賢しらするは 酒飲みて
酔ひ泣きするに なほ及かずけり  大伴旅人

0306     万葉短歌0350 ShuB178 2011-0916-man0350

□もだをりて さかしらするは さけのみて
 ゑひなきするに なほしかずけり
○大伴旅人(おほともの たびと)=第316歌参照。
【編者注】大伴旅人賛酒歌十三首の第十三首。