2011-0730-man0299
万葉短歌0299 奥山の0260
奥山の 菅の葉しのぎ 降る雪の
消なば惜しけむ 雨な降りそね 大伴安麻呂
0260 万葉短歌0299 ShuB122 2011-0730-man0299
□おくやまの すがのはしのぎ ふるゆきの
けなばをしけむ あめなふりそね
○大伴安麻呂(おほともの やすまろ)=原文は「大納言大伴卿(おほともの まへつきみ)…未詳」に、依拠本は、「旅人の父大伴安麻呂と思われる。」とする。なお第101歌参照。
2011-0730-man0299
万葉短歌0299 奥山の0260
奥山の 菅の葉しのぎ 降る雪の
消なば惜しけむ 雨な降りそね 大伴安麻呂
0260 万葉短歌0299 ShuB122 2011-0730-man0299
□おくやまの すがのはしのぎ ふるゆきの
けなばをしけむ あめなふりそね
○大伴安麻呂(おほともの やすまろ)=原文は「大納言大伴卿(おほともの まへつきみ)…未詳」に、依拠本は、「旅人の父大伴安麻呂と思われる。」とする。なお第101歌参照。
2011-0729-man0298
万葉短歌0298 真土山0259
真土山 夕越え行きて 廬前の
角太川原に ひとりかも寝む 弁基
0259 万葉短歌0298 ShuB120 2011-0729-man0298
□まつちやま ゆふこえゆきて いほさきの
すみだかはらに ひとりかもねむ
○弁基(べんき)=「春日蔵首老の還俗前の僧名。」第56歌参照。
2011-0728-man0297
万葉短歌0297 昼見れど0258
昼見れど 飽かぬ田子の浦 大君の
命畏み 夜見つるかも 田口益人
0258 万葉短歌0297 ShuB116 2011-0728-man0297
□ひるみれど あかぬたごのうら おほきみの
みことかしこみ よるみつるかも
○田口益人(たのくちの ますひと)=第296歌参照。
2011-0727-man0296
万葉短歌0296 廬原の0257
廬原の 清見の崎の 三保の浦の
ゆたけき見つつ 物思ひもなし 田口益人
0257 万葉短歌0296 ShuB116 2011-0727-man0296
□いほはらの きよみのさきの みほのうらの
ゆたけきみつつ ものもひもなし
○田口益人(たのくちの ますひと)=原文は「田口益人大夫」(たのくちの ますひとの まへつきみ)。<大宝四年(七〇四)正月、従五位下になった田口朝臣益人。…「田口」はタグチとも訓まれている。>
2011-0726-man0295
万葉短歌0295 住吉の0256
住吉の 野木の松原 遠つ神
我が大君の 幸しところ 角麻呂
0256 万葉短歌0295 ShuB114 2011-0726-man0295
□すみのえの のきのまつばら とほつかみ
わがおほきみの いでましところ
○角麻呂(つのまろ)=第293歌参照。
【編者注】角麻呂歌四首の第四首。
2011-0725-man0294
万葉短歌0294 風をいたみ0255
風をいたみ 沖つ白波 高からみ
海人の釣舟 浜に帰りぬ 角麻呂
0255 万葉短歌0294 ShuB114 2011-0725-man0294
□かぜをいたみ おきつしらなみ たかからみ
あまのつりぶね はまにかへりぬ
○角麻呂(つのまろ)=第293歌参照。
【編者注】角麻呂歌四首の第三首。
2011-0724-man0293
万葉短歌0293 潮干の0254
潮干の 御津の海女の くぐつ持ち
玉藻刈るらむ いざ行きて見む 角麻呂
0254 万葉短歌0293 ShuB114 2011-0724-man0293
□しほひの みつのあまめの くぐつもち
たまもかるらむ いざゆきてみむ
○角麻呂(つのまろ)=第293歌参照。
【編者注】角麻呂歌四首の第二首。
【編者注】「探女(さぐめ)」「海女(あまめ)」は、集初出。探女は記紀に散見。また、前出(第278歌)依拠本用字の「海女」(訓あま)は、原文では「海人」。
2011-0723-man0292
万葉短歌0292 ひさかたの0253
ひさかたの 天の探女が 岩船の
泊てし高津は あせにけるかも 角麻呂
0253 万葉短歌0292 ShuB114 2011-0723-man0292
□ひさかたの あまのさぐめが いはふねの
はてしたかつは あせにけるかも
○角麻呂(つのまろ)=未詳。「角氏は『古事記』の始祖伝承に現われる(孝元天皇条)。」
【編者注】原文題詞に「角麻呂歌四首」。その第一首。
2011-0722-man0291
万葉短歌0291 真木の葉の0252
真木の葉の しなふ背の山 しのはずて
我が越え行けば 木の葉知りけむ 小田事
0252 万葉短歌0291 ShuB112 2011-0722-man0291
□まきのはの しなふせのやま しのはずて
わがこえゆけば このはしりけむ
○小田事(をだの つかふ)=未詳。<次の作者「角麻呂」ともども、姓(かばね)を記さない。> 「小田事主」「をたの ことぬし」説もある。
【編者注】講談社版『万葉集事典』は、訓「をだの こと」、記事に「京大本等にツカフ。[事主は]言主の意で主は敬語か。」
2011-0721-man0290
万葉短歌0290 倉橋の0251
倉橋の 山を高みか 夜隠りに
出で来る月の 光乏しき 間人宿祢大浦
0251 万葉短歌0290 ShuB110 2011-0721-man0290
□くらはしの やまをたかみか よごもりに
いでくるつきの ひかりともしき
○間人宿祢大浦(はしひとの すくね おほうら)=第289歌参照。
【編者注】集中ただ一作の沙弥女王(さみの おほきみ)歌9-1763は、ここからの(後に言う)本歌取りの先駆。
2011-0720-man0289
万葉短歌0289 天の原0250
天の原 振り放け見れば 白真弓
張りて懸けたり 夜道はよけむ 間人宿祢大浦
0250 万葉短歌0289 ShuB110 2011-0720-man0289
□あまのはら ふりさけみれば しらまゆみ
はりてかけたり よみちはよけむ
○間人宿祢大浦(はしひとの すくね おほうら)=未詳。「9-1685~6 の歌の作者として、<間人宿禰>とのみあるのも、この人らしい。文武朝頃の人。」
【編者注】依拠本の「宿祢」表記は、本文に「宿禰」、原文に「宿祢」とする。なお、「禰」については異体字が多く、さらに確認の要あり。
2011-0719-man0288
万葉短歌0288 我が命し0249
我が命し ま幸くあらば またも見む
滋賀の大津に 寄する白波 穂積朝臣老
0249 万葉短歌0288 ShuB107 2011-0719-man0288
□わがいのちし まさきくあらば またもみむ
しがのおほつに よするしらなみ
○穂積朝臣老(ほづみの あそみ おゆ)=「和銅二年(七〇九)従五位下、養老二年(七一八)正五位上、式部大輔。養老六年、元正天皇を批判した罪で佐渡に配流。天正十二年(七四〇)に許され、同十六年大蔵大輔、天平勝宝元年(七四九)没。」
2011-0718-man0287
万葉短歌0287 ここにして0248
ここにして 家やもいづち 白雲の
たなびく山を 越えて来にけり 石上卿
0248 万葉短歌0287 ShuB107 2011-0718-man0287
□ここにして いへやもいづち しらくもの
たなびくやまを こえてきにけり
○石上卿(いそのかみの まへつきみ=未詳。「1四四の作者石上朝臣麻呂か。<卿>は三位以上の人への称。三位以上の人には敬してその名を期さないことが多い。」「…石上朝臣豊庭を石上卿に擬する説(…)もある。従四位の豊庭は<卿>に相当しないけれども、和銅七年(七一四)に右[元正天皇の美濃行幸時の]将軍であったから、この尊称をもって不条理ではないとするのである。」
【編者注】「石上卿」名作者はこの一首。参照本・講談社版『万葉集事典』は人名同項で、麿、乙麿、豊庭が考えられる、とする。
2011-0717-man0286
万葉短歌0286 よろしなへ0247
よろしなへ 我が背の君が 負ひ来にし
この背の山を 妹とは呼ばじ 春日蔵首老
0247 万葉短歌0286 ShuB105 2011-0717-man0286
□よろしなへ わがせのきみが おひきにし
このせのやまを いもとはよばじ
○春日蔵首老(かすがの くらおびと おゆ)=第56歌参照。
2011-0716-man0285
万葉短歌0285 栲領巾の0246
栲領巾の 懸けまく欲しき 妹の名を
この背の山に 懸けばいかにあらむ 丹比真人笠麻呂
0246 万葉短歌0285 ShuB105 2011-0716-man0285
□たくひれの かけまくほしき いものなを
このせのやまに かけばいかにあらむ
○丹比真人笠麻呂(たぢひの まひと かさまろ)=未詳。「丹比氏は代々遣唐使を出した家柄。」 さらに509に長歌、510に短歌。
【編者】「たぢひ」については、さらに第226歌参照。