万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌1569 雨晴れて1430

2014年11月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌1569 雨晴れて1430

雨晴れて 清く照りたる この月夜
またさらにして 雲なたなびき  大伴家持

1430     万葉短歌1569 ShuD637 2014-1130-man1569

あめはれて きよくてりたる このつくよ
  またさらにして くもなたなびき

大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌参照。
【編者注】「大伴家持秋歌四首」の第四首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第59首。左注に、「右四首天平八年丙子(ひのえね)秋九月作」。
【訓注】月夜(つくよ)。またさらにして(又更而)。雲なたなびき(くもなたなびき=雲勿田菜引)。


万葉短歌1568 雨隠り1429

2014年11月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌1568 雨隠り1429

雨隠り 心いぶせみ 出で見れば
春日の山は 色づきにけり  大伴家持

1429     万葉短歌1568 ShuD637 2014-1129-man1568

あまごもり こころいぶせみ いでみれば
  かすがのやまは いろづきにけり

大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌参照。
【編者注】「大伴家持秋歌四首」の第三首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第58首。
【訓注】雨隠り(あまごもり=雨隠)。心いぶせみ(こころいぶせみ=情欝悒)。


万葉短歌1567 雲隠り1428

2014年11月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌1567 雲隠り1428

雲隠り 鳴くなる雁の 行きて居む
秋田の穂立 繁くし思ほゆ  大伴家持

1428     万葉短歌1567 ShuD637 2014-1128-man1567

くもがくり なくなるかりの ゆきてゐむ
  あきたのほたち しげくしおもほゆ

大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌参照。
【編者注】「大伴家持秋歌四首」の第二首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第57首。
【訓注】雲隠り(くもがくり=雲隠)。雁(かり=鴈)。繁くし思ほゆ(しげくしおもほゆ=繁之所念)。


万葉短歌1566 ひさかたの1427

2014年11月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌1566 ひさかたの1427

ひさかたの 雨間も置かず 雲隠り
鳴きぞ行くなる 早稲田雁がね  大伴家持

1427     万葉短歌1566 ShuD637 2014-1127-man1566

ひさかたの あままもおかず くもがくり
  なきぞゆくなる わさだかりがね

大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌参照。
【編者注】題詞は「大伴家持秋歌四首」、その第一首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第56首。
【訓注】ひさかたの(久堅之)。雲隠り(くもがくり=雲隠)。鳴きぞ行く(なきぞゆく=鳴曽去)。早稲田雁がね(わさだかりがね=早田鴈之哭)。


万葉短歌1565 我がやどの1426

2014年11月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌1565 我がやどの1426

我がやどの 一群萩を 思ふ子に
見せずほとほと 散らしつるかも  大伴家持

1426     万葉短歌1565 ShuD635 2014-1126-man1565

わがやどの ひとむらはぎを おもふこに
  みせずほとほと ちらしつるかも

大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌参照。
【編者注】題詞は「大伴家持和(こたふる)歌一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第55首。
【訓注】我がやど(わがやど=吾屋戸)。一群萩(ひとむらはぎ=一村芽子)[一群、ここだけ]。思ふ子(おもふこ=念児)。見せずほとほと(みせずほとほと=不令見殆)[03-0331、07-1403]。


万葉短歌1564 秋づけば1425

2014年11月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌1564 秋づけば1425

秋づけば 尾花が上に 置く露の
消ぬべくも我れは 思ほゆるかも  日置長枝娘子

1425     万葉短歌1564 ShuD635 2014-1125-man1564

あきづけば をばながうへに おくしもの
  けぬべくもあれは おもほゆるかも

日置長枝娘子(へきの ながえをとめ)=未詳。この一首だけ。
【編者注】題詞は「日置長枝娘子歌一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第54首。
【訓注】秋づけば(あきづけば=秋付者)。消ぬべく(けぬべく=応消)。我れは(あれは=吾者)。思ほゆるかも(おもほゆるかも=所念香聞)。


万葉短歌1563 聞きつやと1424

2014年11月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌1563 聞きつやと1424

聞きつやと 妹が問はせる 雁が音は
まことも遠く 雲隠るなり  大伴家持

1424     万葉短歌1563 ShuD633 2014-1124-man1563

ききつやと いもがとはせる かりがねは
  まこともとほく くもがくるなり

大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌参照。
【編者注】題詞は「大伴家持和歌一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第53首。
【訓注】妹(いも)。雁が音(かりがね=鴈鳴)。まことも遠く(まこともとほく=真毛遠)。


万葉短歌1562 誰れ聞きつ1423

2014年11月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌1562 誰れ聞きつ1423

誰れ聞きつ こゆ鳴き渡る 雁がねの
妻呼ぶ声の 羨しくもあるか  巫部麻蘇娘子

1423     万葉短歌1562 ShuD632 2014-1123-man1562

たれききつ こゆなきわたる かりがねの
  つまよぶこゑの ともしくもあるか

巫部麻蘇娘子(かむなぎべの まそをとめ)=04-0703歌参照。
【編者注】題詞は「巫部麻蘇娘子鴈(かりの)歌一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第52首。
【訓注】こゆ(従此間)。雁がね(かりがね=鴈鳴)。妻呼ぶ声(つまよぶこゑ=嬬呼音)。羨しくも(ともしくも=乏知)。


万葉短歌1561 吉隠の1422

2014年11月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌1561 吉隠の1422

吉隠の 猪養の山に 伏す鹿の
妻呼ぶ声を 聞くが羨しさ  大伴坂上郎女

1422     万葉短歌1561 ShuD630 2014-1122-man1561

よなばりの ゐかひのやまに ふすしかの
  つまよぶこゑを きくがともしさ

大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=04-0563歌参照。
【編者注】「大伴坂上郎女、跡見の田庄にして作る歌二首」の第2首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第51首。
【訓注】吉隠の猪養の山(よなばりのゐかひのやま=吉名張之猪養山)[02-0203。奈良県桜井市吉隠(よなばり)東北方、当時は墓地]。妻(つま=嬬)。羨しさ(ともしさ=登聞思佐)。


万葉短歌1560 妹が目を1421

2014年11月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌1560 妹が目を1421

妹が目を 始見の崎の 秋萩は
この月ごろは 散りこすなゆめ  大伴坂上郎女

1421     万葉短歌1560 ShuD630 2014-1121-man1560

いもがめを はつみのさきの あきはぎは
  このつきごろは ちりこすなゆめ

大伴坂上郎女(おほともの さかのうへの いらつめ)=04-0563歌参照。
【編者注】題詞読み下しは、「大伴坂上郎女、跡見(とみ)の田庄(たどころ)にして作る歌二首」、その第1首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第50首。
【訓注】始見の崎(はつみのさき=始見之埼)[未詳]。秋萩(あきはぎ=秋芽子)。この月ごろ(このつきごろ=此月其呂)。


万葉短歌1559 秋萩は1420

2014年11月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌1559 秋萩は1420

秋萩は 盛り過ぐるを いたづらに
かざしに挿さず 帰りなむとや  沙弥尼

1420     万葉短歌1559 ShuD628 2014-1120-man1559

あきはぎは さかりすぐるを いたづらに
  かざしにささず かへりなむとや

沙弥尼(さみに)=前歌参照。左注読下しに「右の二首は沙弥尼等(たち)。」
【編者注】「故郷の豊浦の寺の尼の私房にして宴する歌三首」の第3首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第49首。
【訓注】秋萩(あきはぎ=秋芽子)。かざしに(頭刺)。帰り(かへり=還去)。


万葉短歌1558 鶉鳴く1419

2014年11月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌1558 鶉鳴く1419

鶉鳴く 古りにし里の 秋萩を
思ふ人どち 相見つるかも  沙弥尼

1419     万葉短歌1558 ShuD628 2014-1119-man1558

うづらなく ふるにしさとの あきはぎを
  おもふひとどち あいみつるかも

沙弥尼(さみに)=「仏門に入り立ての尼僧。」次歌左注の「沙弥尼等(たち)」に拠る。この表記はこの二歌だけ。
【編者注】「故郷の豊浦の寺の尼の私房にして宴する歌三首」の第2首。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第48首。
【訓注】鶉(うづら)。古りにし里(ふりにしさと=古郷)。秋萩(あきはぎ=秋芽子)。思ふ人どち(おもふひとどち=思人共)。


万葉短歌1557 明日香川1418

2014年11月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌1557 明日香川1418

明日香川 行き回る岡の 秋萩は
今日降る雨に 散りか過ぎなむ  丹比真人国人

1418     万葉短歌1557 ShuD627 2014-1118-man1557

あすかがは ゆきみるをかの あきはぎは
  けふふるあめに ちりかすぎなむ

丹比真人国人(たぢひのまひと くにひと)=03-0383歌参照。
【編者注】題詞読下しは、「故郷の豊浦(とゆら)の寺の尼の私房(しばう)にして宴する歌三首」、その第1首。左注に「丹比真人国人一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第47首。
【訓注】明日香川(あすかがは=明日香河)。行き回る岡(ゆきみるをか=逝回岳)。秋萩(あきはぎ=秋芽)。降る(ふる=零)。散りか(ちりか=落香)。


万葉短歌1556 秋田刈る1417

2014年11月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌1556 秋田刈る1417

秋田刈る 仮廬もいまだ 壊たねば
雁が音寒し 霜も置きぬがに  忌部黒麻呂

1417     万葉短歌1556 ShuD626 2014-1117-man1556

あきたかる かりいほもいまだ こほたねば
  かりがねさむし しももおきぬがに

忌部黒麻呂(いむべの くろまろ)=06-1008歌参照。
【編者注】題詞は「忌部首(おびと)黒麻呂歌一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第46首。
【訓注】仮廬(かりいほ=借廬)[田仮?]。壊(こほ[つ])。雁が音(かりがね=雁鳴)。


万葉短歌1555 秋立ちて1416

2014年11月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌1555 秋立ちて1416

秋立ちて 幾日もあらねば この寝ぬる
朝明の風は 手本寒しも  安貴王

1416     万葉短歌1555 ShuD625 2014-1116-man1555

あきたちて いくかもあらねば このねぬる
  あさけのかぜは たもとさむしも

安貴王(あきの おほきみ)=03-0306歌参照。
【編者注】題詞は「安貴王歌一首」。「秋雑歌」九十五首(1511~1605)の第45首。
【訓注】幾日(いくか)。寝ぬる(ねぬる=宿流)。朝明(あさけ=朝開)。