万葉短歌-悠山人編

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万葉短歌0831 春なれば0760

2012年12月30日 | 万葉短歌

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万葉短歌0831 春なれば0760

春なれば うべも咲きたる 梅の花
君を思ふと 夜寐も寝なくに  板氏安麻呂

0760     万葉短歌0831 ShuC101 2012-1230-man0831

はるなれば うべもさきたる うめのはな
  きみをおもふと よいもねなくに
板氏安麻呂(ばんじの やすまろ)=原文では、「壱岐守板氏安麻呂」。読下しでは、「壱岐守(いきの かみ) 板氏安麻呂」。「壱岐守 壱岐は下国で、その守はは従六位下相当。」「板持連(いたもちの むらじ)安麻呂か(…)。天平七年[(735)]九月に右大史(うだいし)従六位下であった人(…)。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十七首。
【訓注】[真名仮名全対応]春なれば(はるなれば=波流奈例婆)。うべも(宇倍母)。咲きたる(さきたる=佐枳多流)。梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。君(きみ=岐美)。思ふ(おもふ=於母布)。夜寐(よい=用伊)。寝(ね=祢)。


万葉短歌0830 万代に0759

2012年12月29日 | 万葉短歌

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万葉短歌0830 万代に0759

万代に 年は来経とも 梅の花
絶ゆることなく 咲きわたるべし  佐氏子首

0759     万葉短歌0830 ShuC101 2012-1229-man0830

よろづよに としはくふとも うめのはな
  たゆることなく さきわたるべし
佐氏子首(さじの こおびと)=原文では、「筑前介佐氏子首」。読下しでは、「筑前介(つくしのみちのくちの すけ) 佐氏子首」。「筑前介 筑前国の次官。筑前は上国で、<介>は従六位上相当官。」「天平三年(731)四月の<筑前国司牒案>(…)に、正三(六か)上行介勲?(五か)等佐伯真(直か)子首」と見える人かという(…)。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十六首。
【訓注】万代(よろづよ=万世)。年(とし=得之)。来経(くふ=岐布)。梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。


万葉短歌0829 梅の花0758

2012年12月28日 | 万葉短歌

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万葉短歌0829 梅の花0758

梅の花 咲きて散りなば 桜花
継ぎて咲くべく なりにてあらずや  張氏福子

0758     万葉短歌0829 ShuC095 2012-1228-man0829

うめのはな さきてちりなば さくらばな
  つぎてさくべく なりにてあらずや
張氏福子(ちゃうじの ふくじ)=原文では、「薬師張氏福子」。読下しでは、「薬師(くすりし) 張氏福子」。「薬師 大宰府の医師。職員令には<医師>とある。正八位上相当。定員二名。」「渡来人張福子。<家伝>下(藤原武智麻呂伝)に、武智麻呂交友の人として、吉田連宜(864~7 の作者)などとともに登録されている。本日の幹事役のひとりで、前歌の作者大判事のもとにあって、小働きをしたらしい。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十五首。
【訓注】[真名仮名全対応]梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。桜花(さくらばな=佐久良婆奈)。


万葉短歌0828 人ごとに0757

2012年12月27日 | 万葉短歌

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万葉短歌0828 人ごとに0757

人ごとに 折りかざしつつ 遊べども
いやめづらしき 梅の花かな  丹氏麻呂

0757     万葉短歌0828 ShuC095 2012-1227-man0828

ひとごとに をりかざしつつ あそべども
  いやめづらしき うめのはなかな
丹氏麻呂(たんじの まろ)=原文では、「大判事丹氏麻呂」。読下しでは、「大判事(だいはんじ) 丹氏麻呂(たんじの まろ)」。「大判事 大宰府の司法官。従六位下相当。定員二名。」「未詳。<丹氏>は<丹比(たぢひ)>または<丹波(たには)>であろう。…次歌の作者とともに幹事役で、その主任を務めたらしい。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十四首。
【訓注】[真名仮名全対応]人ごと(ひとごと=比等期等)。折りかざし(をりかざし=乎理加射之)。遊べ(あそべ=阿蘇倍)。いやめづらしき(伊夜米豆良之岐)。梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。


万葉短歌0827 春されば0756

2012年12月26日 | 万葉短歌

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万葉短歌0827 春されば0756

春されば 木末隠りて うぐひすぞ
鳴きて去ぬなる 梅が下枝に  山口忌寸若麻呂

0756     万葉短歌0827 ShuC095 2012-1226-man0827

はるなれば こぬれがくりて うぐひすぞ
  なきていぬなる うめがしづえに
山口忌寸若麻呂(やまぐちの いみき わかまろ)=原文では、「小典山氏若麻呂」。読下しでは、「少典(せうてん) 山氏若麻呂(さんじの わかまろ)」。「少典 大宰府四等官の次席。大典の補佐役。正八位上相当。定員二名。」依拠本には、「山口忌寸若麻呂」とだけ。第567歌参照。
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十三首。
【訓注】[真名仮名全対応]春(はる=波流)。木末(こぬれ=許奴礼)。うぐひす(宇具比須)。梅(うめ=烏梅)。下枝(しづえ=志豆延)。


万葉短歌0826 うち靡く0755

2012年12月25日 | 万葉短歌

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万葉短歌0826 うち靡く0755

うち靡く 春の柳と 我がやどの
梅の花とを いかにか分かむ  史氏大原

0755     万葉短歌0826 ShuC095 2012-1225-man0826

うちなびく はるのやなぎと わがやどの
  うめのはなとを いかにかわかむ
史氏大原(しじの おほはら)=原文では、「大典史氏大原」。読下しでは、「大典(だいてん) 史氏大原」。「大典 大宰府の文書を掌る官。少監に次ぐ四等官の上席。正七位上相当。定員二名。」「未詳。<史氏>は史部(ふひとべ)か。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十二首。
【訓注】[真名仮名全対応]春の柳(はるのやなぎ=波流能也奈宜)。我がやど(わがやど=和我夜度)。梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。


万葉短歌0825 梅の花0754

2012年12月24日 | 万葉短歌

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万葉短歌0825 梅の花0754

梅の花 咲きたる園の 青柳を
かづらにしつつ 遊び暮らさな  土氏百村

0754     万葉短歌0825 ShuC094 2012-1224-man0825

うめのはな さきたるそのの あをやぎを
  かづらにしつつ あそびくらさな
土氏百村(とじの ももむら)=原文では、「小監土氏百村」。読下しでは、「少監(せうげん) 土氏百村」。「かつて養老五年(721)、山上憶良たちとともに東宮侍講であった土師宿祢百村(はにしの すくね ももむら)。」『万葉集事典』では、「…か(…)。」と推定。
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十一首。
【訓注】[真名仮名全対応]梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。園(その=曽能)。青柳(あをやぎ=阿遠夜疑)。かづら(加豆良)。


万葉短歌0824 梅の花0753

2012年12月23日 | 万葉短歌

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万葉短歌0824 梅の花0753

梅の花 散らまく惜しみ 我が園の
竹の林に うぐひす鳴くも  阿氏奥島

0753     万葉短歌0824 ShuC094 2012-1223-man0824

うめのはな ちらまくをしみ わがそのの
  たけのはやしに うぐひすなくも
阿氏奥島(あじの おきしま)=原文では、「小監阿氏奥嶋」。読下しでは、「少監(せうげん) 阿氏奥島」。「少監 大宰府三等官の次席。大監補佐役。従六位上相当。定員二名。」「天平勝宝四年(752)十月頃、正六位上、上野介であった、阿倍朝臣息嶋(あべのあそみ おきしま)か(…)。」『万葉集事典』では、「阿倍朝臣奥道とは血縁関係にあるか。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第十首。
【訓注】[真名仮名全対応]梅の花(うめのはな=烏梅乃波奈)。惜しみ(をしみ=怨之実)。我が園(わがその=和我曽乃)。竹(たけ=多気)。林(はやし=波也之)。うぐひす(于具比須)。鳴く(なく=奈久)。


万葉短歌0823 梅の花0752

2012年12月22日 | 万葉短歌

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万葉短歌0823 梅の花0752

梅の花 散らくはいづく しかすがに
この城の山に 雪は降りつつ  大伴百代

0752     万葉短歌0823 ShuC094 2012-1222-man0823

うめのはな ちらくはいづく しかすがに
  このきのやまに ゆきはふりつつ
大伴百代(おほともの ももよ)=原文では、「大監伴氏百代」。読下しでは、「大監(だいげん) 伴氏百代(ばんじの ももよ)」。「大監 大宰府の訴訟事務を掌る役人。三等官の上席で正六位下相当。定員二名。」第392歌参照。なおこの梅宴歌群で、作者名の「氏」を依拠本は「じ」、『万葉集事典』では「し」と読む。
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第九首。
【訓注】[真名仮名全対応]梅の花(うめのはな=烏梅能波奈)。いづく(伊豆久)。雪は降りつつ(由企波布理都々)。


万葉短歌0822 我が園に0751

2012年12月21日 | 万葉短歌

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万葉短歌0822 我が園に0751

我が園に 梅の花散る ひさかたの
天より雪の 流れ来るかも  大伴旅人

0751     万葉短歌0822 ShuC093 2012-1221-man0822

わがそのに うめのはなちる ひさかたの
  あめよりゆきの ながれくるかも
大伴旅人(おほともの たびと)=原文では、「主人」。第316歌参照。
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第八首。
【訓注】[真名仮名全対応]我が(わが=和何)。園(その=則能)。梅(うめ=宇米)。花(はな=波奈)。散る(ちる=知流)。ひさかたの(比佐可多能)。天(あめ=阿米)。雪(ゆき=由吉)。


万葉短歌0821 青柳0750

2012年12月20日 | 万葉短歌

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万葉短歌0821 青柳0750

青柳 梅との花を 折りかざし
飲みての後は 散りぬともよし  笠沙弥

0750     万葉短歌0821 ShuC087 2012-1220-man0821

あをやなぎ うめとのはなを をりかざし
  のみてののちは ちりぬともよし
笠沙弥(かさの さみ)=俗名笠朝臣麻呂。沙弥満誓。第336歌参照。
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第七首。
【訓注】[真名仮名全対応]青柳(あをやなぎ=阿乎夜奈義)。梅(うめ=烏梅)。花(はな=波奈)。かざし(可射之)。散りぬ(ちりぬ=知利奴)。


万葉短歌0820 梅の花0749

2012年12月19日 | 万葉短歌

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万葉短歌0820 梅の花0749

梅の花 今盛りなり 思ふどち
かざしにしてな 今盛りなり  葛井大夫

0749     万葉短歌0820 ShuC087 2012-1219-man0820

うめのはな いまさかりなり おもふどち
  かざしにしてな いまさかりなり
葛井大夫(ふぢゐの まへつきみ)=原文では「筑後守葛井大夫」、読下しでは「筑後守(つくしのみちのしりの かみ)葛井大夫」。「葛井連大成(ふぢゐの むらじ おほなり)。時に外(げ)従五位下。筑後は上国で、国守で従五位下相当。なお、外(げ)位は、もよ地方出身者や郡司に授けた位。のち、中央・地方を問わず低い家柄の者に授けた位をいう。葛井氏は渡来系。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第六首。
【訓注】[真名仮名全対応]梅(うめ=烏梅)。花(はな=波奈)。今盛りなり(いまさかりなり=伊麻佐可利奈理)[第2、第5句とも]。思ふ(おもふ=意母布)。かざし(加射之)。 


万葉短歌0819 世の中は0748

2012年12月18日 | 万葉短歌

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万葉短歌0819 世の中は0748

世の中は 恋繁しゑや かくしあらば
梅の花にも ならましものを  大伴大夫

0748     万葉短歌0819 ShuC087 2012-1218-man0819

よのなかは こひしげしゑや かくしあらば
  うめのはなにも ならましものを
大伴大夫(おほともの まへつきみ)=原文では「豊後守大伴大夫」、読下しでは「豊後守(とよのみちのしりの かみ)大伴大夫」。「未詳。[…大伴三依説は年代的に無理…]豊後は上国で、その守は従五位下相当。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第五首。
【訓注】[真名仮名全対応]世の中(よのなか=余能奈可)。恋(こひ=古飛)。ゑや(恵夜)。梅(うめ=烏梅)。花(はな=波奈)。


万葉短歌0818 春されば0747

2012年12月17日 | 万葉短歌

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万葉短歌0818 春されば0747

春されば まづ咲くやどの 梅の花
ひとり見つつや 春日暮らさむ  山上憶良

0747     万葉短歌0818 ShuC087 2012-1217-man0818

はるされば まづさくやどの うめのはな
  ひとりみつつや はるひくらさむ
山上憶良(やまのうへの おくら)=原文では「筑前守山上大夫」、読下しでは「筑前守(つくしの みちのくちの かみ)山上大夫(やまのうへの まへつきみ)」。第799歌左注参照。併せて第34歌、第63歌参照。
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第四首。
【訓注】[真名仮名全対応]春(はる=波流)。まづ(麻豆)。咲く(さく=佐久)。やど(耶登)。梅(うめ=烏梅)。花(はな=波奈)。ひとり(比等利)。春日(はるひ=波流比)。


万葉短歌0817 梅の花0746

2012年12月16日 | 万葉短歌

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万葉短歌0817 梅の花0746

梅の花 咲きたる園の 青柳は
かづらにすべく なりにけらずや  粟田大夫

0746     万葉短歌0817 ShuC087 2012-1216-man0817

うめのはな さきたるそのの あをやぎは
  かづらにすべく なりにけらずや
粟田大夫(あはたの まへつきみ)=原文では「小弐粟田大夫」、読下しでは「少弐 粟田大夫」。「神亀元年(724)二月、従五位上になった粟田朝臣必登(ひと)(人とも記す)らしい。とすれば従五位上昇進は前歌の老より五年ばかり早い。少弐に関して老の方が先任であったための席順か。」
【編者注】「梅花歌卅二 并序」の第三首。
【訓注】[真名仮名全対応]梅(うめ=烏梅)。花(はな=波奈)。咲きたる(さきたる=佐吉多流)。園(その=僧能)。青柳(あをやぎ=阿遠也疑)。かづら(可豆良)。