万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

休載期間

2022年05月31日 | 万葉短歌

2010-1101-man0000
万葉短歌0000 開肇献詠

訪ぬれば いづれか見ゆる ことなれば
さまよひ入らむ よろづ葉の森  悠山人
 
0000     万葉短歌0000 ShuA000 2010-1101-man0000
 
□たづぬれば いづれかみゆる ことなれば
  さまよひいらむ よろづはのもり
○悠山人(ゆうさんじん)。
 
    =万葉短歌 開肇献詠=

【2022年06月01日】2010年11月01開設から ****日
【アクセス数】トータル閲覧数10*****PV トータル訪問数30****UU


万葉短歌4376 旅行きに4050

2022年05月30日 | 万葉短歌

2022-0550-man4376
万葉短歌4376 旅行きに4050

旅行きに 行くと知らずて 母父に
言申さずて 今ぞ悔しけ  川上臣老

4050     万葉短歌4376 ShuJ511 2022-0530-man4376

□たびゆきに ゆくとしらずて あもししに
  ことまをさずて いまぞくやしけ
○川上臣老(かはかみのおみ おゆ)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第84首。左注に、「右一首寒川郡(さむかはのこほりの〔「栃木県下都賀(しもつが)郡の南部…、栃木市・小山(おやま)市を含む」〕)上丁川上臣老」。
【訓注】母父(あもしし=阿母志々)[「<母父(おもちち)>の訛り」。下記注]。
【編者注-母父】4377(阿母刀自=あもとじ〔母刀自〕)、4378(阿母志々=あもしし〔母父〕)、4383(阿母我米=あもがめ〔母が目〕)、4386(於母=おも〔母〕)、4401(意母=おも〔母〕)、4402(意毛知々=おもちち〔母父〕)。「オモは母系の語、ハハは父系の語で、<父母(ちちはは)>は父系社会に入っての言葉といわれている。」


万葉短歌4375 松の木の4049

2022年05月29日 | 万葉短歌

2022-0529-man4375
万葉短歌4375 松の木の4049

松の木の 並みたる見れば 家人の
我れを見送ると 立たりしもころ  物部真島

4049     万葉短歌4375 ShuJ511 2022-0529-man4375

□まつのけの なみたるみれば いはびとの
  われをみおくると たたりしもころ
○物部真島(もののべの ましま)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第83首。左注に、「右一首火長物部真島」。
【訓注】木、家(け、いは=気、伊波)[「<き>、<いへ>の訛り」]。我れ(われ=和例)。立たりしもころ(たたりしもころ=多々理之母己呂)[「<立たり>は<立てり>の東国形。<もころ>は、~のようだ…の古語」]。


万葉短歌4374 天地の4048

2022年05月28日 | 万葉短歌

2022-0528-man4374
万葉短歌4374 天地の4048

天地の 神を祈りて さつ矢貫き
筑紫の島を さして行く我れは  大田部荒耳

4048     万葉短歌4374 ShuJ511 2022-0528-man4374

□あめつちの かみをいのりて さつやぬき
  つくしのしまを さしていくわれは
○大田部荒耳(おほたべの あらみみ)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第82首。左注に、「右一首火長大田部荒耳」。
【訓注】天地(あめつち=阿米都知)。神(かみ=可美)。さつ矢(さつや=佐都夜)[「獲物を得るために射る矢。狩猟の矢。<さつ>は<幸(さち;獲物)>の交替形」]。筑紫の島(つくしのしま=都久之乃之麻)。我れ(われ=和例)。


万葉短歌4373 今日よりは4047

2022年05月27日 | 万葉短歌

2022-0527-man4373
万葉短歌4373 今日よりは4047

今日よりは かへり見なくて 大君の
醜の御楯と 出で立つ我れは  今奉部与曽布

4047     万葉短歌4373 ShuJ511 2022-0527-man4373

□けふよりは かへりみなくて おほきみの
  しこのみたてと いでたつわれは
○今奉部与曽布(いままつりべの よそふ)=左注参照。「<今奉部>は新たに起こった、太陽祭祀にかかわる日祭りの部民の意か。」
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第81首。前歌4372は長歌。左注に、「右一首火長(くゎちゃう)今奉部与曽布」。
【訓注】今日(けふ=祁布)。大君(おほきみ=意富伎美)。醜の御楯(しこのみたて=之許乃美多弖)[「<醜>はろくでなし、つたない、…。ここは自分を卑下して…。<御楯>は、天皇の護衛」]。我れ(われ=和例)。火長[「兵士十人の長」]。


万葉短歌4371 橘の4046

2022年05月26日 | 万葉短歌

2022-0526-man4371
万葉短歌4371 橘の4046

橘の 下吹く風の かぐはしき
筑波の山を 恋ひずあらめかも  占部広方

4046     万葉短歌4371 ShuJ496 2022-0526-man4371

□たちばなの したふくかぜの かぐはしき
  つくはのやまを こひずあらめかも
○占部広方(うらべの ひろかた)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第79首。左注に、「右一首助丁占部広方」。
【訓注】橘(たちばな=多知波奈)。かぐはしき(可具波志伎)。筑波の山(つくはのやま=都久波能夜麻)。


万葉短歌4370 霰降り4045

2022年05月25日 | 万葉短歌

2022-0525-man4370
万葉短歌4370 霰降り4045

霰降り 鹿島の神を 祈りつつ
皇御軍士に 我れは来にしを  大舎人部千文

4045     万葉短歌4370 ShuJ496 2022-0525-man4370

□あられふり かしまのかみを いのりつつ
  すめらみくさに われはきにしを
○大舎人部千文(おほとねりべの ちふみ)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第78首。左注に、「右二首那賀郡(なかのこほりの〔(茨城県那珂郡)〕)上丁大舎人部千文」。
【訓注】霰(あられ=阿良例)。鹿島(かしま=可志麻)[「鹿島神宮…祭神は武神建御雷神(たけみかづちのかみ)…。<祈る>は…上に<を>格をとる」]。皇御軍士に(すめらみくさに=須米良美久佐尓)[「<皇(すめら)>は…常に接頭語的に用いられる…。<皇御軍士(みくさ)>は<皇御軍士(みいくさ)>の約…。<に>は、~として」]。我れ(われ=和例)。


万葉短歌4369 筑波嶺の4044

2022年05月24日 | 万葉短歌

2022-0524-man4369
万葉短歌4369 筑波嶺の4044

筑波嶺の さ百合の花の 夜床にも
愛しけ妹ぞ 昼も愛しけ  大舎人部千文

4044     万葉短歌4369 ShuJ496 2022-0524-man4369

□つくはねの さゆるのはなの ゆとこにも
  かなしけいもぞ ひるもかなしけ
○大舎人部千文(おほとねりべの ちふみ)=次歌左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第77首。
【訓注】筑波嶺(つくはね=都久波祢)。さ百合、夜床(さゆる=佐由流、ゆとこ=由等許)[<さゆり>、<よとこ>の訛り]。


万葉短歌4368 久慈川は4043

2022年05月23日 | 万葉短歌

2022-0523-man4368
万葉短歌4368 久慈川は4043

久慈川は 幸くあり待て 潮船に
真楫しじ貫き 我は帰り来む  丸子部佐壮

4043     万葉短歌4368 ShuJ496 2022-0523-man4368

□くじがはは さけくありまて しほぶねに
  まかぢしじぬき わはかへりこむ
○丸子部佐壮(まろこべの すけを)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第76首。左注に、「右一首久慈郡(くじのこほりの〔(茨城県久慈郡、常陸太田市、日立市一帯)〕)丸子部佐壮」。
【訓注】久慈川(くじがは=久自我波)[「福島県東白川郡に発し、茨城県久慈郡を経て常陸太田市と那珂郡東海村との境を東流して太平洋に注ぐ川」]。幸く(さけく=佐気久)[「<幸(さき)く>の訛り」。集中にここと、すぐあとの4372(長歌)「佐祁久等麻乎須」(さけくとまをす)の2か所]。我(わ=和)。


万葉短歌4367 我が面の4042

2022年05月22日 | 万葉短歌

2022-0522-man4367
万葉短歌4367 我が面の4042

我が面の 忘れもしだは 筑波嶺を
振り放け見つつ 妹は偲はね  占部小竜

4042     万葉短歌4367 ShuJ496 2022-0522-man4367

□あがもての わすれもしだは つくはねを
  ふりさけみつつ いもはしぬはね
○占部小竜(うらべの をたつ)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第75首。左注に、「右一首茨城郡占部小竜」。
【訓注】我が面(あがもて=阿我母弖)[「<我(あ)が面(おっもて)>の約」]。振り放け見つつ(ふりさけみつつ=布利佐気美都々)[「<はるかに仰ぎ見る>…。…集中に22例」。下記注]。妹は(いもは=伊母波)[「妹よ、あなたは」]。偲はね(しぬはね=之奴波尼)[「<偲(しぬ)ふ>は<偲(しの)ふ>…。<ね>は希求の助詞」]。
【編者注-振り放け見】〈ふりさけみれば>11か所、<ふりさけみつつ>12か所、計(<ふりさけみ>は)23か所。


万葉短歌4366 常陸さし4041

2022年05月21日 | 万葉短歌

2022-0521-man4366
万葉短歌4366 常陸さし4041

常陸さし 行かむ雁もが 我が恋を
記して付けて 妹に知らせむ  物部道足

4041     万葉短歌4366 ShuJ495 2022-0521-man4366

□ひたちさし ゆかむかりもが あがこひを
  しるしてつけて いもにしらせむ
○物部道足(もののべの みちたり)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第74首。左注に、「右二首信太郡(しだのこほりの)〔(茨城県竜ケ崎(りゅうがさき)市と稲敷(いなしき)郡(現・稲敷市と周辺2町1村)東部)〕物部道足」。
【訓注】常陸(ひたち=比多知)[「茨城県の大部分」]。我が恋(あがこひ=阿我古比)[集中に<わがこひ>訓はなく、該当74か所すべてが<あがこひ>訓]。


万葉短歌4365 おしてるや4040

2022年05月20日 | 万葉短歌

2022-0520-man4365
万葉短歌4365 おしてるや4040

おしてるや 難波の津より 船装ひ
我れは漕ぎぬと 妹に告ぎこそ  物部道足

4040     万葉短歌4365 ShuJ495 2022-0520-man4365

□おしてるや なにはのつより ふなよそひ
  あれはこぎぬと いもにつぎこそ
○物部道足(もののべの みちたり)=次歌左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第73首。
【訓注】おしてるや(於之弖流夜)。難波(なには=奈尓波)。我れ(あれ=阿例)。告ぎこそ(つぎこそ=都岐許曽)[「<告げこそ>の訛り」。ほかに、06-0985五百夜継許増(いほよつぎこそ)の1例。<つげこそ>は14か所]。


万葉短歌4364 防人に4039

2022年05月19日 | 万葉短歌

2022-0519-man4364
万葉短歌4364 防人に4039

防人に 立たむ騒きに 家の妹が
業るべきことを 言はず来ぬかも  若舎人部広足

4039     万葉短歌4364 ShuJ495 2022-0519-man4364

□さきもりに たたむさわきに いへのいむが
  なるべきことを いはずきぬかも
○若舎人部広足(わかとねりべの ひろたり)=左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第72首。左注に、「右二首茨城郡(うばらきのこほりの;茨城県新治(にいはり)郡から西茨城郡〔いずれも2006年に消滅〕、東茨城郡にかけての一帯。国府の所在地…)若舎人部広足」。
【訓注】妹(いむ=伊牟)[「<妹(いも)>の訛り」。前歌では<伊母>]。業る(なる=奈流)[「生活の資を得るために働く…」]。来ぬかも(きぬかも=伎奴可母)[「<来ぬるかも>の東国形」]。


万葉短歌4363 難波津に4038

2022年05月18日 | 万葉短歌

2022-0518-man4363
万葉短歌4363 難波津に4038

難波津に 御船下ろ据ゑ 八十楫貫き
今は漕ぎぬと 妹に告げこそ  若舎人部広足

4038     万葉短歌4363 ShuJ495 2022-0518-man4363

□なにはつに みふねおろすゑ やそかぬき
  いまはこぎぬと いもにつげこそ
○若舎人部広足(わかとねりべの ひろたり)=次歌左注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第71首。
【訓注】難波津(なにはつ=奈尓波都)。八十楫(やそか=夜蘇加)[「櫂(かい)をびっしりと貫きならべて」。ほかに、12-3211、3212八十梶(やそか)、20-4408(長歌)夜蘇加、の3か所]。


万葉短歌4362 海原の4037

2022年05月17日 | 万葉短歌

2022-0517-man4362
万葉短歌4362 海原の4037

海原の ゆたけき見つつ 葦が散る
難波に年は 経ぬべく思ほゆ  大伴家持

4037     万葉短歌4362 ShuJ487 2022-0517-man4362

□うなはらの ゆたけきみつつ あしがちる
  なにはにとしは へぬべくおもほゆ
○大伴家持(おほともの やかもち)=03-0403歌注参照。
【編者注】巻20(4293~4516、二百二十四首)の第70首。「陳私拙懐一首 并短歌」、その短歌二首の第2首。左注に、「右二月十三日兵部少輔大伴宿祢家持」。
【訓注】ゆたけき(由多気伎)[「ゆったりしたさま」。ほかに、03-0296寛見乍(ゆたけきみつつ)、20-4361(長歌)由多気伎可母(ゆたけきかも)、の2例]。葦が散る(あしがちる=安之我知流)[「<難波>の枕詞」。ほかに、20-4331(長歌)安之我知流 難波能美津尓(あしがちる なにはのみつに)、-4398(長歌)安之我知流 難波尓伎為弖(あしがちる なにはにきゐて)、の2例]。