まだ名前を聞いていない彼女のうちに
何枚かの服を持って行った。
彼女は
クワで土を耕していた。
彼女の上着は着ている意味がないのでは、と思うほど
レース状になっている。
何かきっと思い入れがある服なのかもしれない。
私は来週、
福岡の娘のところへ遊びに行くことを話した。
飛行機で1時間半くらいで
福岡に着く話をすると
彼女は
福岡まで何キロあるの?
と私に聞いた。
えーと
えーと、、、
800キロくらいかなぁ、、、
と言うと、
彼女は
「飛行機は時速何キロで飛ぶのかなぁ」と言う。
車が時速50キロ
私のカヤックが時速4キロから5キロ
飛行機の時速は、、、、
わからない。
彼女はいろいろ計算して
生活しているようである。
食事のカロリーも
おにぎりひとつのカロリー、
サバ缶ひとつのカロリー。
1日に自分に必要なカロリーを
計算している。
彼女は
私にくれる野菜をカマで
シャッシャッと切ってくれたあと
「あー喉が渇いた」といって
お椀の中に
白い粉をたっぷり大さじ3杯入れた。
次に
こげちゃ色の粉を入れて
水を注いだ。
白い粉は砂糖とのこと、
こげちゃのはインスタントコーヒーだった。
こんなにたくさん砂糖を入れたのは
これがお昼ご飯の代わりだからと言う。
帰り際に
「小学生の算数の問題集を誰かからもらって来て
一緒に勉強しようよ、
楽しく勉強しようよ、
友だちなんだから
たのしいことたくさんやろうよ」と言った。
輝く笑顔で。
たのしいことをやろうよって。
私は泣きそうになる。
(見出しの写真は南伊豆町の吉田海岸です)