遊ちゃんと2人だけの夜

・・自分記録の独り綴り・・

すいじんさま

2024-12-11 06:04:54 | 片付け
どの世代までが頑なにソレを敬うのか分からない。
敬うという言葉は適さないか。
叔父叔母、同い年の従兄弟、同級生達のほとんどは、
私がハンマーで壊して捨てたと知れば呆れかえる。
知ったこっちゃない。
どうせそのうち、その時が来る。



うちの台所は10畳かな?ハッキリ分からない。

換気扇のそばの、手の届く高さに神棚があった。
水神様と母が呼んでいた。
大晦日に御神酒を備え、母は手を合わせていた。
茶の間の天井と壁に括られた大きな神棚(箱型)と違い、
キットがあれば私にも作れそうな簡単な屋根付きの棚で、
そこに同じお札が何枚も重なって置いてあった。

年末が近づくと、
どこから来るのか何者なのかお札配りの人が現れ、
玄関に入って来て、「水神様です」と言うと、
母がはーい!と出て行き、「お札をもらい」神棚に置いた。

お札と言うけど、紙切れだ。
板の入った札ではない。
これが水神様なんだろか?神様っぽい絵が印刷された紙。
以前はホントにお札だったのかもしれない。
時代とともに紙になったのかも?



母が老人病院に入院し、私が移住した年末にも来た。
その頃は田舎の習慣に合わせて、玄関を施錠していなかった。
不機嫌そうな60くらいの女性が立っていて、
「水神様っ」とだけ言い、薄いB5の紙切れを差し出した。
「あぁ、はい、どうも。」と受け取ると、

ま〜粗末な印刷だ。
台所の神棚にあるのと全く同じデザインの水神様。
トレーシングペーパーの粗悪品みたいな紙に黒インクが滲んでる。

「300円!」とぶっきらぼうに女性が言う。
「あ、300円なんだ?」

そうか、商売として年末に配り歩くのか。
こんなの私だってネットで画像を見つければコピーできるわ。
1秒の何分の1かで、私はそう思った。

「じゃあ、要りません。」
私の口が反射的にそう返事して紙を返した。

配布のオバサンは、ツンと体をひるがえして出て行った。

押し売りにしたってあんまりだ。
あの態度でお金儲けできる商売ってあるんだな。
今の時代でも皆ありがたがって「もらう」んだろか。
は〜 バカみたい。

それ以来、うちに水神様配布係は来なくなった。
いや、私が玄関を施錠するようになったからか、
それとも、水神様のお札商売が成り立たなくなったか。


長々と書いた。
何を言いたいかって。

先日、私は、この台所にあった神棚を撤去した。

金槌の反対側が釘抜きになっているハンマーで、
ガッツンガッツンバリバリ!!と叩き割って柱から剥がした。
古い紙切れお札が何枚も縦に入っていた。
私には長年、違和感と不思議さを抱かせた物。
黄色いゴミ袋に入れる時に、なんとなく1秒間の合掌。
月曜日にゴミ収集車が持って行った。


柱の、ソレがあった場所には、
柱の上から板が張り付けてあった。
神棚は後から何年かして付けたんだろう。
その板は大工の叔父の仕事だ。私には剥がせない。
ソコだけ、色が他の場所と違う。
神棚は無くなったのに、目を向けると、いまだに残像が映る。


ごく小さな、ひとつの片付け。

でも、母が姿が浮かぶ、強烈なこの家のポイント。

私が手をかけて廃棄しなきゃ、いつかは丸ごと重機だ。
コツコツやっていかなきゃ。

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