浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

岐阜市9月議会終了

2010-09-29 09:08:33 | 国際・政治

昨日、岐阜市9月議会が終了いたしました。通常の9月議会は、大きな補正予算もなく決算の認定を審議することが多いのですが、今回は多くの問題が議論の対象となり、ある意味では中身の濃い議会でした。議会改革の過渡期にある現象といってもよいと思いますが、間接民主主義の在り方や、議会の役割、また首長の政治姿勢など、名古屋をはじめ各地で起こっている地方自治の問題が、当市でも起きていると考えたほうがよいでしょう。つまり、一時的な問題というよりも、今後の地方自治を考える過渡期であり、単純な首長と議会の対立という図式ではないと思います。議会は従来の行政のオール与党的な議会であってはならず、いかに民意を反映していくか、少数意見を尊重しながらどう行政経営を図るか、公平公正な行政とは何か、財政規律を図るとはどういうことかなど、十分議論しながら、審議機関としての役割を果たさなければならないということです。全会一致で事が運ぶほど政治は簡単なものではないことは、だれしもが認めるところです。そのための対立は、当然起きるものと思わなければならないと思います。民意の反映とは、結局はその結果であり、間接民主主義の欠点でもあります。そうした民主主義の過程が、歴史が作り上げた現在のところの最も合理的かつ適正な政治制度を創り上げてきたことも認識しなければなりません。

今議会の主な議論対象事案は次のようなものです。

・議員定数問題 定数40人以下とする市民グループの請願を受け、審議が行われました。即時採択とする意見と、「市議会改革検討協議会」の審議中であり、定数のみならず報酬や政務調査費等の議会改革の議論を進めるべきだという意見が多く、継続審議となりました。小職も継続審議に賛成、定数問題だけを先行するのではなく、議員歳費を含めた包括的な議論をすべきと考えました。

・住民投票条例研究費40万円 外部有識者を読んで検討するための費用計上ですが、研究だけなら良いのではないかという意見のグループと、外部有識者を呼ぶ以前に庁内や議会での議論を十分すべきだという意見に分かれました。住民投票自体はすでに地方自治法に定められており、改めて常設型の住民投票条例の制定は、情報の偏りやコストの問題などの多くの問題点を抱えていると思います。言葉では市民参加型の直接民主主義制度といいますが、問題点をクリアーするためのコンセンサスを必要とします。有識者の参考意見ではなく、そうした問題点を含み認識を明らかにすることが行政の役割です。予算執行の否決となりました。小職も否決しました。

・市長出張旅費問題 議会質問で、市長の出張旅費について改ざんの疑いがあるとされる問題です。庁内の対策防止検討員会が設置されることとなりましたが、非公開であり外部委員が入っていないため十分でなく、事の本質も明らかにされない可能性があるとして担当委員会である総務委員の傍聴を求めるなどの議会決議案を提出いたしました。賛成しない議員もいましたが、賛成しなかった理由はよくわかりません。小職は決議に賛成いたしました。内部調査による発覚ではなく、議員の指摘によるものだけに、疑惑を明確にすることが必要で、一部公開は当然だと思われます。

・公務欠席問題 ある議員が、参議院選挙中の議会運営員会を、「家事都合」として当日に欠席の連絡をし、実際には参議院候補者の選挙事務所にいたことが発覚しました。当日の議会運営委員会は議員定数問題の初会合でもあり、公務としての議会問題をないがしろにする行為であると同時に、選挙を優先する行為に対する認識の甘さに批判が集中しました。倫理審査委員会にも発展しかねない問題ではありましたが、謝罪文の提出によって議員の了承を得ることになりました。公務欠席の範囲を考える難しい問題ではありますが、こういった問題も議会改革を進めるうえで検討されなければならないでしょう。

・市議会議会改革検討協議会の設置 議会改革に当たり全議員参加のもと協議会設置が決まりました。11月議会までに協議会の方針が決定される方向で進んでいます。先の請願で意見が分かれているように、どうとらえていくかはさまざまです。また、来年の3月に地方選挙を控えているだけに、パフォーマンスだけの意見に終始しないか心配されるところです。パフォーマンスとは、そうならないことを承知で極端な意見を述べ、議会の決定を尊重せず、市民受けだけを得ようとする行為です。根拠ある適切な議論を望みます。

以上