中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

9月の紬の取合せ――初秋の陰りの中で

2014年09月19日 | 着姿・作品



前回のブログでもご紹介した講演会には紬の単衣にシナ布の帯、紋紗の羽織で出かけました。
9月初旬~中旬の着物は悩むところですが、この日はやや残暑の振り返しはあったものの紬の単衣でも大丈夫な気候でした。

下着の肌襦袢はリネンの汗取りのついたもの、キュプラのステテコ、グレー地の平織りの麻の襦袢で汗対策もしました。半衿は楊柳を付けました。

夜でしたので、帰りのラッシュにも対応すべく薄羽織も着て行きました。

紬の着物は独立して間もない頃に織り、数年後に自分用に初めて仕立てたもので、真冬と真夏を除いて本当によく着ています。
当ブログでも度々着ている画像がありますので見飽きたかもしれませんが、^-^; 私は飽きずに毎回新しい気持ちで着ています。

色は大分褪せてきましたが、なめし革のような滑りが出てきました。
作品集『樹の滴』でもこの着物にまつわるエピソードを紹介しています。

表裏を返して仕立て替えもしています。平織りのものなら紬は表裏を返すこともできます。
そんな話も講演会でもしてきました。

帯はいろいろ持ってまして、取っ替え、控え!楽しんでいます。^ヘ^♪

この帯は原始布と呼ばれるシナ布の濃淡2色で織られた微塵格子は、植物素材の特徴を上手に生かしているように思います。
織りの技術もかなりよく織れている品物で気に入ってます。
先人の知恵と労苦には頭が下がります。

帯揚げはあまり出番のなかった藍とヤマモモで緑に染めたものに昨年化学染料の青を少しかけ青緑にしたものです。

帯締めはインドネシアのトンボ玉を組み込んだ灰桜色の組紐です。
更紗の帯を買い始めた頃(この紬を着始めた頃)に購入したものです。


羽織は画像ではわかりにくいのですが、表が深緑、裏が紺になっていて、柳の葉の紋紗織になっています。
経糸が2色使われた紗織りで、深い織り色の味わいがあります。
着物を羽織に仕立て変えましたが、5月から9月のチリよけにもなりとても重宝しています。

一枚の着物を、季節の移ろい、あわいを感じ取り取合せの素材や色を選ぶ。
初秋の割り切れない陰りのような色合い、でも澄んだ空気の透明感を演出してみました。

単なる西洋的配色ではなく、日本の自然と日本人の感性の機微の取合せには
着物の数は少なくても、自足する豊かさを覚えます。








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