中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第15期「紬きもの塾'24」開講しました!

2024年04月25日 | 紬塾’21~’24
紬塾は15期目を迎えました。
敷居の高い紬塾へようこそ。(*^_^*)

毎回、様々な年齢、立場の方が参加して下さっていますが、違いこそあれ、紬や織物や着物を着ることを知りたい、深めたいという方ばかりです。

今期は定員オーバーとなり、少し窮屈ですが、6名の方と一緒に紬織りを中心に、着物の文化について、また自然のこと、環境についても考えを深めていきます。
関西方面からも3名の参加ですし、交通費がかかってもそれでも尚!と、決心をされているのだと思います。

前年度の時にも書きましたが、
「紬塾の内容はブログには書けないことがたくさんあります。
その場に、一座建立してこそ伝えられることがあります。紬塾はそういう場を設けているだけです。そこに集まる一人ひとりが作っていく場です。」

場を設けることで、対話が始まります。私の仕事の姿勢にも触れてもらうことができます。
プロ、アマ問わず、この織物大丈夫??というようなものが沢山出回ってしまっている染織業界。
名のある、ない、○○会会員とか、そんな冠をかぶせても、ものの善し悪しとは別です。
自分に、ものの真贋を見分ける力を育てなければならないのですが、私はむしろ無垢な目を持つ人の中にいると思っています。

観ることの重要性は以前から言っていることですが、今期はその点を特に力を入れて伝えていきます。

ネットに上がっていないものは、ないものにされている現代ですが、染織の歴史はそんな底の浅い世界ではないはずです。

6名中、宗廣力三作品を見たことがある人はいませんでしたので、宗廣先生の仕事についても作品集を見てもらいながら解説しました。初期から晩年まで、作風の変化はありますが、根底には紬織りの原点を大切にした仕事をされた方です。
郡上紬の風合いの良さを語る方は多いですが、私の仕事はその骨格は受け継ぎ、見た目や色は私なりの感覚を取り入れています。



さて、初回の私の装いはいつものように、修業時代の最後に、母の為に夜なべでつむいだ太い糸で織った井桁絣の着物。染料は阿仙と丹殻、藍です。

木綿の紺絣の一番オーソドックスなのは井桁絣か蚊絣と思いますが、その基本を修業の最後に身に付けておきたくて、敢えて素朴な木綿柄を織ったのです。
我ながら、見る度に思うのは、シンプルゆえに絣のずれは目立つのですが、経も緯も絣が綺麗に合っていて、若いエネルギーの真剣勝負の仕事だったと感心しています。もう出来ません・・(*^_^;)

帯は僅かな残糸の絣を駆使した半巾帯で、地糸ももう手に入らない太くて荒くて扱いにくい赤城の節糸です。長さも短いので、矢の字結びにしました。

今日の取り合わせは、ありあわせ、残りものだけれど、力強いエネルギーに満ちたもの同士です。
更に帯留めも自作ですが、これも銀の板の端材を拾ってきてハンダ付けしたものです。
以前のブログにも取り上げた、イタリアの画家ジョルジョ・モランディは自然界は丸と四角と三角で出来ていると言っていましたが、普遍的なもののかたちは見る人が自由に想像を膨らませることができます。私はそういうものが好きです。
オール手前物!オール中野で簡素にまとめてみました。(#^^#)

紬きもの塾が「紬」や「きもの」という既存の概念に囚われるのではなく、また先入観や刷り込まれた知識で捉えるのでもなく、自分の目で素直に、自然を見詰め、見極められる目を養うことができれば、あるいはそのきっかけになればと思います。
紬塾では一人ひとりが自分で感じ、考えながら進めていきましょう。
本物と出会いましょう。





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「紬の会’24春―崩し縞を着よう!展示&受注会」お知らせ4

2024年04月04日 | 紬の会
「紬の会」のお知らせの4.です。

工房展示
4/6(土)~13(土)10時~16時
[8日(月)と10日(水)を除く]
※ご予約、お問合せは 
HPのお知らせをご覧下さい。

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ポプリホールでの「紬の会’24春―崩し縞を着よう!」展示&受注会にご来場いただきありがとうございました。
シンプルな無地感覚の崩し縞系をご覧頂きましたが、光によって経糸、緯糸の複雑な色の見え方や、風合いの柔らかさにみなさん気付かれ、驚かれた様子でした。

ポプリホールの年配の守衛さんが部屋の外から、2回も長いこと佇んで中を見てらして、はじめは見回りか何か?それとも用事かしら…と思って2回目の時に近づいて行ったら、「綺麗ですねえ・・、いいですね・・、落ち着きますね・・」と仰られ、中にお招きしてご覧頂きました。

着尺と帯を撞木に7~8反掛けただけの、華やかな強い作品などはない展示なのに、遠くから見ても、何の予備知識など無くても、ものの力を感じて頂けたのかと思うと驚きと共に、とても嬉しく思いました。
以前(2021年12月28日 )にもブログに書きましたが、精神のアーシングでしょうか。
大地の力、植物の力、自然物の力だと確信します。(*^^)v

さて、今週末4/6(土)からは、工房内に展示します。
工房は東南からの光が入ります。
お肌の色と合せながらのセミオーダーも可能です。
また、取り合わせたい着物や帯などありましたらその旨もお書き添えください。

洗い張りするごとに風合いを増す堅牢性と柔らかさを兼ね備えた紬を是非ご覧ください。

上の画像は会場でも崩し縞の見本資料の一つとして、自ら着ておりました。
「桜染め(&一部ワイン染)(^^ゞ此の手縞単衣」に、緑味のグレー格子帯「緑蔭」です。ピンクとグレーもよく合います。

帯留めはガラス素材の端っこを小川郁子さんのアトリエで見つけて小川さんに加工してもらいました。
「湖畔」と名付けました。湖畔を彩る桜の風情でしょうか…。

この着物は洗い張りもして真綿の毛羽が取れ、とても着やすいのです。
織と織りの取り合わせですが、襦袢はセピア色の桜模様を忍ばせてみました。


工房の遅咲きの桜も花曇りの中、灰色に咲き始めました。
今年がここでの最後のお花見になるかもしれません。

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<櫻工房(町田市)>
4/6(土)~13(土)10時~16時
[8日(月)と10日(水)を除く]

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