2018年、第10期「紬きもの塾」の日程を公開しました。申込受付は3月12日からです。
こちらから→☆

第9期の紬塾最終回は三河芯を使った半衿の付け方、名古屋帯をクリップを使って締めるやり方、半幅帯の結び方、仕立のこと、総括、打ち上げと6時過ぎまで、盛り沢山な内容で無事終了しました。
基礎コースの方は全6回、染織コースも取られた方は全10回。ほぼ皆勤でみなさん通ってくださいました。
毎回、写真を撮る暇もなく最後の記念写真さえ撮れませんでした。上の画像は取合せの回のワークショップ風景です。
みなさん熱心に最後まで真面目に臨んでくださり、私も一生懸命紬織や着物に関しての話をしました。
着物や手織りの布が身近でなくなった時代こそ根源的な着ることの意味や布に触れること、自然をみつめ、その恵みを享受することの大切さを少しでもお伝えできればと、知識だけではなくワークショップ、幸田文著『きもの』を読んでの感想発表などを交えてなるべく実感、実体験してもらえるよう進めてきました。
今年も気持ちよく10回の講座を開くことができました。協調性のあるみなさんのお力添えのおかげです。
それぞれの気付きや学びを日々の暮らしや着物を着ることに生かしていただきたいと思います。一年間ありがとうございました。
来期は日曜日を主に使って開催する予定です。ホームページでご確認下さい。☆
みなさんから受講後に一年を通して学んだこと、気付きなどのレポートが届きましたので以下ご一読ください。
長文もありますが、大事なことを押さえていただいたと思います。
4月からの第10期の紬塾をご検討いただいている方は参考になさってください。
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趣味で茶の湯を習っているため、きものを着るのは特別なことではなかった。
ただ、その時のきものは“とりあえずきもの”で、なくてはならないルールのようなものであり、型にはまった制服の存在だった。
たまたま「紬きもの塾」のパンフレットを見た時、自分ときものとの間にぽっかり空間があることを感じ、この間を埋めてもらえる場所だ!と直感したためだろうか、時すでに1回目の授業終了にも係わらずすぐさま電話し入塾を希望した。幸いにも2回目から参加で受け入れていただいた。
先日基礎コースを終了し、振り返ってみると、きものの源とも言える蚕(繭)まで遡ってきものになるまでを想像してみたこと、運針(全くできなかったが)に挑戦したこと、麻布を裁断して伊達締めを縫ったことは稀有な経験だった。
また、受講前から関心があったことは、衣類を直しつつ最後まで着尽くすコツや衣類との上手な付き合い方だった。
先生より紹介された『きもの』(幸田文著)には、日々の暮らしの中で着尽くされるきものがまるで分身のように活き活きと描かれていた。
片や自分の普段の衣服の後始末「適当な大きさに切って掃除布にすること」がいかに薄っぺらいやり方かと痛感した。
最後に、この塾はきものに限らず生きていく上で大切なことを受講生に気付かせてくれる学びの場だったと思う。それは、自分の手で作ること、感じること、工夫すること、そして作り出したものから自分を高めていくことではなかろうか?と思う。
まずは今手持ちのきものからキチンと向き合っていこう!と一部のきものを修繕に出した。 K.N
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これまでの全6回の紬塾基礎コースでは、沢山の貴重なものを観る機会を与えていただきました。
蚕が吐いた極細い波打つ糸から作られた繭、繭からつくる様々な糸、それを自然のもので染めた色々な糸、またその様な糸から織られた優しく柔らかな紬等です。
そして先生の紬を纏わせていただいた際には、心地良い温かさがありました。
とことん着尽くすの回では、伊達締めを縫い、先生が大切にされている昔の布や衣服を見せていただきました。昔の人のものに対する向き合い方に触れ、現代に生きる人たちは、ものに本気で向き合い暮らすという事を、一生懸命しているだろうかと考えさせられました。
日本の取り合わせの美の回では、着物、帯、帯揚げ、帯締めについて、いくつかの中から選んで組み合わせを考えました。初めての経験でしたが、どれとどれを合わせたら良いだろうかと自分なりに想像を膨らませました。一つを別のものに替えるだけで全く違った装いになり、洋服では味わえない楽しみを感じました。
自然で楽な着方の回では、着物の着方をひとつひとつ教えていただきながら、初めて自分で着る事が出来ました。まだまだ練習は必要ですが、着物を身近に感じられる様になりました。
そして最終回では、先生が織られた半幅帯をお借りして、いくつかの結び方を教えていただきました。勿論初めての事でしたが、帯が体に馴染んで締め心地がよく、半幅帯に大変興味が湧きました。
一回一回がとても濃厚で、本当に貴重な経験をさせていただきました。この様な機会を与えていただけたことに大変感謝いたします。
この紬塾に出会えて本当に幸運でした。先生が紬塾を開いてくださったこと、また参加させていただけたことに、大変感謝致しております。
これから課題は沢山ございますが、一歩一歩見極めながら進んで行きたいと思っております。 Y.H
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ふと入った、お店に中野先生の紬きもの塾のパンフレットがあり、目に留まりました。
それまで、「着物が大好き」という以外、ほとんど紬に対する知識もなく、「着物を着たい」と思いながらも、いろいろな制約で難しさを感じていました。
紬きもの塾の講座の中には、これから着物を着ていくうえでの、指針のようなものがあるのではと感じ、思いきって紬入門基礎コースに申し込みました。
講座では、紬織の糸、草木染の染色など紬について学び、また、幸田文著「きもの」を読み、着物が日常に深く根ざしていた時代について知りました。また、着物をとことん使うこと、日常生活をていねいに暮らすことや、日常的に着るための楽な着付けについても学びました。
中野先生の紬に取り組む、真摯なご姿勢や熱意、着物のみならず生活全般をていねいに暮らされているご様子を、教えていただきました。
生糸を繭から引かせていただいたのは、大変興味深かったです。
また、先生の作品を羽織らせていただいた時には、今まで私が知っていた着物の印象が変わりました。暖かく、優しい、包み込まれるような美しさがあり、どなたにも似合う寛容さがあり、本物の紬とはこういうものかと、目が覚めた気持ちがしました。
着付けについても、極力紐を少なく、ゆったりと楽に着ることを教えていただきました。私にとって、着付けは、「こうあらねばならない」と決まりの多いものとの思いがあり、なかなか、一人で着ることに慣れませんでした。今まで、2か所の着付け教室にも通い、本も買い込み、「何とか一人で着られるようになりたい」との思いは、長年あったのですが、実現できずにいました。今回、日常の着物に接し、目からうろこが落ちた感じです。
今回の講座は、着物初心者の私には、盛りだくさんの内容で、ついていくのがやっとのところもありましたが、これを機に、自分自身の五感を大切に、いろいろなものの本当の美しさを見て感じることができるようになっていけたらと思います。
また、今度こそ着物を着ることを生活の一部としていきたいと思っています。
いつか、私にとってのとっておきの一枚の着物に出会えることを楽しみに。
中野先生、講座をご一緒した皆様、1年間ありがとうございました。 S.Y
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紬塾を受講したきっかけは、手紡ぎの糸で織られた布が好きで、学ぶ場所を探していた時に、 立松和平さんの著書『染めと織りと祈り』の中で、中野先生の取材記事を読んだことでした。
“つくりたい、織りたいという気持ちが強くあれば、染織の仕事はどこでもできる”と語られている言葉に惹かれ 基礎コースと、染織コースを受講しました。
今まで絹の素材に触れる機会があまり多くなく、着物もほとんど着たことが無かったのですが、 糸のことから、運針や、染織、着物の着付けなど、幅広く教えて頂きました。
<紬の着物・糸について>
先生の作品を羽織らせて頂いたり触らせて頂くと、とても軽く手触りが滑らかであたたかく、糸自体がふっくりした様子や、 穏やかな色合いで光の加減によっても色が変わり、このような生地があるのだとびっくりしました。
糸について、経糸、緯糸ともに節のある糸を使い、やや太目の糸を使うことで糸が切れずらくなったり、着心地がよくなることや、蚕は八の字を描きながら糸を吐き出すため、そのウェーブを大事にすることで、保温性、通気性が高くなるなどのお話を伺いました。
単に美しさだけでなく、着心地や、堅牢性のあるものをつくるため、そのような細やかな心遣いがなされていることに、とても奥深さを感じました。
また、糸を引き出す体験ではとても細くてキラキラした糸が、 つ、つ、つ・・・と引き出される感触がとても新鮮で、木綿などの植物の糸とはまた違った、動物から生まれる糸なのだと実感しました。
<物を大事にすること>
・着物の更正
着物の更正の授業では、中野先生のお母様が、娘時代の着物を再利用して作られたふろしきなどを見せていただきました。
様々な柄の布を丁寧に合わせて作られたものは、とても素敵で、 物を大事にするということが理屈で考えるのではなく、いいなあと思えました。
・ 幸田文著「きもの」を読んで
著者の少女時代の自伝的な作品で、小さい頃の着物をツギを当てながら大事に着たり、家族の寝巻きを自分で縫ったり、物が限られた時代の暮らしの知恵にとても凄みを感じ、知るきっかけがあってよかったと感じました。
<手を動かすこと>
基礎コースでは麻の伊達締めを縫う授業があり、染織コースでは、糸を紡ぐことから、染め、設計、織りまでを体験しました。 縫うこと、糸の扱い、どれも頭でイメージしていても、実際に手を動かすこととは全く違っていて、日常から手を動かさないと動かないと改めて感じました。
<着物を着ること>
着物は興味がありながら敷居が高く、ほとんど着たことが無かったので 着付けの授業では、楽な着方を教えていただき、着物の世界が少し身近に感じられるようになりました。
祖母の帯を持っていき、練習が出来たのですが、実際に祖母から直接着物の話を聞く機会がなかったので、とても貴重な経験でした。
<日々の生活を大切にすること・物をみること>
紬塾の最終日、先生が陶芸家の河井寛次郎の「物買って来る 自分買って来る」という言葉を取り上げて、買って選ぶものは自分自身がそこに反映されるというお話をされました。
もし立派な着物を買ったとしても、箸一膳をおろそかに選んでいたら、どうなのか。日常から、ひとつひとつのものを大事に選ぶことが大事、と。
物への接し方、姿勢の積み重ねが、きっと美しさを見出すことに繋がるのだと感じました。
また、よく授業では、布を見る時、縫ったりする時、どうなっているか良く見て、とおっしゃられていて、物をみることに注意深くなることも、とても大事だと感じました。
改めて、中野先生が植物で染められた様々な糸を見たり、 ご自分の着尺を仕立てた着物を着られている姿を拝見したり、 着物の取り合わせの授業などで、受講生の方や先生と一緒に、素敵だなあと感じたことを話し合ったり出来たことは、 とても楽しく、貴重な経験だったと感じています。
自分が何を好み、どのようなものを選ぶのか、 日々の心がけから、生活が生まれて、 心がけが反映されるということは、鍛錬の厳しさを感じるとともに、 例え織っていなかったり、着物を着る機会がない時でも、いつでも始められるのだと思う。
「どこでも染織は出来る」という言葉とともに、 一年間の経験を糧に、日々の生活を自分なりに見直して、よりよくしていけたらと思います。
中野先生、それから紬塾の受講生の方々に深くお礼を申し上げます。 S.S
---------------------------------------------------------- 以上
こちらから→☆

第9期の紬塾最終回は三河芯を使った半衿の付け方、名古屋帯をクリップを使って締めるやり方、半幅帯の結び方、仕立のこと、総括、打ち上げと6時過ぎまで、盛り沢山な内容で無事終了しました。
基礎コースの方は全6回、染織コースも取られた方は全10回。ほぼ皆勤でみなさん通ってくださいました。
毎回、写真を撮る暇もなく最後の記念写真さえ撮れませんでした。上の画像は取合せの回のワークショップ風景です。
みなさん熱心に最後まで真面目に臨んでくださり、私も一生懸命紬織や着物に関しての話をしました。
着物や手織りの布が身近でなくなった時代こそ根源的な着ることの意味や布に触れること、自然をみつめ、その恵みを享受することの大切さを少しでもお伝えできればと、知識だけではなくワークショップ、幸田文著『きもの』を読んでの感想発表などを交えてなるべく実感、実体験してもらえるよう進めてきました。
今年も気持ちよく10回の講座を開くことができました。協調性のあるみなさんのお力添えのおかげです。
それぞれの気付きや学びを日々の暮らしや着物を着ることに生かしていただきたいと思います。一年間ありがとうございました。
来期は日曜日を主に使って開催する予定です。ホームページでご確認下さい。☆
みなさんから受講後に一年を通して学んだこと、気付きなどのレポートが届きましたので以下ご一読ください。
長文もありますが、大事なことを押さえていただいたと思います。
4月からの第10期の紬塾をご検討いただいている方は参考になさってください。
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趣味で茶の湯を習っているため、きものを着るのは特別なことではなかった。
ただ、その時のきものは“とりあえずきもの”で、なくてはならないルールのようなものであり、型にはまった制服の存在だった。
たまたま「紬きもの塾」のパンフレットを見た時、自分ときものとの間にぽっかり空間があることを感じ、この間を埋めてもらえる場所だ!と直感したためだろうか、時すでに1回目の授業終了にも係わらずすぐさま電話し入塾を希望した。幸いにも2回目から参加で受け入れていただいた。
先日基礎コースを終了し、振り返ってみると、きものの源とも言える蚕(繭)まで遡ってきものになるまでを想像してみたこと、運針(全くできなかったが)に挑戦したこと、麻布を裁断して伊達締めを縫ったことは稀有な経験だった。
また、受講前から関心があったことは、衣類を直しつつ最後まで着尽くすコツや衣類との上手な付き合い方だった。
先生より紹介された『きもの』(幸田文著)には、日々の暮らしの中で着尽くされるきものがまるで分身のように活き活きと描かれていた。
片や自分の普段の衣服の後始末「適当な大きさに切って掃除布にすること」がいかに薄っぺらいやり方かと痛感した。
最後に、この塾はきものに限らず生きていく上で大切なことを受講生に気付かせてくれる学びの場だったと思う。それは、自分の手で作ること、感じること、工夫すること、そして作り出したものから自分を高めていくことではなかろうか?と思う。
まずは今手持ちのきものからキチンと向き合っていこう!と一部のきものを修繕に出した。 K.N
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これまでの全6回の紬塾基礎コースでは、沢山の貴重なものを観る機会を与えていただきました。
蚕が吐いた極細い波打つ糸から作られた繭、繭からつくる様々な糸、それを自然のもので染めた色々な糸、またその様な糸から織られた優しく柔らかな紬等です。
そして先生の紬を纏わせていただいた際には、心地良い温かさがありました。
とことん着尽くすの回では、伊達締めを縫い、先生が大切にされている昔の布や衣服を見せていただきました。昔の人のものに対する向き合い方に触れ、現代に生きる人たちは、ものに本気で向き合い暮らすという事を、一生懸命しているだろうかと考えさせられました。
日本の取り合わせの美の回では、着物、帯、帯揚げ、帯締めについて、いくつかの中から選んで組み合わせを考えました。初めての経験でしたが、どれとどれを合わせたら良いだろうかと自分なりに想像を膨らませました。一つを別のものに替えるだけで全く違った装いになり、洋服では味わえない楽しみを感じました。
自然で楽な着方の回では、着物の着方をひとつひとつ教えていただきながら、初めて自分で着る事が出来ました。まだまだ練習は必要ですが、着物を身近に感じられる様になりました。
そして最終回では、先生が織られた半幅帯をお借りして、いくつかの結び方を教えていただきました。勿論初めての事でしたが、帯が体に馴染んで締め心地がよく、半幅帯に大変興味が湧きました。
一回一回がとても濃厚で、本当に貴重な経験をさせていただきました。この様な機会を与えていただけたことに大変感謝いたします。
この紬塾に出会えて本当に幸運でした。先生が紬塾を開いてくださったこと、また参加させていただけたことに、大変感謝致しております。
これから課題は沢山ございますが、一歩一歩見極めながら進んで行きたいと思っております。 Y.H
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ふと入った、お店に中野先生の紬きもの塾のパンフレットがあり、目に留まりました。
それまで、「着物が大好き」という以外、ほとんど紬に対する知識もなく、「着物を着たい」と思いながらも、いろいろな制約で難しさを感じていました。
紬きもの塾の講座の中には、これから着物を着ていくうえでの、指針のようなものがあるのではと感じ、思いきって紬入門基礎コースに申し込みました。
講座では、紬織の糸、草木染の染色など紬について学び、また、幸田文著「きもの」を読み、着物が日常に深く根ざしていた時代について知りました。また、着物をとことん使うこと、日常生活をていねいに暮らすことや、日常的に着るための楽な着付けについても学びました。
中野先生の紬に取り組む、真摯なご姿勢や熱意、着物のみならず生活全般をていねいに暮らされているご様子を、教えていただきました。
生糸を繭から引かせていただいたのは、大変興味深かったです。
また、先生の作品を羽織らせていただいた時には、今まで私が知っていた着物の印象が変わりました。暖かく、優しい、包み込まれるような美しさがあり、どなたにも似合う寛容さがあり、本物の紬とはこういうものかと、目が覚めた気持ちがしました。
着付けについても、極力紐を少なく、ゆったりと楽に着ることを教えていただきました。私にとって、着付けは、「こうあらねばならない」と決まりの多いものとの思いがあり、なかなか、一人で着ることに慣れませんでした。今まで、2か所の着付け教室にも通い、本も買い込み、「何とか一人で着られるようになりたい」との思いは、長年あったのですが、実現できずにいました。今回、日常の着物に接し、目からうろこが落ちた感じです。
今回の講座は、着物初心者の私には、盛りだくさんの内容で、ついていくのがやっとのところもありましたが、これを機に、自分自身の五感を大切に、いろいろなものの本当の美しさを見て感じることができるようになっていけたらと思います。
また、今度こそ着物を着ることを生活の一部としていきたいと思っています。
いつか、私にとってのとっておきの一枚の着物に出会えることを楽しみに。
中野先生、講座をご一緒した皆様、1年間ありがとうございました。 S.Y
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紬塾を受講したきっかけは、手紡ぎの糸で織られた布が好きで、学ぶ場所を探していた時に、 立松和平さんの著書『染めと織りと祈り』の中で、中野先生の取材記事を読んだことでした。
“つくりたい、織りたいという気持ちが強くあれば、染織の仕事はどこでもできる”と語られている言葉に惹かれ 基礎コースと、染織コースを受講しました。
今まで絹の素材に触れる機会があまり多くなく、着物もほとんど着たことが無かったのですが、 糸のことから、運針や、染織、着物の着付けなど、幅広く教えて頂きました。
<紬の着物・糸について>
先生の作品を羽織らせて頂いたり触らせて頂くと、とても軽く手触りが滑らかであたたかく、糸自体がふっくりした様子や、 穏やかな色合いで光の加減によっても色が変わり、このような生地があるのだとびっくりしました。
糸について、経糸、緯糸ともに節のある糸を使い、やや太目の糸を使うことで糸が切れずらくなったり、着心地がよくなることや、蚕は八の字を描きながら糸を吐き出すため、そのウェーブを大事にすることで、保温性、通気性が高くなるなどのお話を伺いました。
単に美しさだけでなく、着心地や、堅牢性のあるものをつくるため、そのような細やかな心遣いがなされていることに、とても奥深さを感じました。
また、糸を引き出す体験ではとても細くてキラキラした糸が、 つ、つ、つ・・・と引き出される感触がとても新鮮で、木綿などの植物の糸とはまた違った、動物から生まれる糸なのだと実感しました。
<物を大事にすること>
・着物の更正
着物の更正の授業では、中野先生のお母様が、娘時代の着物を再利用して作られたふろしきなどを見せていただきました。
様々な柄の布を丁寧に合わせて作られたものは、とても素敵で、 物を大事にするということが理屈で考えるのではなく、いいなあと思えました。
・ 幸田文著「きもの」を読んで
著者の少女時代の自伝的な作品で、小さい頃の着物をツギを当てながら大事に着たり、家族の寝巻きを自分で縫ったり、物が限られた時代の暮らしの知恵にとても凄みを感じ、知るきっかけがあってよかったと感じました。
<手を動かすこと>
基礎コースでは麻の伊達締めを縫う授業があり、染織コースでは、糸を紡ぐことから、染め、設計、織りまでを体験しました。 縫うこと、糸の扱い、どれも頭でイメージしていても、実際に手を動かすこととは全く違っていて、日常から手を動かさないと動かないと改めて感じました。
<着物を着ること>
着物は興味がありながら敷居が高く、ほとんど着たことが無かったので 着付けの授業では、楽な着方を教えていただき、着物の世界が少し身近に感じられるようになりました。
祖母の帯を持っていき、練習が出来たのですが、実際に祖母から直接着物の話を聞く機会がなかったので、とても貴重な経験でした。
<日々の生活を大切にすること・物をみること>
紬塾の最終日、先生が陶芸家の河井寛次郎の「物買って来る 自分買って来る」という言葉を取り上げて、買って選ぶものは自分自身がそこに反映されるというお話をされました。
もし立派な着物を買ったとしても、箸一膳をおろそかに選んでいたら、どうなのか。日常から、ひとつひとつのものを大事に選ぶことが大事、と。
物への接し方、姿勢の積み重ねが、きっと美しさを見出すことに繋がるのだと感じました。
また、よく授業では、布を見る時、縫ったりする時、どうなっているか良く見て、とおっしゃられていて、物をみることに注意深くなることも、とても大事だと感じました。
改めて、中野先生が植物で染められた様々な糸を見たり、 ご自分の着尺を仕立てた着物を着られている姿を拝見したり、 着物の取り合わせの授業などで、受講生の方や先生と一緒に、素敵だなあと感じたことを話し合ったり出来たことは、 とても楽しく、貴重な経験だったと感じています。
自分が何を好み、どのようなものを選ぶのか、 日々の心がけから、生活が生まれて、 心がけが反映されるということは、鍛錬の厳しさを感じるとともに、 例え織っていなかったり、着物を着る機会がない時でも、いつでも始められるのだと思う。
「どこでも染織は出来る」という言葉とともに、 一年間の経験を糧に、日々の生活を自分なりに見直して、よりよくしていけたらと思います。
中野先生、それから紬塾の受講生の方々に深くお礼を申し上げます。 S.S
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