新しく染めの作業に入る前に糸棚のチェックをしました。
上の画像は高さ1.6mほどの収納棚の糸ですが、左が真綿系(半つや消し)、右が座繰り糸(光沢あり)。
様々な染材で染められたものです。
ほんの少し残った糸は桐の文箱へ。帯を織る時などの差し色に結構出番があります。
僅かな残糸もとても大切なのです。
この棚は機の傍にあって扉を開けば糸が見渡せ、すぐに取り出せるようにしています。
普段から大量の糸を用意してあるのですが、展示会続きで染の時間をあまり取ることが出来ず、色の偏りもでてきました。
しかし、少なくなったと思っていましたが、改めて見ると結構ありますね。。。^_^;;
たくさんの草や木を染めてきました。自宅の植物ばかりではなく、ご近所でいただいたり、友人、知人が送ってきてくれた植物もあります。
草木は鮮度が大事ですので夜中まで一人必死になって染めていた頃を思い出します。
色々な工夫で一種類の植物からでも様々な色相に染め分けることもできます。キリがないのです。
何を織るでもなく取り敢えず染めずにいられないような時もありました。
ここに上げている色糸は身近な植物ばかりです。ごく自然な色です。
こちらの画像は1.8mの高さ、90cm幅のスチールラックは奥行きも深い棚ですが、上の扉の中はベースによく使う白茶系、ピンク系グレ-系などを中心にほぼ目一杯入ってます。
桜染はスチール棚の深い引き出しに2杯分。かなり少なくなりましたが、、。
湿気は厳禁の鉄媒染のグレー系は桐の茶箱型衣装ケースに。
1~2綛の少なくなった糸は見やすいように帯箪笥の盆の中に。
二つ絣、四ツ絣や差し色的に使うことの多いコブナグサの黄色なども帯箪笥に。
この他に藍染は柳行李、紫根染め、茜染、ショールや帯などの太い糸は衣装箱や収納BOXにもあります。
デザインに関して、私は色糸(白を含む)を見ながらイメージを膨らませ織物設計を考えるやり方で、デザインが先にありきではないので微妙な色や糸質の違うものなどたくさん染めておく必要があります。
自分の中にある感覚だけではなく、外にあるもの(植物染の様々な色相、糸のかたち、糸質)に刺激され発想が膨らむといいと思っています。
色素としての色がそこにあるだけでなく、紬糸の素材感が生み出す色があるわけです。
更に織物はタテ、ヨコ合わさって生まれてくる織り色、布の風合いが生み出す陰影も最終的な色になります。
色が畳みかけられる重層的な世界が紬の場合は特にあります。
繊細さに気付く目と外にあるもので生じてくることの両方を大切にしながら意識して制作していかなければなりません。
植物でも媒染剤によっては鮮やかな強い色を染めることも出来ますが、私はナチュラルで微妙な色を中心にした紬を織りたいと思います。
強い色のものは取合せなどで使う余地も残さなければいけませんので。
この点が着るための現代の着物を織るということでは最も大切と思います。
今あるこの糸たちだけでも一人では一生かかっても使いきれませんが、すべて人の手で紡がれ、挽かれた糸ですから染めたからには無駄には出来ません。
自然で、着る方にとって自由度の高い紬を織りたいと思っていますが、着てくださる方がいるかぎりはどんどん織りたいと思います。。。(*^^*)
暫く染の日々が続きますが、今この季節にしか出ない色があります。
いつも植物が教えてくれる新たな発見があります。
生き生きした清き色が染まるよう祈るような気持ちで向き合います。