『寝具のゆたかや』 店主のきまぐれ日記

お届けするのは快適な眠りです。

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『アンコ』

2009年10月29日 | 打ち直し
本格的の寒くなる前にと、お布団の手入れ(打ち直し)の依頼が増えてきました。
こちらのお客様は昔婚礼で持って来たお布団を今風の柄に変えて、もう少し軽くして欲しいとのご依頼です。



中綿は上質の綿が使われているんですが、目方が掛布団で4キロづつ、敷布団で7.5キロも入っていました。



昔はとにかく一枚でも寝れる様に綿をたくさん入れて欲しいという注文が多かったようで、現在のダブルの量くらいの綿を入れることはざらにあったようです。
ご希望通り綿の量を調整し軽く仕立ててお届けしますので、今しばらくお待ちくださいね。

ご注文ありがとうございました。

さて、こちらは新規のお客様の敷布団の打ち直しです。
今までよその布団さんと取引をしていたらしいんですが、今回縁あって当店へご来店頂きました。

『いい綿が入ってるはずだけど、干してもあまり嵩がなくって・・』

と言うお客様に、目の前で中綿を確認して頂きました。
当店では中綿の確認はお得意様、新規のお客様にかかわらず必ずお客様の前で実施しています。
そして、長年この仕事をしているとある程度は生地の上からでも中綿の良し悪しがわかるようになります。
今回も、お布団を持ち上げた時にちょっとした違和感があり、お客さんに確認して頂きました。



ご覧のように表側の綿と中側の綿の質が明らかに違います。
これにはお客様もびっくりした様子でした。

私達の業界ではこのような状態を『アンコ』といいます。
『アンコ』にすのは二通りあります。

一つはお客様の希望で悪い綿に良い綿を足してお布団を少しでもふっくらさせて欲しいという場合です。
こちらはお客様自らのご希望ですから問題ありません。

もう一つは業者が意図的に古い綿を芯に入れ表面をキレイな綿で隠す悪質なものです。
もちろん古い綿を使うことで製造原価は格段に安くなります。
古い綿を新しい綿で巻き、さらに生地を被せお布団の状態にしてしまえば、何かの拍子に生地が破れたり次に仕立替をしない限り偽装がばれることもありません。
これはりっぱな詐欺商法です。

そして、どうやらお客様の話を聞くと今回の場合は残念ながら後者のようでした。

戦後の物のない時代ならまだしも、外から中味が見えないのをいい事に現在でも平気でこのような仕事をしている同業者が居るかと思うと本当に情けないと言うか、こうした一部の心無い業者のおかげで寝具業界全体に影響がでてしまうのは本当につらいことです。

今回はお客様とご相談の上、中心の古綿を取り除き、不足分だけ新しい綿を足して仕立てることになりました。



今度は干してもふっくらしないなんて事はありませんからご安心くださいね。
ご注文ありがとうございました。

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