おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

JFK

2021-03-11 08:14:28 | 映画
「JFK」 1991年 アメリカ


監督 オリヴァー・ストーン
出演 ケヴィン・コスナー
   シシー・スペイセク
   ジョー・ペシ
   ゲイリー・オールドマン
   トミー・リー・ジョーンズ
   ウォルター・マッソー

ストーリー
1963年11月22日、晴天の午後、テキサス州ダラスにおいてケネディ大統領が暗殺されるという事件が起こった。
ニューオリンズ州の地方検事ジム・ギャリソンは、暗殺後2時間も経たないうちに警官殺しの容疑で逮捕されたオズワルドが大統領暗殺の犯人と発表され、さらにオズワルド自身がダラス警察本部の駐車場で護送される途中、ナイトクラブの経営者ジャック・ルビーに撃たれて死ぬという一連の経過に疑問を抱く。
最高裁長官アール・ウォーレンを委員長とする調査委員会は、オズワルドの単独犯行と結論した。
ギャリソンは改めて暗殺事件をスタッフとともに秘密捜査することにし、最初の匿名の電話の主であるジャック・マーティンをはじめ、数々の目撃者、関係者に聞き込みを行い、やがて軍の極秘任務によりキューバ侵攻のゲリラ作戦を行うマングース計画を進めていた元FBI捜査官ガイ・バニスターやフェリーらが暗殺を図ったことと、首謀者は実業家として知られるクレー・ショーであることを突き止めた。
捜査が真相に近づくにつれギャリソンはマスコミの攻撃や政府からの脅しを受け、妻や子供たちとの私生活も危機に見舞われるが、Xと名乗る大佐から事件が軍やFBIやCIAをも巻き込んだクーデターであることを知らされ、遂にクレー・ショーを暗殺の共謀罪で告訴する。
裁判でギャリソンはケネディが三方から射撃されたことを明らかにし、1発の銃弾で7ケ所に傷を与えたという「魔法の弾丸説」の虚構を暴いて陪審員にアメリカの正義を訴えるがクレー・ショーは無罪に終わった。
全ての真相が明らかになるには、オズワルドやジャック・ルビーについての非公開の極秘報告書が公表される2039年まで待たなければならない。


寸評
衛星通信が開始されアメリカからリアルなニュースが飛び込んでくるようになった初日のニュースがケネディ大統領の暗殺事件で衝撃を受けた記憶がある。
僕はまだ中学生だったが、その後幾度となくケネディ大統領の話を目にすることになる。
それはキューバ危機であったり、暗殺事件を描いたものであったりしたのだが、その手法もドキュメンタリーであったりドラマであったりで手法も色々なものであった。
それだけ注目を浴び続けたのはケネディ人気と、暗殺のミステリーによるところが大きいと思う。

映画は尋問であるとか、検事局内での議論であるとかで会話が非情に多い。
その会話劇に少しばかり戸惑いを感じるが、粘り強く見ていると徐々に作品内に引き込まれていく。
おそらく、今ではオズワルドの単独犯行説を信じている人はいないのではないかと思われるし、僕自身も単独犯行説には疑問を感じている。
したがって地方検事のジム・ギャリソンの推論には説得力を感じてしまうし、それを感じさせる作りになっている。
数々の目撃者証言がありながら、それらが検討されずに事件が処理されていった経緯や、重要参考人たちが不審死していく経緯などに国家権力の恐ろしさを感じてくるようになる。
攻防総省、FBI、CIA、警察組織、政府が一体化すれば何でもできてしまう恐怖だ。
日本は戦後直接的な戦争を起こしていないが、世界には戦争を望んでいる人種がいることだけは確かなようだ。
極右的思想者だけでなく、厄介なのは戦争のおかげで巨大な権力を手にする者がいたり、莫大な利益を得る者がいるということだ。
彼等にとって戦争がないことは困ることなので、平和主義者のジョン、ロバートのケネディ兄弟が暗殺され、キング牧師も暗殺されたかのような描き方である。
ジム・ギャリソンのその主張は正しいものであるような印象を受ける。

映画はエンタメ性も持っているので、その間に家庭崩壊寸前の様子も挿入している。
家族での外食シーンでは、尋問が白熱しその食事会に出席できないジム・ギャリソンに対し、子供たちに「パパはいつも約束を守らない」と言わせている。
仕事に没頭する夫に対して不満を爆発させる妻の主張もよくわかるし、家庭崩壊の様子が本題を壊さない程度に抑えられていて緊張を壊さない。
ロバートの暗殺で夫婦が和解したようなシーンになぜかホッとするようなものを感じた。

最後のケビン・コスナー演じるジム・ギャリソンの演説は迫力があったなあ。
一気に気分が盛り上がったし、彼の様な検事がいること、そのような組織が存在していることにも驚いた。
機密文書が公開されれば、果たして事実は明らかになるものなのだろうか?
僕は2039年9月の公開を知ることが出来るかどうかわからない。
しかしその時、軍事関係者の関与が明らかになったとしたらアメリカはどのような態度を取るのだろうか?
関係者は過去の人となっていて、本当の真実は闇に葬り去られるのだろうか。
本当に恐ろしいのは国家権力と、それに群がる人々の欲の様な気がする。


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