「ケイン号の叛乱」 1954年 アメリカ
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監督 エドワード・ドミトリク
出演 ハンフリー・ボガート / ホセ・ファーラー
リー・マーヴィン / ヴァン・ジョンソン
ロバート・フランシス / E・G・マーシャル
メイ・ウィン / キャサリン・ウォレン
ストーリー
1943年、プリンストン大学を卒業したウィリー・キースは、ナイトクラブの歌手をしている恋人メイ・ウィンに別れを告げ、海軍少尉候補生として駆逐艦ケイン号に乗りこんだ。
ケイン号では艦を切り回しているのは艦長デヴリースではなく、むしろ副官のマリク大尉であったが、間もなく艦長交代が行われ、新艦長のクィーグ中佐が着任した。
ウィリーはクィーグのデヴリースとは正反対なキビキビした態度に感心した。
魚雷の曳航演習中、クィーグが1人の水兵を叱責することに夢中になって指揮を忘れたため魚雷の曳航綱が切れてしまうという事件が起きた。
この事故の説明のため、ケイン号はサンフランシスコに入港し、ウィリーはメイとともに休暇を過ごした。
休暇が終わって艦に帰った乗組員たちは艦長が事件の責任を部下一同になすりつけたことを知った。
クィーグへの信頼は一挙に失われた。
ケイン号は直ちに機動部隊に加ってクェゼリン群島に向かったが、この上陸作戦でクィーグは満足に任務が遂行できず、大変な臆病者であることを暴露してしまい、インテリのキーファー大尉は彼を偏執狂だといった。
事実、クィーグは冷蔵庫の苺が紛失したといって乗組員の身体検査をする有様だった。
そんな矢先、艦は猛烈な台風に遭遇し、艦長に指揮を委せていたら沈没も免れぬと思ったマリクは決然クィーグに反抗して艦の指揮をとり、皆の応援を得て艦を救った。
艦はサンフランシスコに帰港し、マリクとウィリーは反逆罪で軍法会議に附されることになった。
体勢は明らかにマリクたちに不利だったが、弁護人グリーンウォルド中尉は巧妙な質問で2人の無罪の判決を勝ち取ったのだが・・・。
ケイン号では艦を切り回しているのは艦長デヴリースではなく、むしろ副官のマリク大尉であったが、間もなく艦長交代が行われ、新艦長のクィーグ中佐が着任した。
ウィリーはクィーグのデヴリースとは正反対なキビキビした態度に感心した。
魚雷の曳航演習中、クィーグが1人の水兵を叱責することに夢中になって指揮を忘れたため魚雷の曳航綱が切れてしまうという事件が起きた。
この事故の説明のため、ケイン号はサンフランシスコに入港し、ウィリーはメイとともに休暇を過ごした。
休暇が終わって艦に帰った乗組員たちは艦長が事件の責任を部下一同になすりつけたことを知った。
クィーグへの信頼は一挙に失われた。
ケイン号は直ちに機動部隊に加ってクェゼリン群島に向かったが、この上陸作戦でクィーグは満足に任務が遂行できず、大変な臆病者であることを暴露してしまい、インテリのキーファー大尉は彼を偏執狂だといった。
事実、クィーグは冷蔵庫の苺が紛失したといって乗組員の身体検査をする有様だった。
そんな矢先、艦は猛烈な台風に遭遇し、艦長に指揮を委せていたら沈没も免れぬと思ったマリクは決然クィーグに反抗して艦の指揮をとり、皆の応援を得て艦を救った。
艦はサンフランシスコに帰港し、マリクとウィリーは反逆罪で軍法会議に附されることになった。
体勢は明らかにマリクたちに不利だったが、弁護人グリーンウォルド中尉は巧妙な質問で2人の無罪の判決を勝ち取ったのだが・・・。
寸評
ハンフリー・ボガートが珍しく嫌われ役をやっている。
前半はハンフリー・ボガートが演じる艦長の人となりが描かれる。
人となりと言っても艦長の悪い面ばかりで、やたら細かいことに執着し、自分のミスを認めず人のせいにする。
臆病者で海岸までの教理を偽って逃亡を図るなどで、乗組員たちとの確執がメインとなっている。
戦争時において、もしも指揮官の判断能力が劣っていたらというタブーに挑んだ作品と言える。
冒頭で、海軍で叛乱が起きたことは一度もないとの言い訳めいた但し書きが表示されるのは、たぶん撮影に協力したであろうアメリカ海軍への配慮だったのだろう。
小説を執筆中のキーファー大尉は艦長のクィーグを偏執狂と決め込んでいる。
キーファー大尉の主張はもっともだと思われるが、それでも副官のマリク大尉は艦長を擁護している。
軍隊における命令とはそういうものなのだろうが、命じられれば疑問に思っていても乗組員は服従している。
前半における二人の大尉、組織の上下関係を重視するマリク大尉と、冷静に客観的な意見を述べるキーファ大尉のキャラクターは後半に効いてくるので描き方は重要なのだが、上手く処理されている。
やがて艦長の無能ぶりが露呈して、マリク大尉がケイン号を操縦することになるが、命令系統を重視していたマリク大尉が指揮権を奪う決断をするのが前半の山場となる。
マリク大尉が指揮権を奪ったことは軍率違反の可能性があり、彼はキースと共に軍法会議にかけられることになってしまう。
後半はその裁判劇である。
後半の裁判劇では何と言ってもマリク大尉の弁護人グリーンウォルド中尉を演じたホセ・フェラーの頑張りだ。
不利な裁判で、やる気があるのかないのか分からない態度を見せながら見事な反撃を試みる。
最後にマリク大尉の無罪を勝ち取るが、圧巻はその後でのパーティーでぶちまける彼の思いである。
裁判で自己保身に走る乗組員が出てくるが、グリーンウォルドは彼への非難だけではなく、乗組員全員の責任も指摘する。
そして前線で過酷な戦いに身を置いてきたクィーグ中佐に同乗の言葉を添えている。
この裁判劇がむしろこの作品の言わんとするところである。
登場人物全ての、人としてのありようを問うている。
問われてみれば、自分の過去を振り返ってみると思い当たるふしがあるのだ。
寄らば大樹の陰、朱に交われば赤くなる、とどのつまりが自己保身、人が行ってしまう哀しい習性だ。
途中でキースとメイの恋の顛末が挿入される。
キースはマザコンのような所があり、メイはそれが不安で二人の仲は微妙だ。
しかしキースの母親を含めた三人のエピソードははたして必要だったのだろうか。
描かなければ女性が登場しない映画になってしまうからなのかもしれないが、母親との関係や結婚に至るまでの経緯などがなく、なくても良かったような気がする。
作品の評価は高いらしいが、僕はそれほどの作品とは思えなかった。
たぶんメイの話が余分だと感じたからだろう。
先日NHKのBSで放映されたので再見したが、印象は変わらなかった。
前半はハンフリー・ボガートが演じる艦長の人となりが描かれる。
人となりと言っても艦長の悪い面ばかりで、やたら細かいことに執着し、自分のミスを認めず人のせいにする。
臆病者で海岸までの教理を偽って逃亡を図るなどで、乗組員たちとの確執がメインとなっている。
戦争時において、もしも指揮官の判断能力が劣っていたらというタブーに挑んだ作品と言える。
冒頭で、海軍で叛乱が起きたことは一度もないとの言い訳めいた但し書きが表示されるのは、たぶん撮影に協力したであろうアメリカ海軍への配慮だったのだろう。
小説を執筆中のキーファー大尉は艦長のクィーグを偏執狂と決め込んでいる。
キーファー大尉の主張はもっともだと思われるが、それでも副官のマリク大尉は艦長を擁護している。
軍隊における命令とはそういうものなのだろうが、命じられれば疑問に思っていても乗組員は服従している。
前半における二人の大尉、組織の上下関係を重視するマリク大尉と、冷静に客観的な意見を述べるキーファ大尉のキャラクターは後半に効いてくるので描き方は重要なのだが、上手く処理されている。
やがて艦長の無能ぶりが露呈して、マリク大尉がケイン号を操縦することになるが、命令系統を重視していたマリク大尉が指揮権を奪う決断をするのが前半の山場となる。
マリク大尉が指揮権を奪ったことは軍率違反の可能性があり、彼はキースと共に軍法会議にかけられることになってしまう。
後半はその裁判劇である。
後半の裁判劇では何と言ってもマリク大尉の弁護人グリーンウォルド中尉を演じたホセ・フェラーの頑張りだ。
不利な裁判で、やる気があるのかないのか分からない態度を見せながら見事な反撃を試みる。
最後にマリク大尉の無罪を勝ち取るが、圧巻はその後でのパーティーでぶちまける彼の思いである。
裁判で自己保身に走る乗組員が出てくるが、グリーンウォルドは彼への非難だけではなく、乗組員全員の責任も指摘する。
そして前線で過酷な戦いに身を置いてきたクィーグ中佐に同乗の言葉を添えている。
この裁判劇がむしろこの作品の言わんとするところである。
登場人物全ての、人としてのありようを問うている。
問われてみれば、自分の過去を振り返ってみると思い当たるふしがあるのだ。
寄らば大樹の陰、朱に交われば赤くなる、とどのつまりが自己保身、人が行ってしまう哀しい習性だ。
途中でキースとメイの恋の顛末が挿入される。
キースはマザコンのような所があり、メイはそれが不安で二人の仲は微妙だ。
しかしキースの母親を含めた三人のエピソードははたして必要だったのだろうか。
描かなければ女性が登場しない映画になってしまうからなのかもしれないが、母親との関係や結婚に至るまでの経緯などがなく、なくても良かったような気がする。
作品の評価は高いらしいが、僕はそれほどの作品とは思えなかった。
たぶんメイの話が余分だと感じたからだろう。
先日NHKのBSで放映されたので再見したが、印象は変わらなかった。
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