あなたから一番遠いブログ

自分が生きている世界に違和感を感じている。誰にも言えない本音を、世界の片隅になすりつけるように書きつけよう。

悪いことと良いこと(個人的なことをだらだらと)

2014年11月17日 21時48分44秒 | Weblog
 GDPの実質年率がマイナス1.6パーセントだったという発表で衝撃が走っている。おそらく安倍総理のところには事前に情報が入っていたのだろう。この一週間で一気に衆議院解散の動きが既定路線になったのは、この悪いサプライズを政権に有利に転換するための実によく考えられた戦術だったのだ。
 このままなら当然のことながらアベノミクスの失敗がクローズアップされ、しかたなく消費税増税を先延ばしするという「追い込まれた」感じになってしまうところを、先手を打って主体的・積極的に増税を延期し、あえてその「民意を問う」というイメージを作ったのは素晴らしいとさえ思える奇手である。
 そもそも増税は誰も好まない。しかもこの数値なら財務省と麻生氏も増税延期に反対できない。政権にとっては確かにこのタイミング以外無い。
 沖縄知事選では沖縄の人々は、沖縄への加重な基地負担はカネには換えられないという知性的、理性的な判断を示した。さて我々は今回の総選挙で、安倍さんのイメージ操作に惑わされず、正しい判断が出来るかどうか(もちろん選択肢としての野党勢力もまた、まともな政党が全くと言って良いほど無いわけだが)、問われていると言えよう。

 さて、安倍さんにとってGDP値は悪いニュースであったが、それを逆手にとって「災い転じて福」という状況を無理矢理作ろうとしている。そんな大きな話とは真逆に、非常に個人的なことだけれど、ぼくもこの一週間は悪いことと良いことに揺れた。

 ぼくは普段、食事の支度をするとき、火傷をすることはあっても包丁で手を切ることは滅多にない。ところがどういうわけか先週は二回も指を切ってしまった。最初は小カブを切っていたとき、抑えていた左の薬指をサクッと切った。いつもやっていることなので気を抜いていたのである。ぼくは切れない包丁が嫌いなので包丁の切れ味が悪くなると自分で研ぐ。そのおかげで包丁の先も良く切れるということだけはわかった。
 これはけっこう深いと思ったが、血は流れるのに全く痛くない。ともかくとりあえず傷バンと紙テープを固めにぐるぐる巻きして、その上からラップをかけ、止血と防水をしながら夕食を作った。

 傷が治りきらないその二日後、今度はやはりカブの皮をむいていて左手の親指を切った。これは切って当然で、手でカブを持ちながらその手の方に向かって包丁を入れたのだ。普通ならこんな切り方をしないのだが、ちょっとイライラしていて乱暴にやっていたのである。刃が滑って親指の真ん中あたりにぶつかった。今度は血はさほど出ないがかなり痛い。イライラしていることもあって、とりあえずいい加減に絆創膏を貼ってそのまま家事を続けた。
 薬指は丁寧に養生したのできれいに治ったが、親指はいい加減に対処したせいか未だに傷が残っている。
 イライラは翌日にも残り、母のことを怒鳴ったりして、なんだか歯車が噛み合わない感じがずっとしていた。そんなわけでブログも書けなかったのかもしれない。

 ところで、先日のブログにも書いたのだが、ぼくは今ひとつのテーマとして自分なりにマルクス主義を勉強し直している。とりわけ一番難しいのは「宗教」の問題である。
 そこにはやはりレーニン主義の問題があるのではないかという気がしてきた。そもそものマルクスの近代主義がエンゲルスによって俗物化し、レーニンによってそれが決定的に増幅され、世界にさらに劣化しながら拡大した。「宗教」問題もそれと連動している問題だと思う。近代主義の限界を近代思想内部から考えるためのアプローチの方向性として、今はヒュームの経験論に注目しているのだが、たとえばレーニンは『唯物論と認識批判論』などで認識論を否定しているようだ。
 また、もちろんマルクスを考えるときに経済学は絶対にはずせないが、その時は宇野弘蔵を足がかりにするしかない。ただ近現代思想には近代経済学の理論が強く入り込んでいるので、近経も常識程度は知らないといけない。

 というようなことを考えていて、とりあえず本は持っていないと仕方ないと思えてきて、ここのところ本を買っている。マクロ経済学、ミクロ経済学、ヒューム、ハーバーマス、マルクーゼ、サンデル、レーニン、宇野弘蔵など、原典ではなく概説書・入門書のようなものも含んでいるが、とても読み切れないがとりあえず買っている。
 とは言え、おカネは無いのでとても新刊は買えない。ブックオフの100円コーナーとか、アマゾンの中古「1円」本などが主である。

 その「1円」で買った本の一冊が宇野弘蔵の『恐慌論』(1953年/岩波書店)である。もちろんいろいろな版があるし、今は新刊なら岩波文庫で手に入るが、とにかくお金をかけたくないので一番安い古本を注文した。ところがこれがサプライズだった!
 今日届いた本を見て驚いた。初版である。しかしサプライズはそこではない。見返しに宇野先生直筆の献呈辞があったのである。もう家宝ものだ。まさか宇野先生の直筆文字を手にとって見られるとは。献辞の相手は「横山正彦様」とあるから、おそらく当時同じ東大で助教授をしていたマルクス経済学者の横山正彦氏であろう。

 本当は乱暴に扱ってもいいかなと思って買った本だが、これでちょっとこの本を読むのに気をつかわなくてはならなくなった。それでも、これがぼくのこの一週間で一番良かった出来事である。
 ただひとつ、最近は漢字の旧字を読むことが無かったので、実は本文がすごく読みづらい。うーん…これは文庫版を買い直した方がよいのだろうか?
コメント
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