まるぞう備忘録

無題のドキュメント

分岐点。前編。

2016-04-06 10:30:02 | まるぞう経営学

まるぞう株式会社はIT系の中小企業ですが、IT用語だと分かりづらい方もいらっしゃるかもしれませんので、今回は、土建業界に例えます。実際日本のIT業界は土建業界に似ています。

まるぞう株式会社は防犯カメラのシステムを開発しているとします。無名なシステムですが性能が良いので、おかげさまでいくつかのビルに採用されている。という設定です。
都内の一等地の有名マンションにも採用されています。そのマンションが立体駐車場を新設することになり、うちの防犯カメラを付けたいということでした。マンションのオーナーがうちの防犯システムをたいそう気に入っていて、ありがたいことに名指しでした。

早速打ち合わせということで発注元の設計事務所や建設会社さんに呼ばれました。顔ぶれは、マンションを施工した◯◯建設、うちの防犯システムを取り次いだ□□設計事務所、そして今回立体駐車場システムを開発販売しているA建設、みな名だたる企業です。◯◯建設の都心の一等地のすごい本社ビルの会議室に呼ばれました。円形のドラマに出てくる会議テーブルでした。
私だけが孫請け会社の代表兼現場監督責任者でした。

みな集まってどうするか議論しています。A建設の担当者は、うちの駐車場にそんな他社の防犯システムなんて付けたことない。でもマンションオーナーの◯ビルさんの依頼であれば仕方ない、やれないことはないけど、ものすごく大変です。といいます。

私はA社駐輪場は出入り口に二本のポールがあることを知っていました。その両方のポールにうちの赤外線カメラを設置するだけで実現できます。他社製品では無理ですが、うちの職人たちならできるはずです。その代わりそのポール間の距離を正確に教えてもらう必要があります。

当初A建設担当者は信じられない風でした。しかしうちのカメラは赤外線も兼ねており、人の出入りもカウントしているので、カメラ2個だけを設置すればいいことを説明しました。1時間かけて説明しました。そこで担当者はようやく納得しました。

まるぞう「それでポール間の正確な距離だけ教えてください。あとは現場でうちの職人たちがやりますから」

A社担当者「了解いたしました。早速社内で検討いたします」



それから3ヶ月して、今度は再度打ち合わせとして呼ばれました。今度はオーナー◯ビルの本社です。前回と同じ◯◯建設、□□設計事務所、A建設の面々です。
最初に◯ビル担当者さんが言いました。

「このたび弊社マンションにA社さんの立体駐車場システムを導入いたします。そこにすでに実績がある◯◯建設さんの防犯システム(実態はまるぞう社製)を採用したいと思っています。建設期限が迫っていますが、まだ何も進んでいないということなので、今回は皆様に集まって頂きました。

あれ?何も進んでいない?もう仕様も決まって見積もりも出したし、あとはA社からのポール距離をもらうだけのはずだけど。と思います。変だなあ。

では設計案について現場監督のまるぞう親方に説明してもらいます。といきなり◯◯建設さんから振られます。私はまた時間をかけてあの時私が考えた案を説明しました。内心は、A建設も◯◯建設も□□設計事務所も、一流の設計士さんは山ほどいるだろうに、なんで孫請けの現場監督に丸投げすんだよ、と思っていました。

A社担当「なるほど、その案なら弊社の駐車システムは大きな改造はいらない可能性がありますね」

まるぞう(はあ? 前回散々聞いておいて何? これ? デジャブ? あんたのところの仕様が動かないというから全部こっちでひっかぶってんだろうが。前回これならできますってあんたが言ったから、こっちが骨折ってんじゃん)

A社担当「それで弊社は今後どうすればいいのですか?」

まるぞう「駐車場出入り口のポール間の正確な距離だけ教えてください」
(って、前回もその話したじゃんか。それであんた、了解いたしました。社内で検討いたします。っていったじゃん)

A社担当「了解いたしました。社内で検討いたします。」



それから3ヶ月たって◯◯設計事務所から連絡が入ります。◯ビルさんの立体駐車場防犯カメラの案件で、全く進んでいない、というクレームが来たとうことです。

あっそうですか。じゃあ。ポール間の距離決まりました?決まったらうちは早速工事入れますよ。と答えました。

いや、まるぞう親方、先方はもう一度みんなで集まって打ち合わせをして仕様を詰めたいそうです。

ちょっと待ってください、この間、2回も懇切丁寧に話をしたじゃないですか。あれ以上何を説明しろっていうんですか。とにかくA社さんの距離だけ教えてくれればもういいですから。

それでもどうしても、もう一度みな集まって仕様を決めたいそうです。今度はまた違う担当者さんなので一から説明して欲しいそうです。

電話を切った私は今回の設計に関わるラフな図面を書いて、□□設計事務所にFAXしました。
ここの丸くしるしつけたところの寸法だけ教えてください。そうA社さんに伝えてください。とFAXに書き込みました。

すると彼から返信があり、図面だけだとよくわからないから、是非打ち合わせをしたいそうです。

(おいおい、あれだけ説明させて、図面も書いてやって、これでも理解できないなんてどんなけ無能だよ。新しい担当者に引き継ぎが面倒くさいから、またまるぞうを呼んで一から説明して説得させろ、ということじゃないか)
では、電話で説明しますから、A社さんの担当の人の電話番号を教えてください。前回と同じ人なのですか、今回はまた別な人なのですか?とメールしました。

すると1日たって、設計事務所から返信がありました。
A社担当者さんは、お忙しくて電話には出られないそうです。できればもう一度、関係者全員集めて打ち合わせをしたいそうです。



短気な私は、バカかと心の中で吐き捨てました。結局自分じゃ引き継げないから、もう一度まるぞうを呼ぼうってことじゃないか。孫請けの会社だから、大会社さまが呼び出せば、何度でもしっぽふって説明に行くと思ったら大間違いだ。無能者のために、忙しい俺が何回も足を運べるかよ。バカが。そう心の中で悪態をついたとき、私には二つの未来が心の中に浮かびました。

つづく



おひさま、ありがとうございます。
(今日は中潮で新月週間ですね)



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