Saitolab 「なにもせんほうがええ」

婚しては妻に従い ボケては猫に従う

聖ペトロ(栗林写真工業)

2021年07月19日 | 写真、カメラ
沈胴ゆえに複雑なリンクが満載

久しぶりに金属クラカメの分解修理。機種はPETRI COLOR35。シャッター速度、絞りはマニュアル操作。ビューファインダーにはレンズ繰り出し量に応じて目測用距離指標の針が動く。背面のフォーカスダイヤルを遠景側に回し続けるとレンズ鏡胴は沈胴し本体に格納される仕掛け。フィルム感度、シッター速度、絞り設定に連動した露出計を搭載。フィルムを巻き上げている間だけ露出計は通電する。和製ローライ35などと言われることもあるがまったく失礼な話。分解してわかるがこのペトリは細部にまで細やかな配慮が行き届いた手の切れる設計。製品コンセプトも練り込まれており機構細部にまで魂が宿っている。この機種は20年ほど昔に一台所有していた。友人のPETRI COLOR35も修理したことがあった。しかし修理上がり早々に故障したこともあり今回はリベンジ。整備箇所はファインダー清掃、シャッターガバナー注油、ヘリコイド清掃とグリスアップ、シャッターチャージリンク機構分解注油。露出計連動ギア注油。外装清掃とモルト交換。バッテリー室は固着していて何とか開けるとMR44(1.35V)の水銀電池が腐っていた。現行のLR44(1.5V)は電圧の違いから露出計は少しオーバー気味に反応する。回路の可変抵抗で調整も考えたがカーボン部の劣化もあったので無暗なVR調整は避けることにした。フィルム感度設定を1段暗めに設定すれば良い程度。ホットシューマイナスビスの欠品があったのでM2プラスの皿ビスの頭を鑢って代替とする。ペトリのカメラはデザインの癖が強すぎて好きになれないが、このCOLOR35だけは別格にハンサム。丁寧な設計や洗練されたデザインから社内開発ラインから外れた開発設計だったのかと勘繰りたくなる。フィルムを通して撮影しないまでもこういう金属カメラは飽きることがない。




シャッター音も軽やかに



沈胴状態と最短撮影距離






コメント (5)
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