友達の罪と書いて、有罪ではなく「ゆうざい」
原作は、神戸児童連続殺傷事件を彷彿とさせ話題を呼んだ薬丸岳の同名小説。
監督は「64ロクヨン」の瀬々敬久。
斗真主演ということと、日本を震撼させた、あの少年犯罪をベースにしてるということで
初日鑑賞、、、、、。
テーマがテーマなだけに当然のことながら、重い、重い、重い
描かれるのは、かつて世間を震撼させた事件を起こした少年犯の“その後”
ジャーナリストの夢に破れ、寮のある町工場に流れ着いた青年、益田に生田斗真。
彼はそこで同じ日に入った、瑛太演じる鈴木と出会う。
斗真は、薬丸作品のファンで、原作「友罪」も数年前に読んだ作品らしい。
鈴木はどこか影があり、周囲との交流を避けて過去を語りたがらないながらも
同じ屋根の下で同居していくうちに少しづつ打ち解けていく。
が、あることで益田は鈴木が17年前の連続児童殺傷事件の犯人ではないかと思い始める。
直接的に二人とは関わりはないけど
息子が過去に犯した事件がきっかけで家族はバラバラになり、日々贖罪に向き合うというタクシー運転手に佐藤浩市。
益田の元恋人で週刊誌記者の杉本清美には山本美月。
鈴木に助けられ、だんだんと好意を抱いていく藤沢美代子に夏帆。
鈴木の少年院時代に担当法務教官だった白石弥生には富田靖子。
他に、忍成修吾、西田尚美、村上淳、坂井真紀、光石研など。
6/10(62点)
もし、友達が「少年A」だったら、、、??
というテーマなのだけど、そもそもあの猟奇的な殺人は、どんな理由であれどたとえ未成年だったからといって
許されるものではないと強く思うし、更生して良くなるだとか少年にも未来がある、といって
罪を償えば許されるものだとは到底思わないので、
わたしの答えは最初から、昔から揺るがない確固たる持論がある。
映画ではさすがにあの犯人の少年の犯した罪ほど残忍な犯行にはしていなかったし、
事件そのものを映画の中で扱っているというわけではなく、本当に「その後」の話であって
事件を振り返るんじゃなくて、その後どういう思いで周りと付き合い、生きることに向き合っているか、
当時母親のような存在であり、少年A(鈴木)の担当の法務教官だった女性の家族の内情、
そして、同時にこの事件とはべつのところで、ある事件で他人の子を3人も殺してしまった息子を持つ父親と
その当事者である息子とのやりとりなども描かれる。
斗真演じる益田の引きずる、取り返しのつかない過去は
子供の頃に自分だけが友達で、いじめられていた友達を見捨てた事にある。
死を考えていた友達が、自分だけに助けを求める電話をしてきた時に
「どうしたらいいんだろう」という問いに、「勝手にすれば」と言ってしまったことで
そのまま命を絶ってしまった友。
それは自分が殺したも同然であるということで、一生悔やんでも悔やみきれない一つの重い塊となって
心にのしかかり続ける。
その過去があるからこそ、この作品では「鈴木」という一人の男に、自分も重ねてしまう部分もあるということ、
そして今度こそ、この友をなんとかしたい、理解したいという思いにもかられたんだと思う。
それはわかる、けど
実際だったら、、、こんな、同情できるようなものはないとどうしても考えてしまうんだよね。
家族も同様に犯罪者の家族としての世間からの目。
事故なら仕方ないとはいえないけど、事故なら違う。
自らが引き起こした凶悪な犯罪の場合、少年犯罪である場合、その動機が、その家庭環境が、親子の関係性が愛情が、
全て関わってくるものだし どうしてそういうことをする子供になってしまったのか。
その場合は親が全く無関係とは言えず、そういう子供に「育ててしまった」という責任があると思う。
少年犯罪、心の闇。
探っていくとこんなところでちょこっと語るだけでは済まない奥深い問題だけれど
この映画の中で
鈴木が「すごいひどいことをしたと思ってるけど、でも生きたいんだ」というセリフがある。
どうしてそこまでの生きる原動力があるのだろう??
そこが一番の謎だった。
家族もいない(映画の中では)失うものもない(ように見える)
他人を傷つけ、自分を傷つけ、リストカットを何度もして(それは自分の中で本気ではないにしろ)
どこか子供のような精神のまま止まってるかのような部分がある少年A(鈴木)
女の子に対しても不器用だし、大人の男の対応はできない。
親切にしてくれた先生とは、まるで子供のまんまのような話し方。
たまに笑う時は無邪気で屈託がなくて、カラオケでもアニメソングを子供のように歌う。
影のあるこの役はとても難しいし、やりがいのある役だろうと思うけど
どうしてもカッコよすぎちゃうし、うまいんだけど無邪気な姿も可愛く感じてついつい同情しちゃいたくなるのがずるい。笑
(わたしはたとえ映画でもこんな凶悪犯には同情もしたくないし、罪を償えるとは個人的には思わないので)
斗真、瑛太、それぞれ慟哭するシーンが後半にある。
瑛太ももちろん素晴らしかったんだけど、ファンだからというわけではないけど
斗真の、益田の悲しみが伝わるラスト、素晴らしかった。
上に、こんな罪を犯しながらもどうして「生きたい」と思えるんだろう。
と書いたけど、そこが本作で監督が伝えたいことでもあり一つのテーマでもあるのかなと。
人は取り返しのつかない罪を犯した後、
じゃあ自分の命に代えて償えばいいのか、それとも苦悩しながら、もしくは何も反省も後悔もしていなかったとしても
生き続けるべきなのか、(だとしたらそれは何のため?)
被害者目線で言うならば、生きていて欲しくないし、そんな罪を犯した奴が、今も地球上で生きてるかと思うと
それだけでもおぞましいと思うのだけど、いくら償うと言ってもなくなった命は返らないのだから。
その存在はもうどこにもなくなってしまうのだから、、、
など深く色々と考えさせられる重い、作品。でも、こういうことを考える機会は本当に大事。
ジャーナリストの夢に破れ、寮のある町工場に流れ着いた青年、益田。彼はそこで同じ日に入った鈴木という男と出会う。最初は他人との関わりを拒んでいた鈴木だったが、次第に2人は友情を育んでいく。一方で鈴木は、元恋人から逃げている元AV女優の美代子とひょんなことから知り合うようになる。そんな中、近くの町で児童殺害事件が起こったのをきっかけに、17年前に日本中を震撼させた凶悪事件について調べ直した益田は、当時14歳で、今はすでに出所している犯人・少年Aの写真を見つけ、そこに鈴木の面影を見て愕然とするのだった!
友罪 2017年 日本 128min
5月25日より、公開中〜