OL主婦の小さな幸せ。

日々の出来事や小さな幸せ、お出かけ、身近なエコ、環境問題、フェアトレード、鳥のこと、アロマなどを綴っています。

在来種と外来種、どちらが被害者か。

2009年02月15日 | 環境問題・生き物


在来種・・
もともとずっとその地域で生息している生物種。
自然の生態系の中で、バランスを保ちながら生きている動植物。

外来種・・
もともとその地域に生息していなかった動植物が、人間の何らかの行為によって持ち込まれ、定着した種。
繁殖力が強く、急激に増えるので生息地域を拡大していき、
在来種を駆逐していく。
しかも放たれた段階では、危険度の予測が不可能。


この間の写真展のあと、外来種問題についての講演を聴いてきました。
→ http://ameblo.jp/segami-ps

自然環境系のお話は、専門家の方の講義を生で聴くのが1番伝わってくるので、日程と場所が都合よければ行くようにしています。
(あまり記事にしていませんがちょっとした過去記事ありました→

特に今回は、著名で見知っている方もお話されるとのこと、しかも外来種問題は私自身も感情と現実の狭間で考えのまとまらない分野だったので、「待ってました」的な講義でした。

ただ今まで外来種についてあまり関心が無い場合、いきなり読んでも入っていけないかと思いますので、何故外来種が問題なのかちょっとだけ触れたいと思います。


私たちは生態系・生物多様性から様々な恩恵を受けています。
清浄な空気や水・食料や住居・衣類・生活資材・薬品・癒し・・・

また生物は、単体やその仲間の種だけで生きていくことは不可能です。
多用な種がお互い関係しあい、周囲の気候・土壌や地形などの無機的環境とも関係をもって生きています。
それを総合的に「生態系」と呼びますが、自然界に生きる生物はすべて生態系の一員で、無駄なものは一切ありません。
(あるとしたら、それはヒトがそうさせてしまっているのです)

そういった相互関係により私たち人間も恩恵を受けているので、その微妙なバランスが崩れた時、生活環境をもおかしくします。
ある時は目に見えて素早く、ある時は気付かずに時間をかけてゆっくり・・


国連環境計画(UNEP)によって行われた「ミレニアム生態系評価」では、生態系からの恵みを大きく4つに分類し、「生態系サービス」としてその重要性を示しています。
(自分では作れないので・・わかりやすい図はコチラ
生態系サービスは、生き物の「食う食われる」や細菌の分解などの食物連鎖、または森林の保全など、健全な自然環境が大前提。

例えばよく鷲・鷹などの猛禽類の保護がよく話題になります。
愛知万博の会場を決める過程ではオオタカの営巣が発見され、会場の変更がありました。
猛禽類は生態系全体の健全度を示す、重要な役割を持ちます。

森に猛禽類がいなくなると、小鳥類の天下になり、昆虫が食べつくされる。
すると葉っぱを食べる昆虫がいなくなるので、草が急激に増える。
そして昆虫がいなくなると小鳥類も食べるものがなく減っていく・・
小鳥や虫がいなくなると、花粉や種子を運ぶ術のない植物・樹木は子孫を残せず消えていく。
そして生き物の死骸や糞、樹木の落ち葉などがなくなると分解するものもなくなるので、健全な土壌が育ちません。
すごく単純に記述しましたが、もっともっと複雑な生態系の破壊や森の消滅が起こると思われます。

それに猛禽類は小鳥類と違って、卵は数個しか産まないのでもともと個体数も少なく、そして環境の変化を受けやすいです。
なので猛禽類を保護するということは、その希少な「種」を保存するだけでなく、同時にその猛禽類が生息する生態系を守ることにつながります

生態系あっての森、森あっての生態系ですから、それが無くなれば私達も生きていけません。

そこへ、外来種の問題・・・
外来種は、彼らが元々生息する地域では、そこの生態系を形成する大事な一員です。しかしまったく違う場所に放たれたら・・・


外来種については、皆様もニュース・新聞などの報道で耳目に触れたことがあるかと思います。
もう20年以上前から問題になっています(もっと前かも)

わかっているだけでも約2000種いるといわれる外来種、
中には、周囲にそれほど影響を与えていないと思われる種もいますが、多くは在来種を捕食したり競合・交雑・感染・・など起こしたり、人間の農業・水産・健康に被害を及ぼします。
外来種にとっては、思わず放たれた場所に自分の天下のごとく食べ物があるので、子孫を増やすための自然な行為。

ブラックバス・マングース・アライグマ・カミツキガメ・タイワンリス・アメリカザリガニ・ミシシッピーアカミミガメ・小笠原の野生化したヤギ・・・

植物ではセイタカアワダチソウ(線路脇や空き地などに咲いている背の高い黄色い花)シロツメクサ・セイヨウタンポポなど。
セイヨウタンポポは花粉を受粉しなくても種子を作ることができるらしいので、繁殖力が強くそこらじゅうに咲いている。
植物は私たち一般人から見ると一見、何の害もなさそうですがもともと多様だった植生を単一化したり、外来種の花粉が積もって他の樹木の繁殖を阻害する、などの事例もあるそうです。

みんなみんな人間の経済活動、もしくは特定の生き物を食べてもらうためなどの人間の都合で持ち込まれたことが原因。

小笠原の野ヤギは幕末、ペリー艦隊が食料として持ち込んだとか。
アメリカザリガニは1920年代に食用ガエルのエサとして鎌倉に持ち込んだ、とか。
でも、持ち込まれた当時はこれほど生態系に悪影響だと予測出来なかった。

許せないのは、今でも続く商業目的ですね。
心無い釣り人や釣具業界によるブラックバスの違法放流、ミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)の輸入は今でも行われているそうです。
ミドリガメは大切に飼っている人もいるでしょうけど、全て売れるわけではないので結果的に多くが命を落とします。「輸入を規制すべき」だと講演でも訴えていました。
違法放流についても、いまだ戦いだそうです。

外来種は冒頭にも記述したように、繁殖力が強くすぐに増え、その地域の本来の生態系が、あっという間に崩れていきます。
人間の都合で連れてこられ、繁殖できる環境だったから繁殖したのに今度は増え過ぎて駆除される外来種も被害者。
しかし、ある日突然、何も知らずに普通に暮らしていたのに、見たこともない外来種によって駆逐されてしまう在来種が本当の被害者。


一緒に行ったムギマキさんのブログ記事にて、最後の行に、次のような記述がありました。

「外来種問題は人間が起こしたことであり、人間が責任をとらなければなりません。聞こえはいいですが、いのちという代償を払うのは外来種のほうです。でも駆除をしなかったら在来種がそれを払わなければならない。在来種こそ本当の被害者です。人間がやるしかないのです」

本当に、このことが真に迫る重い内容だったのです。

自分の認識の甘さや、細かくは捉えていなかった生態系への影響の強さを思い知らされた講演でした。


*参考*
WWFのHPより→生物多様性 外来種問題
環境省HPより→外来生物法・基本情報  入れない・捨てない・拡げない


拙い文章、最後までお読み下さりありがとうございます


ブログタイトル変えようかな・・

コメント (9)
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