「特別な夏休み」小池百合子・東京都知事の広告費に4.7億円! その内訳とは
◆都知事選を控えた小池知事が、東京都の広告に怒涛のごとく露出
会見で「感染拡大防止」を宣言、「東京都新型コロナウイルス感染症対策条例」を議会にはからず専決処分で改定した小池百合子・東京都知事。「感染防止徹底宣言ステッカー(通称:虹ステッカー)」を掲示することを「義務」とすると発言、「東京中を虹のステッカーで埋め尽くす」とTシャツをあつらえたり、大相撲の懸賞旗を披露したりと、PRに余念がありません。
しかし、ステッカーを貼った協力店舗でクラスターが発生したとたんに「貼っているだけのところ」と切り捨て、批判されれば抜き打ち検査すると脅す……さしもの“善良なる都民”も、堪忍袋の緒が切れるところでしょう。
ましてや当該店舗が、都議である筆者の選挙区・江戸川区であったことから、この事実をSNSなどで広く呼びかけるなどしていたところ、ほどなく知事発言が「炎上」。午後には撤回することになりました。
都知事からいちど出た言葉は、安易には取り消すことはできないものです。場当たり的なPR行為と「失言」によって、当該店舗や店舗の入っているビルにはどれほどの悪影響が及んだことか、小池知事は知る由もないでしょう。なぜこれほど彼女は、自己PRに余念がないのか……。それを象徴するのは、東京都の広告ではないでしょうか。
緊急事態宣言が発出された「ステイホーム」期間中に「東京都知事の小池百合子です」と、都知事選を直前に控えた知事がテレビCMに出演したほか、街角のデジタルサイネージ(電子看板)など、怒涛のごとく露出しました。
これについて「公選法の理念に抵触しないのか?」「そもそも広告費出してやること!?」「広告費用はいくらかかっているんだ!?」と、都民からの問い合わせが多数ありました。そこで筆者が独自に調査したところ、その額は何と約6.4億円。
◆フワちゃんとのコラボ動画などに、税金をいくら使ったのか?
そして、都民に移動の自粛を要請した「特別なお盆休み」が始まると、家にいてテレビを見る人が多いだろうことを見はからってか、またしても小池知事はふんだんにCMに登場し始めました。
前回は人気YouTuberのヒカキンさんとのコラボでネット動画の配信を行いましたが、今回も人気YouTuberのフワちゃんとのコラボです。協力してくださった有名人の方々には、感謝こそすれまったく問題はありません。問題なのは、都民の一大事に税金を使ってやることなのか? お金を使うなら、ほかに必要なところがたくさんあるのではないか? という、小池都政の問題です。
そのことを筆者がTwitterでつぶやいたところ、たいへんな反響がありました。「緊急事態宣言」の時には問題意識を持つまでには至らず、漠然と「おかしいな……」と思っていた方々の多くが「また(自己PRを)やっている!」と実感されたようです。
筆者が街頭演説に立つと「フワちゃん動画にいくらかかっているの!?」とお声がけをいただくこともありました。そこで、緊急事態宣言後の広告費第二弾の細かい内訳と支払い先、フワちゃん動画を誰が起案して決めたのかなどを担当部局に調査依頼し、明らかにしようとしました。
◆「一括で広告代理店に支払っている」と、詳細な内訳は出ず
【東京都・広告費第二弾の内訳】
●テレビCM(電波料)(2020.5.7~9.30)
株式会社博報堂 約1億3700万円
株式会社電通 約9400万円
●Web広告費(2020.5.15~9.2)
株式会社読売広告社 約6400万円
株式会社アドフロンテ 約700万円
●動画制作費(8本・フワちゃん動画を含む)
株式会社I&S BBDO 約1800万円(1本あたり約225万円×8本)
合計 3億2000万円
東京都の担当部局からの説明は、以下のようなものでした。
「フワちゃん動画の作成経緯は、委託事業者からの提案を受け、政策企画局において出演を決定しております。広告費のうち、テレビCM(電波料)は生活文化局Web広告費、動画制作費は政策企画局が担当しております」(産業労働局)
「フワちゃんの動画については、動画8本の制作費として約1800万円で契約しています」(政策企画局)
つまり、「一括で広告代理店に支払っているので、個別の費用については出せません」という回答だったのです。
◆3.2億円の広告費では足りず、さらに追加で1.5億円!?
この広告費の内訳を担当部局に確認したのは8月17日のこと。当時、筆者のTwitterは小池知事の「不要不急」の巨額CMや広告費について問題視するツイートで盛り上がっていました。
知事CM広告費のバラマキを疑問に思う都民の熱意が伝わったのか、あるいは調査着手した筆者の不審な(笑)動きを察したのでしょうか。8月19日、東京都財務局から「広告に係る予備費」というタイトルで、ザックリとした広告費を書いたメールが突如送られてきたのです。
筆者はてっきりこちらが「特別な夏休み」の広告費かと思っていたのですが……上記の3.2億円とは別枠で、さらに1.5億円が追加されていたのです。つまり、オリパラ延期決定の3月23日まで政局を「忖度」して、都民の命と健康を後回にし、遅きに失した小池知事のコロナ対策を補うための巨額支出。知事選目前・緊急事態宣言中に始まった広告費6.4億円に端を発し、今回の「特別な夏休み」に関する総額4.7億円を合わせると、総額は10億円以上にのぼります。
小池知事は午前と午後にぶら下がりで記者会見を行うのですから、そこで感染拡大防止の呼びかけをすればメディアが報じてくれて、それに広告費は不要です。コロナ禍に苦しむ都民のことを考えれば、医療や検査や補償など、ほかに税金を使わなければならない分野がたくさんあります。それなのに、感染防止に効果があるのかどうか怪しい広告に1.5億円も追加投入するというのは理解できません。
この1.5億円の内訳については「予備費については事業者が確定していないため、現時点で内訳は確定しておりません」(政策企画局)と、これまたザックリした回答しか得ていないので、今後つまびらかにして都民に報告するつもりです。
◆東京都のコロナ対策広告費の浪費ぶりはひどい
吉村洋文・大阪府知事は関西ローカル番組に無料で出演、鈴木直道・北海道知事は緊急事態宣言時に約1000万円の広告費を使ったといいます。一方で小池百合子・東京都知事は、これまで破格の約10億円を投入。これは、東京都のひとり親世帯に約1.5万円ずつ上乗せ給付できる金額です。
小池知事がワイドショーやニュース番組に出演すれば、都民に無料で呼びかけをすることもできます。それなのに、コメンテーターからのツッコミに応えたくないからなのでしょうか、まったく出演することはありません。無料で報道してもらえる都知事定例会見も、都合の良い質問をしてくれる記者を指名して40分前後で打ち切っています。
その一方で、莫大な税金を使って一方的に広告を流し続けているのです。その広告は、小池知事の自己PRになることは確実でも、肝心の「感染拡大防止」にどれほどつながっているのかの検証はまったくなされないまま垂れ流されています。
バタバタと倒産や閉店が相次いで都民生活が逼迫している今、広告費(特に知事CM)は「不要不急」のもの。今すぐ知事のCMは打ち切り、記者会見で十分な説明をするべきです。そして、本当に日々の生活にお困りの都民と必要な分野にこそ税金を投入していくべきだと筆者は考えています。
<文/上田令子(地域政党「自由を守る会」代表、東京都議会議員)>
『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』
都民のためでも、国民のためでもない、すべては「自分ファースト」だ
【上田令子】
台東区上野出身。結婚を機に江戸川区船堀在住。台東区立黒門小、文京区立第六中、都立三田高、白百合女子大卒。外資系生保等を経て起業も。長男妊娠出産で退職を迫られたこと、江戸川区での保育園探しに苦労したことから、働くマザーズと女子のために東奔西走。99年4月「江戸川ワークマム」 設立。07~12年江戸川区議。13年東京都議選初当選。地域政党「自由を守る会」代表