「横綱相撲」というより、他の候補と同じ土俵に立とうとしない。東京都知事選(7月7日投開票)の告示から、27日で1週間が経過。主要候補は連日、街頭で有権者にアピールする中、小池知事は先週の土日に八丈島と奥多摩、青梅で街頭演説したきり。現職知事として「公務優先」を掲げ、選挙活動を控えているが、この発言もマユツバなのである。
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「小池です。今回もよろしくお願いします」
電話の受け手は朝一番の“ホットコール”に驚いた。小池知事が3選出馬を表明する前後、彼女を支援してきた業界団体の幹部の携帯電話に直接、本人から支援を呼びかける連絡があったという。
選挙初日の20日午前10時半。小池知事は屈強なSPを従え、西新宿にある確認団体「東京をもっと!よくする会」の選挙事務所に現れた。勝負カラーの緑の半袖ジャケットを身に着け、「出発式」で7分チョットの「第一声」を終えると「公務」を理由にそそくさと都庁に向かった――はずだった。
この日の公務日程を確認すると、午後2時半から都内2施設の行政視察だけ。かなりスカスカだ。それでも「公務」を強調したのには、彼女なりの狙いがあるようだ。
支援者の歓心を買うためワザと忙しいふり
「推薦状を渡す側にすれば、小池さんが公務で多忙な折、わざわざ自分たちに時間を割いてくれたと感じる。実際、彼女に会った関係者は一様に感激していました。業界団体の歓心を買うため、公務で忙しいフリをしていたのでしょう」(初日の小池の動きを目撃したメディア関係者)
選挙2日目も午後2時から毎週金曜の定例会見をこなしたのみ。その場で「今回、公務優先として取り組んでいる」と語った舌の根も乾かぬうちに、またもや選挙事務所に出向き、町火消しの文化を守る「江戸消防記念会」から推薦状を自ら受け取った。その写真を自身のSNSに公開して大ハシャギである。
「公務優先」とか言いながら、選挙序盤はそっちのけ。本人が支援者にモーニングコールをかけたり、じかに推薦状をもらったり、小池知事は寸暇を惜しんで「組織固め」。公務は隠れ蓑のしたたか演出で業界団体のハートのわしづかみに精を出していたわけだ。
「小池さん自身が熱心に組織固めに動いているのは、裏を返せば焦りの表れ。業界団体の支援を盤石にしなければ今回の選挙は危ないということ。街頭活動を抑えているのも、なるべく都知事選を盛り上げたくないためで、恐らく『学歴詐称疑惑』や『小池都政8年の負のレガシー』にメディアと有権者の関心が高まるのを警戒している。外に出まくって、うっかり失言でもすれば世論の反感を買うだけ。逆風さえ吹かなければ、組織の力で楽に勝てると踏んでいるのです」(都政関係者)
さすがに週明けからは視察の回数を増やしているが、おとといは午後に八王子市内の小学校と同市内で今月竣工した給食センターを訪問。それぞれの取り組みを自身のSNSでアピールした。八王子はステルス支援を受ける自民党の萩生田都連会長の地元。都議補選の告示をあすに控え、恩着せがましい女帝である。