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#164 欧州で農民一揆の拡大が止まらない!すでに歴史的な事態になっています 2024/02/03

2024年02月04日 14時37分16秒 | 政治

#164 欧州で農民一揆の拡大が止まらない!すでに歴史的な事態になっています

2024/02/03

Crise agricole : un millier de tracteurs à Bruxelles en marge du sommet européen • FRANCE 24

農業危機:ブリュッセルでEU首脳会議の傍らに1,000台のトラクター•フランス24

Un millier de tracteurs sont présents jeudi à Bruxelles pour une manifestation d'agriculteurs venus de plusieurs pays dans le quartier européen, en marge d'un sommet des dirigeants des Vingt-Sept. Les précisions d'Alix Le Bourdon depuis le centre de Bruxelles.

1000台のトラクターが木曜日にブリュッセルで、27の首脳会議の傍らで、ヨーロッパ地区のいくつかの国からの農民によるデモンストレーションのために存在しています。アリックス・ル・ブルドンがブリュッセルの中心部から説明します。

舛添 要一 によるストーリー • 1 日  JBPress

(舛添 要一:国際政治学者)

 ヨーロッパで農民が反乱を起こしている。ドイツでもフランスでも、農民がトラクターに乗って高速道路などを塞ぎ、交通を麻痺させている。政府に対する抗議の意思表明である。ヨーロッパで今、何が起こっているのか。

ドイツではショルツ政権への批判が高まっている

 今のショルツ政権は、SPD(社会民主党)、緑の党、FDP(自由民主党)の連立政権であるが、とにかく人気がない。それは、物価が上がり、ドイツ人の生活が苦しくなっているからである。

 GDPの実質成長率は2022年後半から低迷しており、G7の中で唯一マイナス成長である。これまでは、安価なロシア産の天然ガスを輸入して経済を成長させてきたが、ウクライナ戦争の勃発で、それが不可能になった。

 

 さらに、反原発の「緑の党」と連立しているショルツ政権は、2023年4月に全ての原子力発電所を閉鎖した。再生可能エネルギーを主軸とするというが、供給の不安定性、高価格などの問題があり、それが電気料金の大幅な値上げにつながっている。今の状況での原発全廃に対しては、国民の過半数が反対しており、それも政権への不満を高めている。

 エネルギー価格の高騰は、個人消費の低迷を招いている。ドイツは、GDPで日本を抜いて、世界第3位に躍り出たというが、それはインフレとドル換算によるものであり、ドイツ経済の実態には厳しいものがある。

 ショルツ政権は、環境保護を重視するエネルギー政策の一環として、農業用ディーゼル燃料の税控除廃止など補助金の削減を決めた。そうでなくてもインフレで生活が苦しくなっている農民が、怒って街頭に出たのである。12月になってベルリンをはじめ各地で道路をトラクターで塞ぐなどして抗議活動を展開している。

ドイツ連邦議会で2024年予算の最終審議に臨むショルツ首相(写真:ロイター/アフロ)© JBpress 提供

 ドイツでは、移民排斥をうたう極右のAfDが勢力を拡大している。6月には欧州議会選挙がある。AfDは、この農民の反乱を党勢拡大に利用しようとしており、農民の中には、あからさまにAfD支持を表明する者もいる。

 AfDに関しては、政党幹部が移民追放計画を立案しているとテレビが報じたため、「民主主義を守ろう」、「ナチスの再来はごめんだ」というスローガンを掲げて、多くの市民がデモを組織している。しかし、これはショルツ政権側によってでっち上げられたものだという説もある。

 政府は、1月4日には農民への補助金削減計画の一部を修正したが、農民はそれでは不十分として抗議活動を続けている。政府の施策に不満を持つ多くの国民が農民の主張を支持している。

フランス、スペイン、イタリアなどでも

 ドイツ、オランダ、ポーランド、ルーマニアなどで組織された農民のデモは、フランスに拡大し、さらにスペイン、イタリアにも飛び火していった。フランスでは、農村地帯から農民がトラクターで首都を目指し、パリに向かう高速道路を封鎖し、交通や物流に大混乱が生じている。

パリ南部のチリー=マザランで高速道路を封鎖して環境規制や価格圧力に抗議する農民たち=2024年1月31日(写真:AP/アフロ)© JBpress 提供

 生活苦から立ち上がったということについては、ドイツの農民と同じであり、燃料の高騰、増税、安価な農作物の輸入、小売業者からの値下げ圧力などに抗議している。

 具体的には、ドイツと同様に、ディーゼル燃料への増税を非難している。

 また、安価な農産物は南米からのものが多いが、今は、ウクライナ支援のためにウクライナからの農畜産物は関税が免除されており、価格が安くなっている。このような状態が続けば、フランスの農民はウクライナ支援にも反対するであろう。

 また、健康と環境保護のために、フランスは、2017年にEgalim法を制定し、農産物の原価割れ販売の禁止、地産地消、健康増進産品生産の促進、プラスチック製品の不使用などを決めた。しかし、小売業者は、原価以下に買いたたいている。また、外国産品にはフランスで禁止されている農薬などが使われている。このような現状を嘆くフランス国民の多くは農民たちの抗議を支持している。

 

 ヨーロッパの農民たちは、とくにEUの農業政策に対して反発している。欧州委員会は、2019年に「欧州グリーンディール」という農業政策を策定したが、環境や生物多様性の保護を前面に打ち出している。具体的には、農地の一定の割合を休耕地にしたり、肥料の使用を削減したり、2030年までに農薬の使用を半減したり、2030年までに全農地の25%を有機農業にしたりする対応を求めている。このような規制は、農業の生産性を下げ、農民の稼ぎを削減する。

 農民たちは、「環境保護、CO2削減ということで、農地を多国籍企業の太陽光発電パネルに変えてしまうのか。農村こそ環境保護の典型である。農作物はCO2を吸収しているではないか」と主張し、不満を述べている。

 34歳のアタル首相は、就任して早々に農民の抗議への対応を迫られている。1月26日には、燃料税の増税延期などの措置を発表したが、農民の不満は収まっていない。

官僚化するEU

 1957年に、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクが参加してEEC(欧州経済共同体)が発足し、それが1967年にはEC(ヨーロッパ共同体)に発展し、さらに1993年にはEU(ヨーロッパ連合)となった。現在の加盟国は27カ国である。

 EUになってからでも30年が経つ。その間にEUの官僚化が進んでいった。今の国家には官僚制が不可欠であり、日本では「霞が関」と呼ばれる巨大組織が行政を牛耳っている。同様に、EUにも官僚制が定着し、EU官僚が政策を形成している。

 EUには、正規職員が約2万5000人、契約職員が約9000人いる。難関の試験を突破した優秀な彼らは、高給取りである。彼らは、ヨーロッパ全体の利益を追求するあまり、理想主義的になりすぎで、無国籍的な働きをする。加盟国は、それぞれ国益を追求しており、それを無視するEU官僚に対しては、加盟国の政治家は不満を抱いている。

 EU官僚は環境保護などの政策を推進し、様々な規制を加盟国全体に課してきた。そのために、各国の多くの業界で不満が募ることになる。今回の農民の反乱もそうである。

 

 また、2016年6月23日の国民投票による決定で、イギリスがEUから離脱した理由の一つは、EUの規制が厳しすぎるということであった。

ハンガリーの主張

 EUと加盟国の間の意見の対立は、ウクライナ支援でも露呈している。ハンガリーのオルバン首相は、国益第一主義を掲げ、ロシアに対する制裁には消極的である。エネルギー問題にしても、安価なロシア産の天然ガスを輸入したほうが有利だからである。

 12月に行われたEUの首脳会議で、今後4年間で500億ユーロ(約8兆円)のウクライナ支援予算案に対して、オルバンは拒否権を行使した。オルバンは、「EU予算が非加盟国に流れるのは間違っている」と主張した。オルバンは、これまでもLGBT、移民問題などでEUの政策と齟齬を来す方針を打ち出してきた。

 また、ロシアとの良好な関係の維持に腐心するオルバンは、ウクライナ支援、ウクライナのEU加盟、フィンランドやスウェーデンのNATO加盟などについて、EUの方針と異なる対応をしてきた。

2月1日、ブリュッセルで開かれたEUの臨時首脳会議に参加したハンガリーのオルバン首相(左)。右はスロバキアのフィツォ首相(写真:AP/アフロ)© JBpress 提供

 ウクライナ支援予算案への拒否権行使に対して、EUは、ハンガリーへの資金停止や拒否権の剥奪という報復措置でオルバンに翻意を迫った。また、フランス、ドイツ、イタリアなどの首脳がオルバンを説得した。

 その結果、2月1日に行われた臨時首脳会議では、500億ユーロの支援予算が、加盟27カ国の満場一致で決まった。ウクライナに対しては、ハンガリーが求めていた予算の使途の明確化が盛り込まれ、毎年報告することが義務づけられた。戦争中にもかかわらず、ウクライナでは国防省をはじめ汚職が蔓延しているからである。さらに、2年後には支援の見直しができるようになる。

 こうして何とか妥協にこぎ着けたものの、今後ともオルバンはEUにとって頭痛の種になりそうである。そして、農民のデモに見られるように、各国で国民生活が困難な状況になりつつあり、ウクライナ疲れも嵩じてくる。

 3月にはロシアで、11月にはアメリカで大統領選挙が行われる。今年は、世界が大きく動きそうである。

『プーチンの復讐と第三次世界大戦序曲』 (舛添要一著、集英社インターナショナル)© JBpress 提供

【舛添要一】

国際政治学者。株式会社舛添政治経済研究所所長。参議院議員、厚生労働大臣、東京都知事などを歴任。『母に襁褓をあてるときーー介護 闘いの日々』(中公文庫)、『憲法改正のオモテとウラ』(講談社現代新書)、『舛添メモ 厚労官僚との闘い752日』(小学館)、『都知事失格』(小学館)、『ヒトラーの正体』(小学館新書)、『スマホ時代の6か国語学習法!』(たちばな出版)など著書多数。YouTubeチャンネル『舛添要一、世界と日本を語る』でも最新の時事問題について鋭く解説している。

【追加】

立ち上がった農民の皆さん。EUの官僚が何を脅そうが自分は農民の側に立つとしてハンガリー、オルバン首相。2024/02/04


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