9月上旬の入居目指し仮設住宅着工 熊本・八代(20/07/19)
毎日新聞
九州豪雨による九州・山口各県の農林水産関連被害額(速報値)が8県で計521億円に上ることが明らかになった。特に球磨川の大規模氾濫や土砂崩れが相次いだ熊本県は県南部を中心に369億円、筑後川支流が氾濫するなどした福岡県は61億円の被害が出ている。断続的に降り続く雨や道路の寸断などで調査が進んでいない地域も多く、被害額は更に膨らむ見通しだ。
19日までに判明した被害額を各県に取材した。
熊本県は球磨川流域の人吉市など球磨地方を中心に田畑への土砂流入やのり面崩壊、農道・水路の損壊が計5096カ所で見つかり、農地関連で227億円。林業関連は林道施設ののり面崩壊や山腹崩壊など計1637カ所、141億円の被害を確認した。県南部で栽培が盛んな葉タバコも浸水で大きな被害が出た。畜産関係は複数箇所で鶏舎が浸水し鶏3万羽以上が死んだ。
福岡県は広範にわたって氾濫した筑後川支流の流域に被害が集中。水稲や大豆、ハウス栽培の野菜など3900ヘクタールに12億円以上の被害が出た他、農業用ハウスやトラクターなどの施設・機械も破損するなど農業関連被害が45億円に上った。その他の県でも農作物の冠水や土砂崩れが相次ぎ、多額の被害が出た。
農林水産省によると、過去の主な豪雨による農林水産関連被害は、関東・東北豪雨(2015年9月)505億円▽九州北部豪雨や東北での台風3号など(17年6~7月)1124億円▽西日本豪雨(18年7月)3409億円――となっている。【吉住遊】
九州・山口の農林水産業被害額
熊本 369億円
福岡 61億円
鹿児島 24億円
大分 23億円
佐賀 15億円
宮崎 14億円
長崎 12億円
山口 3億円
※19日までの各県集計
筑後川河岸に女性遺体 豪雨災害と関連捜査 朝倉市
19日午前9時10分ごろ、福岡県朝倉市杷木久喜宮の筑後川河岸で、女性の遺体が見つかった。県警朝倉署によると、遺体は九州各地を襲った記録的豪雨で、上流から流れてきた流木などの間に浮かんでいた。署は災害との関連や死因、身元特定を進める。
署や日田玖珠広域消防組合消防本部(大分県日田市)によると、地元住民が消防本部に通報。上流部の日田市天瀬町では70代女性が行方不明となっており、消防本部はこの日、県境の大分県側の川で捜索活動を実施していた。通報を受けた消防隊員が現場に急行し遺体を確認、署に引き継いだという。(姫野一陽、笠原和香子)