とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「ピーターラビットの絵本」シリーズ (7)

2007年02月20日 08時01分17秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
(7)2ひきのわるいねずみのおはなし(1,904年刊)
ビアトリクス・ポター さく・え いしいももこ氏訳
        (要約)
(私注:表紙をめくると、タイトルページの前ページに、目のぱっちりとした、愛くるしい2匹のねずみの絵が、ついています。)

《むかし あるところに たいへんきれいな にんぎょうのいえが ありました。》あかいれんがで できていて、しろいまどには ほんものの モスリンのカーテンが かかっている。げんかんも えんとつも ついていた。
しゅじんは ルシンダとジェインという ふたりの にんぎょう。《いえ、ジェインは ともかく、ルシンダは たしかにしゅじんでした》
 ジェインはコックさんでしたが いちども りょうりを つくったことが ありません。おりょうりは ちゃんと できていて、かんなくずのはいった はこにいれてありました。
 あかいえびが 2ひきに、ハムのかたまりと おさかなとプディング。なしや、
オレンジも いくつか。ごちそうは おさらに くっついていて はなれません。でも、とても きれいでした。
 あるあさ、ルシンダとジェインは、にんぎょうの うばぐるまにのって でかけました。こどもべやには だれも いません。あたりは とても しずかでした。こそこそ かりかりという おとがして、だんろのそばの すそいたのあなのへんから きこえてきました。
 トム・サムが ちょろっと かおをだし すぐ ひっこみました。トム・サムはネズミです。そのあと、《トムのおかみさんのハンマ・マンカも あたまをだしました。》《だれも いないのを見ると、おもいきって せきたんいれのしたまで、でてきました。》
 にんぎょうのいえは だんろの むこうがわに あります。トム・サムとハンマ・マンカは、ようじんぶかく、じゅうたんをはしりぬけて、にんぎょうのいえまで いってみました。げんかんの戸をおすと―かぎは かかっていませんでした。
 トム・サムとハンマ・マンカは、にんぎょうのいえの2かいにあがり、しょくどうを のぞきました。そして きいきい いって よろこびました!
 《とても おいしそうな ごちそうが テーブルのうえに ならんでいたのです!》すずのスプーンに、なまりのナイフやフォークも ならんでいました。》それから にんぎょうのいすも ふたつ。まあ、そのまま つかえます。
 トム・サムは さっそく ハムをきりにかかります。ハムは きれいに きいろくひかって あかいしまが はしっています。
 でも ナイフは ぐにゃっとまがって トムは 手をいたくしました。《トムは、いそいで ゆびをなめました》。「このハムは よく火が とおていないから、かたい。ハンマ・マンカ おまえ やってごらん」
 ハンマ・マンカは たちあがって、もう1ぽんの なまりのナイフで、とん!とハムをたたきました。
「まるで チーズやの ハムみたいに こちこちですよ」
 《そのうち ハムは がくっとおさらから とれて、テーブルのしたに ころがっていきました。》
「あれは かまわないことにして さかなを すこし おくれ」とトム・サムは言いました。
 《ハンマ・マンカは そこにあったスプーンやナイフを つぎつぎに みな つかってみました。》でも おさかなは おさらに はりついています。
 とうとう、トム・サムは かんかんに おこってしまいました。《そして ハムをへやのまんなかに もってくると、火ばさみやシャベルで、めちゃくちゃに たたきのめしました。―どすんどすん、ばしゃんばしゃん!》
 ハムは こなごなになって とびちり なかは つちで できていたのです。
《さあ、これがわかると、トム・サムとハンマ・マンカの がっかりしたこと、おこったこと!》トムたちは、プディングも えびも なしやオレンジも こなごなにしてしまいました。
 おさかなは おさらにくっついて、はなれませんでしたので、だいどころの まっかにもえた火のなかへ おさらごと ほうりこみました。けれど 火はちりめんで できていたので、おさかなは こげもしません。
 トム・サムは だいどころのえんとつをのぼり そとを見ましたが、すすさえ ついていません。
 《トム・サムが えんとつにあがっているまに、ハンマ・マンカは、しょっきとだなのうえで 「おこめ」とか。「コーヒー」とか、「こな」とかいう はりがみのしてある小さなかんを 見つけたのですが》さかさにしても あかや あおの ビーズしかはいっていませんでした。
 《そこで 2匹のねずみは、できるだけのいたずらを しはじめました―とくにトム・サムのいたずらときたら、ひどいものでした!》ジェインのしんしつの たんすのひきだしから ふくをひっぱりだし、まどから そとへ ほうりなげたりしました。
《けれども ハンマ・マンガは、ものをたいせつにするたちのねずみでした。》そこで、ルシンダのまくらから 羽根をはんぶんほど ひっぱりだしたあとで、じぶんも 羽根がひつようなのに きがつきました。
 そこで、トム・サムにてつだってもらい まくらをしたにおろし、こどもべやのすみに はこびました。まくらを ねずみのあなに おしこむのは むずかしいことでしたが、どうにか できました。
 それから にんぎょうのいえにもどって いすと ほんだなと とりかごと ほかに あれこれと とってきました。けれど、とりかごと ほんだなは どうしても ねずみのあなに はいりませんでした。
 そこで、ハンマ・マンカは、とりかごなどを せきたんいれのうしろにおいて、あかんぼうのゆりかごを とりにもどりました。
 《ちょうどハンマ・マンカが もうひとつのいすをもって かえりかけたころです。きゅうに、かいだんのところで、ひとのはなしごえが しました。》
さっと、ねずみあなにかけこんだとき 《にんぎょうたちが こどもべやにはいってきました。》
 なんという こうけいが まっていたことでしょう。ルシンダは、目をまるくしました。ジェインは、しょっきとだなによりかかって にっこりしました。でも ふたりとも いけんは いいませんでした。
 ほんだなと とりかごは せきたんいれのかげにあったのが みつかりました。《けれども、ゆりかごと ルシンダのふくは、ハンマ・マンカにもっていかれてしまいました》
 
 (私注:すてきな ふんわりとした 品のいい柄のワンピースをきたハンマ・マンカが、かわいいセーターをきせた赤ん坊をだいて、いすにすわっている。ほかの赤ん坊は、人形のゆりかごでぐっすりとねている絵が愛くるしいことといったら!)
 
 《それから ハンマ・マンカは ちょうほうなつぼや なべや、ほかのものも いくつか 手にいれました。》
 にんぎょうのいえの もちぬしの おんなのこは 《「じゅんさのふくをきた にんぎょうをかうことにするわ!」》と いいました。
 《けれども 、こどもべやの せわをしている おてつだいは、「わたしは ねずみとりをかけますよ!」といいました。》
 《さて、これが、2ひきの わるいねずみのおはなしです―でも、トム・サムとハンマ・マンカは、ほんとうは、それほどわるいことをしたといえないのですよ。》《なぜかといえば、トム・サムは、あのあとで じぶんたちがこわしたものをぜんぶ おかねで かえしたのです。だんろのしたの じゅたんのしたで へこんだ6ペンスのこうかを見つけ、クリスマスのまえのばん ルシンダかジェインのかわかりませんが、とにかく ふたつのくしたのうちの、どれかひとつに、そのぎんかを いれておいたのです。》
 《それに ハンマ・マンカも まいあさ とてもはやく―まだ だれひとり おきださないうちに―ちりとりと ほうきをもって、にんぎょうのいえにでかけて、おそうじをしました。》

(私注:人形のすてきなワンピースをきたハンマ・マンカが、ほうきと ちりとりをもって、人形の家のげんかんに入ってくる絵。もちろん、おはなしと絵が交互に全編にわたり、ついています。ポターのおはなしと絵は、きりはなせず、ぴったりと息をあわせて、おはなしをもりあげていくように思います)

            おわり 

読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:小学低学年から
     
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