毎日新聞2020年3月15日 東京朝刊
ドイツのメルケル首相が新型コロナウイルス感染は「全人口の6~7割に広がる可能性がある」と発言して非難を浴びた。元物理学者らしい科学的な見方が、政治家のメッセージとしては不適切と反発された
▲長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授も同じ比率を言っている。治療法が見つからない限り、免疫を獲得した人が増えて集団免疫を形成するまで流行は続く。「日本の場合、人口の6~7割でしょう」(12日付毎日新聞ニュースサイト)
▲現代文明こそが大流行の温床である以上、致死率を下げながら拡大の速度を緩やかにし、医療破綻を回避すべきだという。「感染症と共存した集団が生き残った」人類史の教訓は、同じ不安を抱くにも別の気構えを提供してくれる
▲各国で非常事態宣言が相次ぐ。政治がなすべきことは多いが、最後は個々人の自覚に頼るしかないなら、必要なのは柔らかく長続きする社会への想像力だろう。「指導者は仁王立ちで立ち向かえ」といった掛け声は、どこかピント外れだ
▲先週、休校中の校庭開放を始めた自治体では、市長宛てに保護者から「家にこもるのは限界」との訴えが集まっていた。先生たちが地域を見回ると、公園で子供が見知らぬ大人に「家にいなさい」としかられる光景も目についたという
▲各地で学校再開の動きがある。再び休校することもあるだろう。であればこそ社会全体で粘り強く日常を保とうとする連帯意識が、政治の指導力以上に求められる。子供たちを笑顔で送り出したい。
2020年3月19日 8:59 発信地:ベルリン/ドイツ [ ドイツ ヨーロッパ ]
【3月19日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は18日、国民に向けたテレビ演説で、新型コロナウイルスの流行でドイツは「第2次世界大戦(World War II)以来」最大の問題に直面しているとし、包括的な感染抑制措置に従うよう呼び掛けた。
メルケル氏は「事態は深刻だ。真剣に受け止めてもらいたい。ドイツ統一以来、いや、第2次世界大戦以来、わが国の命運がこれほど、われわれの団結にかかっている事態になったことはない」と語った。
メルケル氏は過去15年の首相在任中、金融危機、2015年の難民危機、そして英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)といった数々の難問に直面してきたものの、毎年恒例の新年のあいさつを除けば、指導者として長い経歴を持つ同氏がテレビで国民に直接演説をしたことはこれまでなかった。
メルケル氏は「自分がなすべき課題を全国民が本当に理解したならば、われわれはこの課題を成し遂げることができると私は心から信じている」と呼び掛けた。
ドイツでは数日前から連邦政府と各地方行政府が学校や多くの商店や企業、公共の場を閉鎖。新型ウイルスの拡散を抑えようと必死の取り組みを打ち出していた。
もっともドイツでは外出禁止などの指示は出されておらず、より厳格な規制を導入したフランス、ベルギー、イタリアやスペインとは対照をなしている。
社会的接触を避けるようにとのメッセージを人々に届けようと、当局が苦心する中、ドイツ人は春の日差しを楽しみ、社交のための外出を継続。「コロナパーティー」まで開かれていた。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK / Tom BARFIELD
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