デルタ株、自然免疫回避か 予防接種は「時間との闘い」に
【6月26日 AFP】感染力の強い新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」によって、ワクチン接種率が高い国でも感染が拡大している。デルタ株は自然免疫を回避するとも指摘されており、デルタ株を抑える上でワクチン接種は「時間との闘い」になっていると専門家らは警告する。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は25日の記者会見で、インドで最初に発見されたデルタ株は「これまでのところ、少なくとも85か国で確認されており、ワクチン未接種の人々の間で急速に感染が広がっている」と発表した。
インドでデルタ株の流行が始まったのは今年4月ごろ。最近ロシア、オーストラリア、イスラエル、およびアフリカ各地でみられる新規感染者数の増加にもデルタ株の影響がある。
専門家らは、デルタ株を抑制するには人口の80%以上がワクチンの接種を受ける必要があるとしている。接種が進んでいる国でも容易には達成できない水準だ。
WHOの推計によると、アフリカでワクチン接種を完了した人は人口のわずか1%で、世界で最も接種率が低い。
アフリカでは、デルタ株が14か国で報告されており、コンゴ民主共和国とウガンダでは新規感染の大半をデルタ株が占める。
さらに厄介なことに、デルタ株は過去の感染で獲得された自然免疫を回避することが多いようだと、感染症モデリングが専門の生物学者、サミュエル・アリゾン(Samuel Alizon)氏は指摘。AFPに対し、「もはや自然免疫に頼ることはできない」と語った。(c)AFP/Amélie BAUBEAU
<独自>塩野義の国産ワクチン 年明け6千万人分供給可能
配信 産経新聞
塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルスワクチンを生産・供給できる人数が、来年1月から年間最大6千万人分へ倍増することが26日、分かった。これまで「3千万人」としていた。手代木(てしろぎ)功社長が産経新聞のインタビューで明らかにし、「国産ワクチンを安定的に供給したい」と述べた。 塩野義のワクチンは現在、第1、2段階の臨床試験(治験)を国内で行っている。ワクチンの効き目などから供給量を拡大できる見通しになったという。さらに治験を進めて確認する。
同社は提携先である医薬品製造会社「ユニジェン」の岐阜県池田町の工場で生産設備を整備中。これまで年内に3千万人分のワクチンの生産体制を整えるとしていた。
また手代木氏は、最終段階の大規模な治験について「アフリカや東南アジアでの実施に向けて調整中」と明らかにした。
塩野義は国内でも千例規模の治験を検討している。これを踏まえ、一定の条件を満たせば承認を受けられる国の「条件付き承認制度」が適用されれば「年内の実用化が可能」としているが、並行して最終段階の大規模な治験を世界の流行地域で実施する。
塩野義のワクチンは「遺伝子組み換えタンパクワクチン」と呼ばれる。新型コロナの遺伝子の一部を基に昆虫細胞でタンパク質を培養して作る。すでにインフルエンザワクチンなどで実績がある技術だ。