ぼんやりと ベランダの前にすわる
ぼんやりと ハーブの白い小花に目がいく
秋のかおりをふくんだ 夜風が 暗闇のなかから吹いてくる
さまざまなことが頭に浮かんでくる
身体がうごかない
ただ ぼんやりと
ただ ぼんやりと
わたしは 暗闇に目をむける
母の言葉がきこえてくる
「あなた 元気でいいわねえ」
愚痴を言ったことがなかった母
いつも 自然体の母だった
おそらく 今の母にとって
これが 一番自然な言葉なのだろう
もう あまり 歩けなくなった母だから
「あなた 元気で いいわねえ」
残っている認知力で
電話をするたびに 必ず言う
夜風よ 母にも吹け
わたしの涙を 運んでゆけ
ぼんやりと ハーブの白い小花に目がいく
秋のかおりをふくんだ 夜風が 暗闇のなかから吹いてくる
さまざまなことが頭に浮かんでくる
身体がうごかない
ただ ぼんやりと
ただ ぼんやりと
わたしは 暗闇に目をむける
母の言葉がきこえてくる
「あなた 元気でいいわねえ」
愚痴を言ったことがなかった母
いつも 自然体の母だった
おそらく 今の母にとって
これが 一番自然な言葉なのだろう
もう あまり 歩けなくなった母だから
「あなた 元気で いいわねえ」
残っている認知力で
電話をするたびに 必ず言う
夜風よ 母にも吹け
わたしの涙を 運んでゆけ