とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

『 Command the  Mornig 』 Perarl S ・buck   1(1)

2007年11月05日 13時19分23秒 | 時事問題(日本)
     第1章 大統領の決断(要約1)(”は、引用)
 ”その年、1940年。前年の9月にイギリスはドイツに宣戦布告していたが、春は再び巡り、アメリカ人は、まだ戦火を免れていた。”
 ”バートン・ホールも自分たちはまだ安全だと思っていた。””カリフォルニアにも春の気配があったが、シカゴ郊外のバートの自宅の庭よりも遅かった。”バートは2日前に、愛車のコンバーチブルで空港へ向かい、飛行機でシカゴを発った。” ”飛行機を利用したせいで出がけに、妻のモリーと、ひともんちゃくあった。” 死んでもいいと覚悟をしているなら、身体がばらばらになるような飛行機のような乗り物を選ぶなと言うのだ。遺体を埋葬して、墓標ぐらいたてたいと。
”バートはにやりとした。「墓標だって!もしアメリカがこの戦争に加わったら、俺がやらねばならん仕事の半分も君はわかっちゃいない」”

 48時間後、バートは科学者仲間のウィリアム・トンプソンと、バークレー・キャンパスで昼食に厚いローストビーフにナイフをいれながら、ヨーロッパとアジアで拡大しつつある戦火の話をしていた。バート”「さっきの話の続きだが.......」”
”ドイツ、ポーランド、オーストリア、ハンガリーの科学者たちは母国を脱出し、初めはフランスに、次にイギリスに逃れ、いまはアメリカに集まって来ていた。恐ろしい避難行だったという。”
 「アメリカは参戦せずにすむか?」「無理だ。ナチスはもう原子力開発にのりだし、ウラン235の分離法を手にしている。ということは、原子爆弾の製造を目論んでいるということだ。フェルミは、ナチスには無理だと思っているようだが...」

"訳注/ウラン235 : 放射性元素。天然に存在する234、235、238の3種類のウラン同位体のうち、235のみが中性子の衝突によって核分裂を起こす。

”訳注/フェルミ : エンリコ・フェルミ(1901-1954)、イタリア人核物理学者。39年にアメリカに移住。人類初の核エネルギー解放を実現し、アメリカ原子爆弾製造計画に大きな影響を与えた。38年ノーベル物理学賞を受賞。”

 ”バートはメニューからアップルパイを探した。” 「フェルミの直感か」
”「彼の直感は、ほぼ百パーセント正しいですよ」トンプソンは主張した。
「『ほぼ』というのが、なかなか曲者なんだ」”バートはそう言いながら、ウエイターにアップルパイとア・ラ・モードにチーズを添えてくれ(私注:変な取り合わせ)と頼んだ。”「よくそんな取り合わせが食べられますね」”と、トンプソン。

 俺は仮想の兵器の話をしに来たのではない。”いや、それは嘘だ。俺はその話をしに来た。”
トンプソンを説得できるか不安を抱えてここに来た。トンプソンは一流の科学者で、”彼が発明したサイクロトロンから放射されるビーム(粒子線)は原子核を破壊する。世界でいまもっとも重要なのは、原子だ。それは、肉眼では見えない微小な粒子で、写真の乾板上のかすかな感光跡でしか見ることはできない。”

*”訳注/サイクロトロン:陽子などイオンの加速器。荷電粒子を電磁場による力で加速して、その運動エネルギーを大きくする装置。

 バートはアップルパイを食べる気力が失せていた。「私といっしょにその恐ろしい代物を作らないか?」バートはアップルパイを横へどけながら、「私は第一級の科学者を集めている。君の次はスティーブン・コーストだ。若い科学者でなくてはならない。若くて、思い切ったことの出来る科学者でないと。」 トンプソンは聞き流して、小銭を数えていた。バートはあたりを見まわし、”のんびりと食べたり飲んだりしているこの連中は、この先何が待ち受けているか考えずに、大学という狭い場所で漫然と過ごしている。””彼は今日スティーブン・コーストに電話をするつもりだった。”

「最悪の場合は、君を当てにしてもいいんだな?」
”「そうならないでほしいものですね」”

トンプソンと別れると、”バートはレンタカーに乗り込み、はるか地平線に連なる山並を目指した。” (続く)


 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『 Command the ... | トップ | 『 Command the ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

時事問題(日本)」カテゴリの最新記事