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豊田章男氏「私はちょっと古い人間」 トヨタ社長退任の理由語る 毎日新聞 -(1/26)

2023年01月26日 23時36分15秒 | 経済
トヨタ自動車の豊田章男社長
トヨタ自動車の豊田章男社長© 毎日新聞 提供

 4月1日付で就任する会長職に関しては「新社長が37万人のトヨタ従業員の幸せともっといい車作りをサポートしていくならば、私自身は日本の(自動車産業で働く)550万人のために応援団作りをする」と指摘。自動車産業の競争力強化に向けた活動にも注力する考えを示した。

トヨタ自動車は、13年余り経営の舵取りを担ってきた豊田章男社長が4月1日付けで代表権のある会長に就任すると発表しました。後任の社長には佐藤恒治執行役員が就任します。

豊田氏は66歳。

トヨタの前身の「トヨタ自動車工業」を創業した豊田喜一郎氏の孫にあたり、昭和59年にトヨタ自動車に入社したあと、副社長などを経て、平成21年6月から創業家出身の社長として13年あまり経営を担ってきました。

社長就任当初からリーマンショックによる世界経済の悪化や、アメリカでの大規模なリコール問題、それに東日本大震災など厳しい経営環境に直面しましたが、「もっといいクルマづくり」を掲げ、マツダやスズキと相次いで資本提携するなど、日本の自動車業界をけん引してきました。
また、自動車業界が変革を迫られる中、脱炭素化に向けてEV=電気自動車だけでなくハイブリッド車や燃料電池車などを含めたいわゆる「全方位の戦略」を打ち出し、最近では水素エンジン車の開発にも力を入れてきました。

豊田社長は引き続き、代表権のある会長として、経営を担うものとみられます。
一方、後任の社長には53歳の佐藤恒治執行役員が就任します。

佐藤氏は、平成4年にトヨタに入社して主に技術畑を歩み、カローラやプリウスなどの部品開発に携わってきました。

現在は執行役員のほか、社内のカンパニーのレクサスインターナショナルのトップなどを務めていて、取り扱う車のブランド戦略を担当しているほか、スポーツカーの開発などを責任者として統括しています。

豊田社長 オンラインの緊急配信で会見

 
豊田章男社長はオンライン配信で、今回の人事を決定した背景について、「トリガーとなったのは内山田会長が退任されること。トヨタの変革をさらに進めるために、私が会長となり、新社長をサポートする形が一番よいと考え今回の結論に至った。内山田会長は常にかげになりひなたになって私をサポートしてくれた。この場をお借りして改めて感謝申し上げます」と述べました。


また、豊田社長はこれまでを振り返り、「社長に就任したのはリーマンショックによる赤字転落の直後のことだった。その後も世界規模でのリコール問題、東日本大震災など会社存亡の危機の連続だった。この13年間を振り返るととにかく必死に一日一日を生き抜いてきた。それが私の正直な気持ちだ」と述べました。

そのうえで、「時間はかかったが、グローバルトヨタ37万人が、それぞれの町のそれぞれの現場でもっといい車づくりに取り組んできた。この13年間でバトンタッチのための土台は作れた、私はそう思っている」と述べました。

さらに後任の社長に佐藤氏を選んだ理由について、「1つはトヨタの思想や所作を身につけようと車作りの現場で必死に努力をしてきた人だからです。そして、もう1つは車が大好きだからです。さらにつけ加えるとすれば若さです。正解が分からない時代に変革を進めていくには、トップみずからが現場に立ち続けることが必要になり、それには体力と気力と情熱が欠かせません。新チームのミッションは、トヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすることです」と述べました。

後任の佐藤恒治氏「身の引き締まる思い」

 
豊田章男氏の後任として新たに社長に就任する佐藤恒治氏は、オンライン配信で、「豊田章男社長の思いを受け継ぐという大役を拝命し、身の引き締まる思いです。新チームでは継承と進化をテーマに、創業の理念を大切にしながら商品と地域を軸にした経営を実践し、モビリティーカンパニーへのフルモデルチェンジに取り組んでいく」と述べました。
氏名佐藤 恒治(サトウ コウジ)
生年月日
1969年10月19日
学歴
19923月
早稲田大学理工学部機械工学科卒業
主な職歴
19924月
トヨタ自動車株式会社入社
 20161月
同社 Lexus International Co. ZLチーフエンジニア
 20174月
同社 常務理事就任
 20174月
同社 Lexus International Co. 統括
 20191月
同社 Lexus International Co. Executive Vice President
 20201月
同社 執行役員就任
 20201月
同社 Lexus International Co. President(現在に至る)
 20209月
同社 GAZOO Racing Company President(現在に至る)
 20211月
同社 執行役員就任(現在に至る)
 20211月
同社 Chief Branding Officer(現在に至る)

【トヨタ自動車】佐藤恒治氏が社長へ 豊田章男社長は会長に

 

【トヨタ自動車】佐藤恒治執行役員が新社長へ 豊田章男社長が会長へ

 

Akio Toyoda hands over at Toyota

 

トヨタ自動車の経営を牽引(けんいん)してきた豊田章男社長(66)が4月に会長に就任し、執行役員の佐藤恒治氏(53)が社長に昇格する。自動車業界は自動運転や電動化など「100年に1度の変革期」を迎えている。経営陣の世代交代を図り、トヨタが目指すモビリティー(乗り物)カンパニーへの変革を推進する。豊田氏は自動車業界で働く550万人の〝応援団〟としての活動に力を入れる。

モビリティーカンパニーへ変革

「私は少し古い人間。新しい章に入るため一歩引くことが今必要だと思う」。豊田氏は自社のオンライン配信で、退任理由について、こう語った。

自動車産業はデジタルとの融合による「つながる車」の普及や電動化が進む。今後はソフトウエアで機能を更新し、さまざまなサービスを提供する時代になるとみられている。

豊田氏は「私は車屋の域を超えられない。それが私の限界だ」とも述べ、新チームにモビリティーカンパニーへの変革を託した。

「正解の見えない時代」

後を託された佐藤氏は現在を「正解の見えない時代」と表現した上で、「まずはモビリティーを考えていくことが新体制の大きなテーマだ」と語った。

さらに「より多くの価値を車に付け加えていくためにはソフトとハードの両面で、まだまだやることがある」との認識を示した。

世界では電気自動車(EV)シフトが加速し、米テスラなど海外勢が幅をきかせている。トヨタは商品の魅力の原点でもある車づくりを磨きながら、若い世代の発想を取り入れ、変革を推進したい考えだ。

豊田氏、異業種との交流基点に

一方、4月から会長となる豊田氏は新チームを見守りながら、自動車産業の競争力強化に取り組む。布石は打ってきた。昨年6月には経団連にモビリティ委員会が設置され、十倉雅和会長の要請を受けて委員長に就任した。

昨年11月には首相官邸で開かれた今後の自動車産業の在り方を議論する会合で岸田文雄首相と協議。脱炭素化に向けた取り組みを官民で進める方針で一致し、自動車業界で働く人の賃上げも議論した。今後、豊田氏は自動車産業の競争力を強化するため、異業種との交流基点となり、仲間づくりに注力することになる。(黄金崎元)

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