トンガ 空港で灰の除去難航、物資届かず 健康被害も懸念
毎日新聞 2022/1/19 18:05(最終更新 1/19 18:05) 951文字
海底火山の大規模噴火が起きた南太平洋のトンガでは19日も噴火による灰が降り続いており、隣国フィジーに拠点を置く国連児童基金(ユニセフ)の太平洋島しょ国事務所は、住民の健康被害への懸念を示した。現地では救援物資を受け入れるため、当局が空港滑走路で灰の除去に取り組むが難航している。
19日、毎日新聞の電話取材に応じたユニセフ事務所の健康・栄養専門員、フランシス・ブリブリ氏によると、事務所は、トンガに拠点を置く別の国連機関と衛星電話を通じて情報を収集している。
首都ヌクアロファの空港では、約200人が灰の除去作業に当たっているが、灰が降り続き、当初の予想以上の時間がかかっているという。ブリブリ氏は「灰を吸い込んだり、灰に汚染された水を飲んだりすることによる呼吸器への影響も懸念される。早急な予防対応が必要だ」と話した。
ユニセフは、現地住民向けにマスクや水道水浄化タブレットの配布準備を進めている。しかしトンガ政府の新型コロナウイルスへの厳しい水際対策により、フィジーを出発できずに待機の状態が続いている。ブリブリ氏は「トンガ政府側と連絡が取れ次第、物資を届ける予定だ」と語った。
トンガではインターネットが遮断されたこともあり、これまで情報が十分に行き届かなかったが、19日までにラジオ放送が復旧したという。ブリブリ氏は「フィジーからも情報を発信できるため、灰への対策や伝染病予防に関する放送を検討している」と言う。

トンガの現状については、ユニセフ事務所のジョナサン・ベイチ代表も18日夜、フィジーからオンラインによる記者会見を開催。「今も通信手段には困難が生じている」と説明するとともに「水不足に加え、買い占めによる食糧不足も懸念されている」と話した。
現地向けの救援物資の輸送では、ヘリコプターなどを搭載したニュージーランドの軍用船1隻が18日に出航した。21日にも到着する見通し。さらに同国の別の1隻と、オーストラリアの軍艦も出発の準備を進めている。
オーストラリアは支援物資を積んだ輸送機を出発させる手はずも整えている。現地で灰の除去作業が進まなかったり、水際対策が緩和されなかったりする事態も想定し、輸送機がトンガ上空から支援物資を投下する案も検討しているという。【バンコク石山絵歩】