ゴールデンバット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴールデンバット(Golden Bat)は日本たばこ産業から発売されている紙巻きタバコの銘柄の一つで、両切り。タール18mg、ニコチン1.1mg。
「バット」の通称で古くから親しまれている銘柄である。日本でタバコの専売制が開始されて間もない1906年(明治39年)9月に、当時の大蔵省専売局(後の日本専売公社の前身)から発売された。現在販売されているタバコの中では日本最古の銘柄として有名で、2006年には発売100周年を迎えた。
同時に、日本で最も安価なタバコとしても知られている(2006年7月現在 20本入り140円。なお1906年の発売時には10本入り4銭であった)。たばこ税では、等級の低い葉を用いることから「旧3級品」の範疇に含まれるため、課税額が低い。
[編集] 逸話
大衆向けの紙巻きタバコで、かつては細身の巻きを特徴としていた。発売当時から爆発的に流行るようなことはないが、熱烈かつ根強い愛用者が常におり、そのことが例外的な長寿に繋がったと考えられている。
愛用者には作家も多く、文芸作品の中にはしばしば「バット」の名が登場する。芥川龍之介や太宰治、中原中也らが愛飲したことは有名である。内田百間は「朝日」「ピース」など高級煙草を好んだが、「たまに吸いたくなる」銘柄としてバットを挙げている。博物学者の南方熊楠も愛飲しており、空箱は採集した粘菌の標本入れに利用していた逸話がある。
ブランドにコウモリを使った背景には、当初、コウモリが幸運の象徴とされる中国向けの輸出用ブランドとして企画された事情がある。海外向け輸出品としては国内発売の前年である1905年(明治38年)から生産されていた。
灰緑色系の地に金色のコウモリをあしらった古風なパッケージは広く知られており、近年ではレトロな好デザインとして再評価されるようになっている。極めて歴史が長いため、幾度も細かいデザイン変更が行われてきたが、おおむね発売当時の基本デザインを守ってきた。
太平洋戦争前後の1940年(昭和15年)から戦後の1949年(昭和24年)までは、神武天皇の神話に基づいた「金鵄(きんし)」に名称変更され、デザインもそれに従って変更されていた。
2005年には新警告文を載せるため、パッケージの体裁が大幅に変更された。愛用者層からは「歴史を破壊するものだ」として非難を浴びたが、その後も懲りずにデザイン変更がなされ、銀紙に札付きのパッケージで、一般タバコと同等の巻きサイズに変更された。しかしながらこの改訂は、巻が太くなったため今までになく重厚な味わいになり、前回のデザイン面だけの改定に比べ割合好評なようである。
[編集] 屑タバコの俗説
その安価さとバラつきの多い味(製造ロットの違いや湿度によって相当に味が変わる)から、「他のタバコを作る時に(こぼれた)屑を寄せ集めて作っている」との噂があるが、これは事実と異なる俗説の一種である。
実際には、上級の煙草には使用しない葉脈の部分(課税上の等級が低くなる)を主原料に製造されているため、均質な味に調整しにくいのがばらつきの原因であるという。重度のバット愛好者には、この「味の変化」を逆に楽しむ者すらある。
[編集] 派生商品
2004年7月から宮城県内でゴールデンバット・ボックス(紅茶風味)とゴールデンバット・メンソール・ボックス(カシス風味)が販売されたが定着せず、2005年1月をもって廃止が決定された。
[編集] 外部リンク
All Japan Golden Bat Party
ゴールデンバット探索プロジェクト(販売所データベース)
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%88" より作成
カテゴリ: タバコの銘柄
最終更新 2006年12月27日 (水) 13:00。
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ゴールデンバット(Golden Bat)は日本たばこ産業から発売されている紙巻きタバコの銘柄の一つで、両切り。タール18mg、ニコチン1.1mg。
「バット」の通称で古くから親しまれている銘柄である。日本でタバコの専売制が開始されて間もない1906年(明治39年)9月に、当時の大蔵省専売局(後の日本専売公社の前身)から発売された。現在販売されているタバコの中では日本最古の銘柄として有名で、2006年には発売100周年を迎えた。
同時に、日本で最も安価なタバコとしても知られている(2006年7月現在 20本入り140円。なお1906年の発売時には10本入り4銭であった)。たばこ税では、等級の低い葉を用いることから「旧3級品」の範疇に含まれるため、課税額が低い。
[編集] 逸話
大衆向けの紙巻きタバコで、かつては細身の巻きを特徴としていた。発売当時から爆発的に流行るようなことはないが、熱烈かつ根強い愛用者が常におり、そのことが例外的な長寿に繋がったと考えられている。
愛用者には作家も多く、文芸作品の中にはしばしば「バット」の名が登場する。芥川龍之介や太宰治、中原中也らが愛飲したことは有名である。内田百間は「朝日」「ピース」など高級煙草を好んだが、「たまに吸いたくなる」銘柄としてバットを挙げている。博物学者の南方熊楠も愛飲しており、空箱は採集した粘菌の標本入れに利用していた逸話がある。
ブランドにコウモリを使った背景には、当初、コウモリが幸運の象徴とされる中国向けの輸出用ブランドとして企画された事情がある。海外向け輸出品としては国内発売の前年である1905年(明治38年)から生産されていた。
灰緑色系の地に金色のコウモリをあしらった古風なパッケージは広く知られており、近年ではレトロな好デザインとして再評価されるようになっている。極めて歴史が長いため、幾度も細かいデザイン変更が行われてきたが、おおむね発売当時の基本デザインを守ってきた。
太平洋戦争前後の1940年(昭和15年)から戦後の1949年(昭和24年)までは、神武天皇の神話に基づいた「金鵄(きんし)」に名称変更され、デザインもそれに従って変更されていた。
2005年には新警告文を載せるため、パッケージの体裁が大幅に変更された。愛用者層からは「歴史を破壊するものだ」として非難を浴びたが、その後も懲りずにデザイン変更がなされ、銀紙に札付きのパッケージで、一般タバコと同等の巻きサイズに変更された。しかしながらこの改訂は、巻が太くなったため今までになく重厚な味わいになり、前回のデザイン面だけの改定に比べ割合好評なようである。
[編集] 屑タバコの俗説
その安価さとバラつきの多い味(製造ロットの違いや湿度によって相当に味が変わる)から、「他のタバコを作る時に(こぼれた)屑を寄せ集めて作っている」との噂があるが、これは事実と異なる俗説の一種である。
実際には、上級の煙草には使用しない葉脈の部分(課税上の等級が低くなる)を主原料に製造されているため、均質な味に調整しにくいのがばらつきの原因であるという。重度のバット愛好者には、この「味の変化」を逆に楽しむ者すらある。
[編集] 派生商品
2004年7月から宮城県内でゴールデンバット・ボックス(紅茶風味)とゴールデンバット・メンソール・ボックス(カシス風味)が販売されたが定着せず、2005年1月をもって廃止が決定された。
[編集] 外部リンク
All Japan Golden Bat Party
ゴールデンバット探索プロジェクト(販売所データベース)
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%88" より作成
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