とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

「ピーターラビットの絵本」シリーズ (10)

2007年02月23日 09時13分54秒 | 児童文学(絵本もふくむ)
(10)りすのナトキンのおはなし(1903年刊)
ビアトリクス・ポター さく・え  いしいももこ氏やく
(★タイトルページの前に、2匹のふさふさしたしっぽをした、あかりすのかわいい絵。みごとなデッサンでは、ありませんでしょうか?かわいらしいのは、ポターの小動物によせる愛情が、洩れいでているゆえか?)
   
            (要約)
 《これから するのは、すりきれしっぽのおはなしです―そのしっぽは、小さなあかりすの しっぽで、りすの名まえは ナトキンといいました。》
 《ナトキンには、トインベリクルというにいさんや、いとこたちがいました。》みんなで、湖のそばの 森のなかにすんでいました。

  みずうみのまんなかには しまがあり、木がしげり、どんぐりや くりなどがしげる木がありました。そして 木々のまんなかに あなのあいた かしわの木がたっていて、ブラウンじいさまという名の ふくろうのいえでした。

  《あるあき、木の実がじゅくし、はしばみの葉が 金とみどりのまんだらになったころ―ナトキンや トインクルベリや、ほかの小さなりすたちは、そろって森を出て、みずうみのふちに おりていきました。》

  《りすたちは、小えだで 小さないかだをつくり、それにのって ふくろうじままで 木の実をとりに 出かけました。》みんな 小さなふくろと 大きなオールをもち しっぽをひろげ ほのかわりにしました。

  また ふくろうじいさまの おみやげに ふとったねずみを 3びき もっていき じいさまの げんかんの石のうえに おきました。
  それから トインクルベリたちは じいさまのまえで ひくくあたまをさげ、ていねいにいいました。
 「おとしよりのブラウンさま、あなたのしまで どうぞ 木の実をとることをおゆるしください」

  《ところが ナトキンだけが たいへん なまいきで 小さな あかいさくらんぼのようにぴょんぴょん とびはねながら こう うたいました。》

 《「なぞなぞかけた なぞかけた!
   あかいふくきた 小さいおとこ!
   つえを手にして のどには小石。
   このなぞとけたら 1えん しんじょ!」》

  《さて これは おおむかしからある ふるい ふるい なぞです。》
 けれども ブラウンじいさまは しらんふり。がんこに 目をつぶると、ねむってしまいました。

  《りすたちは ふくろに 木の実をいっぱいにして ゆうがた いかだにのって、いえに かえりました。》

  けれど よくあさ また しまへいって トインクルベリとほかのりすたちは、ふとったモグラを じいさまのいえの げんかんに おき 「ブラウンさま、どうか もうすこし 木の実をひろわせてくださいませんでしょうか」といいました。

  ところが おもいもかけず ナトキンが ぴょんぴょんとびはね いらくさで じいさまのあごを くすぐりながら こう うたいました。

  《「ブラウンじいさまに なぞなぞかけよ!
    へいのなかでも ちぃくちく、
    へいのそとでも ちぃくちく、
    ちぃくちくに さわったら、
    ちぃくちくは 「くいつくぞ!」》

   《ブラウンじいさまは きゅうに 目をあけると、もぐらをもって いえのなかへ はいってしまいました。》

  《そして ナトキンのはなさきで ぱたんと 戸をしめました。》かしわの木のてっぺんからは 薪火のあおい ほそいけむりが たちのぼりました。ナトキンは、かぎあなから のぞきながら うたいました。

   《「うちんなか いっぱい!
     あなんなか いっぱい!
     それでも ちゃわんにゃ
     はんぶんもないもの なあに!」》

  《りすたちは、しまじゅうで 木の実をさがして 小さなふくろを いっぱいにしました。》
   けれども ナトキンは、まっかや、きいろの かしわのみをあつめて ビーだまをしてあそびながら じいさまのいえの げんかんを みはっていました。

   3日め、りすたちは、あさ たいへんはやくおき出して ブラウンじいさまへのおみやげに ふとった小ざかなを つかまえました。
   それから いかだに のって しまへわたり まがりくねったくりの木のしたから しまにあがりました。


  《トインクルベリと ほかの小りすたちは、みな 1ぴきづつ、ふとったさかなをもっていきました。でも れいぎをしらないナトキンは、おみやげなど もっていきません。みんなのせんとうにたって こう うたいました。》

  《「あれ野で おとこが こう きいた。
   『うみになっている いちごは いくつ?』
    そこで、わたしは こたえてやった。
   『木になるにしんと おなじだけ』》

 けれども、じいさまは、なぞには いっこう 気がひかれません―こんどのなぞには、ちゃんと こたえが でていたのに。

  《4日め、りすたちのおみやげは ふとった ごみむしでした。これは じいさまには わたしたちの プラム・プディングぐらいな ごちそうなのです。》
《しかも、むしは 1ぴきずつ すかんぽの葉でつつみ、まつ葉でとめてありました。けれども ナトキンは あいかわらず なまいきに、こう うたいました。》    
 
  《「イギリスのむぎこに スペインの木のみ
   ゆうだちのなかで 出ぇあった。
   ふくろにいれて むしきで むぅした。
   このなぞあてたら ゆびわをしんじょ!」》

 ナトキンが こんなうたをうたうなんて とほうもないこと。ゆびわなんて もっていないのですもの。

  《ほかのりすたちは はやしのなかを いったりきたりして、木のみをさがしました。》けれども、ナトキンは、いばらの木から まるいむしこぶをとり まつ葉をさして はりさしをつくって あそびました。


   5日目、りすたちは、やまのてっぺんの、まるはなばちのすから、みつをぬすんで おみやげにしました。じいさまのげんかんに おいてから みつがべたべたするので りすたちは じぶんのゆびをなめました。
   ところが、ナトキンは、とんだり はねたりしながら、こう、うたいました。

   《「ぶぶん!ぶぶん!ぶんのぶん!
     やまのてっぺんに いったらば、
     めんこいやつらに あったのさ。
     きいろいくびのや せなかのや!
     やまのてっぺんに またとない、
     めんこいやつらで あったのさ!」》

   《ブラウンじいさまは ナトキンのぎょうぎのわるさに うんざりしたというように、目をてんじょうのほうに むけてしまいました。》それでも みつは いただきました。

    《りすたちは 小さなふくろに、いっぱい 木のみをあつめました。》
 ナトキンは、やまなしの実と みどりの もみのみで ボーリングをしてあそびました。

   《6日めは、土ようびで、りすたちが しまにいくのは、きょうが さいごの日でした。》おわかれに うみたてたまごを くさであんだ かごにいれて、もっていきました。
  《ところが、ナトキンは、みんなのせんとうにたって、はしりながら、わらったり さけんだりしました。》

  《「ずんぐりむっくり とこのなか、
    しろいふとんかけ おやすみだ。
    いしゃが 40にんかかっても、
    ずんぐりむっくりは なおせない!」》

  《さて たまごは じいさまのお気にめしたようです。ブラウンじいさまは、目をあけ、また つぶりました。でも、まだ なにも いいませんでした。》

  ナトキンは、ますます ぶさほうになって、いいました。

  《「ブラウンじいさま ブラウンじい!
    おうさまのごてんの 入りぐちで、
    きんきら、きんきら、きんきらりん。
    おうさまのうまが みんなでかかり、
    それでも きんきらりんを おいだせぬ」》

 《そう うたって 、ナトキンは 日のひかりのように とんだり はねたりして、おどりました。けれども、ブラウンじいさまは、まだ なんにもいいませんでした。》

  《そこで ナトキンは、またはじめました。

   「やまからアーサーが やってきた。
    うなりをあげて おしよせた。
    スコットランドの おうさまが、
    いくらやっても アーサーにゃかてぬ」》

  《 ナトキンは、ひゅう!とかぜのようなおとをたてて とびはねながら、ブラウンじいさまのあたまに、とびかかっていきました....》
 そのとき とつぜん ぱたぱたというおとがし、ばたばたというおとがし、「きぃー!」という、大きなさけびごえがしました。》ほかのりすは、みんな かくれました。

  すこしたって、みんなが こわごわ でてくると、ブラウンじいさまは、なにごともなかったように 目をつぶって、じっとすわっていました。
  * * * *
 でも そのとき ナトキンは、じいさまのポケットに ちゃんと いれられてしまっていたのですよ。

   《これで、おはなしは、おしまいのようにみえますが―じつは、そうではないのですよ。》

   ブラウンじいさまは いえのなかにナトキンをつれていって しっぽをもって ぶらさげ かわを はごうとしました。と、そのとき、ナトキンが、ちからいっぱい あばれましたので、しっぽは きれてしまいました。そこで、ナトキンは、むちゅうでかいだんをかけあがり、やねうらのまどから にげだしました。

 《いまでも、だれかが 森のなかで、ナトキンにあい、なぞをかけてやりますと、ナトキンは、そのひとに ぼうをぶつけて、あしをばたばたさせ、「くっくーくっくーくるるるーくっくっく!」と、わるくちをあびせかけます。》

        おわり

読んであげるなら:4才から
自分で読むなら:小学低学年から
   
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