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海外メディアが絶賛の「日本モデル」成功の鍵は何か   「ファクターX」の解明は日本の使命  2020.5.29(金) 池田 信夫 【コメントあり】

2020年05月29日 13時50分10秒 | 時事問題(日本)
    「ファクターX」の解明は日本の使命

2020.5.29(金) 池田 信夫  JPプレス

(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
 新型コロナの緊急事態宣言が解除された。かつて海外メディアは「日本の新型コロナ対策は生ぬるい」とか「このままでは東京はニューヨークのような地獄になる」などと安倍政権を批判していたが、このニュースでは論調が一転している。
 
 何といっても、日本の被害が圧倒的に少ないからだ。学校で出来の悪そうな子が1番の成績を取ったようなもので、最初は「そのうちだめになる」とか「数字をごまかしている」と言っていた海外メディアも、最近は素直に成績のよさを認め、その原因をさぐるようになった。

日本の死亡率はなぜイギリスの1/100なのか
 
  イギリスのフィナンシャル・タイムズ(FT)は「安倍首相は日本モデルでコロナを撃退したと勝利宣言した」と日本の成果を称えた。FTの図でみると、こんな感じだ。
 (図 省略:サイトで見る)

 注意していただきたいのは、これが対数目盛だということである。アメリカの死者は9万2000人、イギリスの死者は3万7000人だが、日本は830人。人口比でみると、イギリスの死亡率は日本の100倍以上である。普通のグラフでは、日本の数字は横軸に埋もれて見えない。

 BBCは「ロックダウンを実施する法的強制力が政府にない中、日本が新型ウイルスの感染拡大を抑制できたことについて、多くの感染症の専門家は不思議がっている」と論評した。


 日本の感染・死亡率の低さをどの程度、政府の功績と認めるべきかは議論の余地がある。政府当局者は、マスク着用の高まりと定期的な手洗いなどの良好な個人衛生が中心的な役割を果たした可能性があると述べた。日本の8つの大学の医学研究者のグループは、西洋人と比較した日本人や他のアジア人の遺伝的な違いが東アジアとヨーロッパの違いを説明するのに役立つかどうか調べている。
 
 この大きな死亡率の差は、政策の違いだけでは説明できない。日本の自粛は法的拘束力がなく、西欧のロックダウンよりはるかにゆるやかだった。WSJは遺伝的要因を示唆しているが、これはどうだろうか。

遺伝でも獲得免疫でもない「ファクターX」

次の図はイギリスの財政研究所(IFS)が人種別のコロナ死亡率を比較したものだが、国民の80%を占める「イギリス系白人」を基準にすると、アジア系の死亡率はやや高い。

(図 省略:サイト内で見る)

  中国系(遺伝的には日本人とほぼ同じ)の死亡率は白人の半分ぐらいだが、これだけで100倍の差は説明できない。黒人の死亡率が高い原因には所得の影響もあるので、遺伝的な要因だけで日本の成功を説明することはできない。

  では海外にいる日本人の死亡率はどうだろうか。外務省の発表によると、海外に滞在している日本国籍の人のうち、93人が新型コロナに感染し、うち7人が死亡した。

 これがすべてだとすると、在外邦人は約140万人なので、死亡率は20万人に1人で、日本国内の15万人に1人という死亡率とほぼ同じだ。つまり日本人の死亡率の低さは日本生まれではなく日本育ちだという要因があるものと思われる。

   よくいわれるのが、他の種類のコロナウイルスに対して日本人がすでにもっていた抗体の交差反応(遺伝子配列の近いウイルスに対する免疫反応)ではないかという説だ。これは2009年の新型インフルエンザの感染が日本で少なかった原因とされるが、具体的にどういう抗体かはわからない。

   もう1つは、東アジアには昔から中国系コロナウイルスが入っていたため、抗体の中にそれに対する免疫があり、その免疫記憶が機能したのではないかという説だ。これは児玉龍彦氏らのグループが発表したものだ。

  もし日本に感染で抗体を獲得した人が多いとすれば、その原因は獲得免疫だということになるが、これは児玉氏のグループが行った抗体検査で否定されている。500検体のうち陽性は3人。抗体陽性率は0.6%である。

  消去法で考えると、遺伝でもなく獲得免疫でもない未知の要因がきいたと推定するしかない。これが山中伸弥氏のいうファクターXである。

予防接種をやめた先進国の感染率が高い

  最後に残るのが、BCG接種で自然免疫(呼吸器疾患に対する非特異的な免疫)が活性化されたためではないかという説だ。国別にみたBCG接種率と新型コロナ死亡率には強い相関があり、肯定的な論文(査読前)が全世界で20本以上出ている。

  ただ因果関係はわからないので、オーストラリアやオランダなどでBCGの臨床試験が始まっている。今のところこれがもっとも有力な仮説だが、他の要因も寄与している可能性がある。100倍の差は、1つの要因では説明できない。

  結核感染率と新型コロナ感染率の逆相関も強い。これは検査が少ないという原因も考えられるが、結核に感染した人は呼吸器疾患に対する自然免疫が強化されたためと考えることもできる。

  図1のように西欧と北米以外の多くの国では死亡率は低い(10万人に1人以下)ので、これはむしろ西欧圏に特有の脆弱性と考えたほうがいい。これは常識とは逆である。

  今までの感染症は公衆衛生の遅れている発展途上国で多く、今回もWHO(世界保健機関)はアフリカの被害が増えることを警告しているが、大陸別ではアフリカの死亡率がもっとも低い。これは結核やマラリアなど、もっと深刻な感染症で自然免疫が高まっているためと考えられる。

  他方コロナ死亡率の高い国の共通点は、公衆衛生が整備されて予防接種の義務化をやめたということである。従来の公衆衛生では、病原菌や寄生虫を駆逐して環境を清潔にすることが目的だったので、病原菌がいなくなると予防接種は必要なくなる。

  医療が発達して病気が薬で治療できるようになると「反ワクチン派」が増え、予防接種を個人の選択にゆだねるようになる。こういうリベラルな民主国家に、新型コロナの被害は集中しているのだ。

  それに対して途上国では公衆衛生も治療も不十分なので、政府が一律に予防接種することが安上がりだ。日本は先進国の中では例外的に途上国型の医療制度を維持している。国民皆保険という制度は、世界にもほとんどない。

  このような制度的要因も含めた「ファクターX」を解明することは重要だ。それは今年の秋にも予想される「第2波」に備える対策として必要なだけでなく、「意図せざる成功」の原因を世界に伝えることは日本の使命である。

【追記】コメント

Ken ITO 伊東 乾@itokenstein·12時間
呆れて言葉もないが、一応ピン止め「世界で圧倒的に死者数が少ない<日本の奇跡>などというものはない。ベトナムを見よ、ゼロだ。台湾を知れ。数人だ。ソウルだってそんな規模だ。コロナについて世界は全く日本にポジティヴな注目などしていない。それこそ偏向報道も良いところで呆れて言葉が本当にない

mario_ogata@OgataMario·2時間
でもさ、日本モデルと言っても、議事録がないんじゃねぇ。 どうする安倍首相。さあ、官僚の事務方さん達、安倍首相を守るための回答作成だよ。

paburo@paburo57·1時間
東アジアで比べると決して優秀とは言えないし、そもそも、満足な休業補償なしで国民を苦しめるのは誉められたものではないのだが。

蜷川 新右衛門。@dennisbergkam20·3時間
ベトナムがゼロてのは、対策が良かったというよりも、もっと違う観点で調べないといけないと思うのです。 見た目が衛生的とは言えない隔離施設で死亡者がゼロ……不思議ですよね?

ぱと(ねこ)@armadillo_tree
ベトナムはものすごい隔離政策(感染者の数世代先の接触者まで隔離)をとって感染拡大を阻止してました。 それが必ずしも正解だとは思わないし、結核とかは市中で流行っているのでベトナムの全てが素晴らしいわけではないですけど、結果としてコロナの感染拡大を防止できたことは事実としてよいかと。

亀仙人のまゆげ@kamesenmayuge·1時間
日本が注目されているのは、政府がこれだけ医療の知見を無視したメチャクチャなことをやっているのに、そこそこの死者で済んでいる点だけです。 政府が普通にやっていれば、死者の桁は違ったと思います。

BKKMKⅡ@bkkmk2
タイも死者60人。日本とは検査数が桁違いに多いというか日本が検査数異様に少ないので死者数も検査漏れありそうな気がするけど。

水守みどり(ネット上の名前@MizumoriMidori·3時間
検査しないって論外ですよね。亡くなってさえ検査しないとか文化圏じゃないでしょう。

kappaーABEのいない平和な日本を・#ABEND@aVuhO1C6fvZoA0L·1時間
東アジア各国はコロナ封じ込めに成功した。 タイなんて死者0。台湾は一桁。 サーズやマーズの経験があるから、というけれども日本の専門家たちがそれを知らぬわけがない。 本格的な対応を迫ったのではないか? 対して、オリンピックを完全な形で予定通りに開催したい政治家が反対? で議事録を破棄?

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