ガザはイスラエルが米国に「引き渡す」 トランプ氏
【2月7日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は6日、米国が「所有」すると表明したパレスチナ自治区ガザ地区について、紛争終結後にイスラエルによって「米国に引き渡される」と述べた。また、その後の占領と再開発計画に兵士は必要ないと強調した。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、米国がガザを所有し、そこに住むパレスチナ人200万人をガザ以外の場所に移住させるという衝撃的な計画を改めて主張した。
「戦闘が終結すれば、ガザはイスラエルが米国に引き渡す」「米兵は必要ない! この地域(中東)に安定がもたらされる!!!」と同日早朝の投稿で主張した。
トランプ氏は米国を訪問したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との4日の共同記者会見で「米国がガザを占領する」と発表し、世界を驚かせた。
トランプ氏は米国が不発弾の処理やがれきの撤去に当たり、紛争で荒廃したガザを再建すると述べ、その言葉に記者らは息をのんだ。しかし、トランプ氏が詳細に言及することはほぼなかった。
トランプ氏のこの発言に対しては、パレスチナ人やアラブ諸国、世界の指導者から非難が殺到。これを受けトランプ政権は5日、火消しに追われた。
マルコ・ルビオ国務長官は、トランプ氏の発言に「敵対的な意図はない」と主張。またホワイトハウスは、米軍を派遣するとは明言しておらず、パレスチナ人の移住はいかなるものであれ「一時的」なものになると説明した。
だが、トランプ氏は6日のSNSへの書き込みで、パレスチナ人の大規模な強制移住を含め、自身が当初に発表した計画を推し進める意向を改めて示した。
トランプ氏は、ガザがイスラエルから引き渡される時期までに「(パレスチナ人は)この地域(中東)のはるかに安全で美しいコミュニティーに再定住し、新しく近代的な家に住んでいるだろう」と主張。
「彼らは、幸福と安全、自由を手に入れるチャンスを得ることになる」「米国は世界中の優秀な開発チームと協力し、この種のものとしては地球上で最大級かつ最も壮大なものの一つとなる開発にゆっくりと慎重に着手する」と続けた。
再建後のガザに誰が住むのかということについては、「世界中の人々」だが「パレスチナ人もそこに住む」と4日の発言で触れていた。
米紙ニューヨーク・タイムズは6日、国防総省や国務省と協議せずに「急ごしらえ」したガザに関する計画で、トランプ氏は政権メンバーとイスラエルさえも驚かせたと報じた。(c)AFP
トランプ氏のガザ発言に反対する国は「名乗り出て支援」を ルビオ氏
【2月7日 AFP】米国のマルコ・ルビオ国務長官は6日、ドナルド・トランプ大統領のパレスチナ自治区ガザ地区に関する発言を非難する国々は自発的に名乗り出て、ガザを支援すべきだと主張した。
トランプ氏が戦後のガザ住民200万人の退去を提案したことに、アラブ諸国とパレスチナ指導部は強く反発している。
ルビオ氏は訪問先のドミニカ共和国で記者団に対し、ガザは「居住不可能」であり、トランプ氏はその再建を提案しているにすぎないと改めて主張。
トランプ氏の発言は、「経済的・技術的な能力を併せ持つ」他の国々に対して、米国と同様に再建を支援するよう促すことを意図したものだと説明し、「トランプ大統領はその解決策に加わることを申し出た」と述べた。
「他の国々が自発的に名乗り出て行動するならば素晴らしいが、進んでそうしようとする国があるようには見えない」
ルビオ氏はさらに、「この地域にはパレスチナ人に関して大きな懸念を表明している国々がある」とし、「彼らに対し、名乗り出て彼らの問題に対する解決策と答えを見つけるよう求める」と続けた。(c)AFP
米国のマルコ・ルビオ国務長官;画像はネットから借用
「反キリスト教的偏見撲滅」タスクフォース設置 トランプ氏
【2月7日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は6日、政府内に「反キリスト教的偏見を撲滅」するためのタスクフォースを設置すると発表した。
共和党のトランプ氏は、米国で多数派を占めるキリスト教徒に対する「迫害」を終わらせるため、タスクフォースの長にはパム・ボンディ新司法長官を任命すると述べた。
タスクフォースの任務は、司法省や内国歳入庁(IRS)、連邦捜査局(FBI)などの政府機関内の「あらゆる形態のキリスト教に対する標的化や差別を直ちに停止」することだという。
タスクフォースは「米国社会内でのキリスト教に対する暴力や破壊行為」を訴追するという。
トランプ氏は首都ワシントンのホテルで行われた全国朝さん祈祷会で、「われわれは、学校、軍隊、政府、職場、病院、公共の場所でキリスト教徒を守る」と述べた。
さらに、「ホワイトハウス信仰局」の設置も発表し、自身の宗教的助言者でもあるテレビ宣教師のポーラ・ホワイト氏を長に任命した。
この発表は、トランプ氏の2期目開始に伴う連邦政府の大粛清のさなかに行われた。トランプ氏は、多様性プログラムやトランスジェンダーの人々を標的にしたものなど、保守的な政策を支持する大統領令を相次いで発表している。
ポルノ女優との不倫に絡み過去に支払ったとされる口止め料をめぐって業務記録を改ざんした罪に問われた事件で有罪評決を受けたにもかかわらず(キリスト教において不倫は罪とされる)、トランプ氏は長年、右派キリスト教徒の擁護者となってきた。
トランプ政権の閣僚には、J・D・バンス副大統領やピート・ヘグセス国防長官らキリスト教国家主義者(クリスチャン・ナショナリスト)とつながりのあるメンバーが複数いる。
トランプ氏自身は特に宗教的とはみなされていないが、2024年6月に行われたペンシルベニア州バトラーでの選挙集会での暗殺未遂事件を生き延びて以降、それ以前よりも信心深くなったと述べている。
トランプ氏は6日、首都ワシントンで開催された別の朝さん祈祷会で、「それ(暗殺未遂事件)は私の中の何かを変えた。より強くなった気がする。私はもともと神を信じていたが、今では神への信仰がはるかに強くなった」「われわれは宗教を取り戻さなければならない」と述べた。
トランプ氏は1月20日の就任演説でも暗殺未遂事件に言及し、「米国を再び偉大にするため、神に救われた」と述べている。(c)AFP
トランプ氏、トランスジェンダー選手の女子競技参加を禁止
【2月6日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は5日、トランスジェンダーのアスリートによる女子競技への参加を禁止する大統領令に署名した。
ホワイトハウスで女性アスリートや子供たちに囲まれたトランプ氏は、署名前に「今後、女子スポーツは女性だけのものになる」「きょう、女子スポーツに対する戦いは終わる」と述べた。
この大統領令により、連邦政府は、トランスジェンダーのアスリートが女子チームで競技することを許可している学校への資金提供を停止できるようになる。トランプ氏は「男性が女性のスポーツチームを乗っ取ったり、更衣室に入ったりすることを許せば、調査を受け、連邦資金を失うリスクがある」と述べた。
トランプ氏は、2028年ロサンゼルス五輪を前に、トランスジェンダー選手に関する規則の変更を求め、国際オリンピック委員会(IOC)に圧力をかけるよう指示。さらに、女性アスリートを自称して五輪に出場しようとする男性の米国ビザ申請を拒否するよう命じたとも述べた。(c)AFP
パナマ、「一帯一路」離脱表明 米政府船舶の通行料無料化は否定
【2月7日 AFP】中米パナマは6日、米政府の船舶がパナマ運河を無料で通航できるようになるとの米国の主張を否定した。一方で、米国の圧力を受け、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」のインフラ計画から撤退したことを発表した。
パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領は記者団に対し、運河に関する米国の主張は「容認できない」と述べ、「うそと虚偽に基づく2国間関係」を拒否すると付け加えた。
先週末のムリノ氏とマルコ・ルビオ米国務長官の会談後、米国務省は5日、パナマが米政府の船舶の運河通航料を無料とすることで合意したと発表していた。
ムリノ氏は、海軍船舶を含む米政府の船舶のパナマ運河の通航料は「年間600万~700万ドル(約9億~10億円)」だとして、「この通航料が米経済を破綻させているわけではない」と指摘した。
米政府は通航料への不満以外にも、パナマ運河への中国の投資に懸念を示している。
香港の億万長者、李嘉誠氏が創業したCKハチソン・ホールディングスは、パナマ運河の五つの港のうち二つの管理権を所有している。
トランプ氏は紛争時に中国政府が米国に対してパナマ運河を閉鎖する可能性があると主張しているが、パナマはこれを強く否定している。
ムリノ氏は6日、米政府への重要な譲歩として、パナマが2017年に参加した中国の一帯一路インフラ計画から撤退すると表明。在中パナマ大使館がインフラ計画への参加を更新しないとの決定を中国に通知したと述べた。(c)AFP
パナマのホセ・ラウル・ムリノ大統領;画像はネットから借用
パナマ大統領「米の運河通航無料主張は虚偽」、トランプ氏と協議へ
Reuters 2/7
[パナマ市 6日 ロイター] - パナマのムリノ大統領は6日、太平洋と大西洋を結ぶ交通の要所であるパナマ運河について、米政府の船舶が無料で通航できるという米国の主張は「虚偽」と述べた。
米国務省は5日、「パナマ政府は米政府の船舶からパナマ運河の通航料を徴収しないことに合意した」とXに投稿。パナマ運河庁はその後、米側の発表を否定した。
ムリノ大統領は記者団に対し「米大統領の下で米国の外交政策を統括する機関が、虚偽に基づき重要な組織的声明をなぜ出すのか」とし、「容認できない」と語った。
米・パナマ関係を「うそと虚偽に基づいて」管理することを「断固拒否する」とし、米政権の主張を否定するために「断固たる措置」を取るよう、駐米大使に指示したと明らかにした。
またソーシャルメディアを通じて、7日午後にトランプ米大統領と協議する予定だと発表した。
一方、ルビオ米国務長官は6日の記者会見で、米海軍が米パナマ条約で保護義務のある運河を通過するために料金を支払わなければならないのは「ばかげている」との考えを示した。
ムリノ氏と今週会談したばかりのルビオ氏は「パナマのことで混乱しているわけではない」と語り、「われわれは会話をした。力強い第一歩だと感じた。われわれは期待している。彼らは彼らのプロセスに従うだろうが、われわれの期待は変わらない」と述べた。
パナマ訪問後、ルビオ氏はパナマが中国の広域経済圏構想「一帯一路」への参加を更新しない決定を下したことを歓迎し、米国とパナマの関係にとって「大きな前進」だと述べていた。
ムリノ氏は6日、パナマが正式に「一帯一路」構想から離脱する文書を提出したと明らかにしつつ、米国の要請によるものではないと指摘。中国との関係を評価し、パナマにとって何が最善かを検討するために時間を割いていると説明した。